さよならMusic | …

i am so disappointed.

「Negicco 2011~2017 -BEST- 2」の発売を前に、わりと新規のファンであるがゆえ、収録曲のほとんどをリリース時にリアルタイムで体験できなかった私が、ベスト・アルバムをより楽しむために色々と調べたり思い出したりしながら、好き勝手なことを書いていくというこのシリーズも、既発曲については今回で最後となる。あとは新曲や初音源化の楽曲が聴けた段階で、それらについては書いていくことになるのだろう。

 

「Negicco 2011~2017 -BEST- 2」は全17曲が収録されるが、そのうちの12曲は、T-Palette Records移籍後にリリースされたシングルの表題曲(正確には「GET IT ON!」だけはミニ・アルバムだが)である。

 

これに長い間、音源化が待たれていた出囃子「Make Up Prelude」(作曲・編曲・長谷泰宏)、ライブではすでに披露されている「ともだちがいない!」(作詞・福富優樹、作曲・畳野彩加、編曲・Homecomings)、「くちびるにメロディ」(作詞・作曲・編曲・connie)、そして、まったくの新曲である「愛は光」(作詞・作曲・堀込高樹、編曲・KIRINJI)が収録される。

 

そして、残る1曲はシングルのカップリング曲の中から、ツイッターでのファン投票によって決められた。

 

候補は12曲あったが、1,264票中の530票、つまり全体の約42%の得票を集め、ダントツの支持を得たのが、2013年11月6日にリリースされた「ときめきのヘッドライナー」のカップリング曲「さよならMusic」であった。

 

Negiccoのシングル・カップリング曲には、ファンの間で人気が高かったり、ライブで歌い続けられているものが少なくないが、それでも「さよならMusic」が圧倒的な得票数を獲得したのであった。

 

それもそのはずである。昨年以降、Negiccoのライブやイベントのいくつかに参加したり、セットリストを確認したりしてきたのだが、「さよならMusic」は「圧倒的なスタイル」や「ねぇバーディア」といった曲と同等に重要なポジションにあるのではないかという気がした。

 

ツイッターの投票を見ても、他の曲で好きなものがあるが、やはり「さよならMusic」が入っていないNegiccoのベスト・アルバムは考えられない、というような意見をいくつか見かけた。

 

私がNegiccoの音楽を初めて聴いたのは昨年、2016年3月3日の夜であった。アルバム「Melody Palette」「Rice&Snow」、シングル「ねぇバーディア」などを聴いていたが、シングルのカップリング曲まではまだ聴いていなかった。

 

そのような状態で3月30日、サンストリート亀戸で行われた「矛盾、はじめました。」リリースイベントに行った。そこでのミニ・ライブにおいて、やはり「さよならMusic」はパフォーマンスされた。私はその時に、この曲を初めて聴いた。

 

洋楽っぽくて、やたらとカッコいい曲だと思った。それは、英語のように聞こえる歌詞が多かったこと、また、途中に挿入されるラップ・パートなどの印象によるものだと思う。

 

イベントが終わってから、当然、この曲をApple Musicで探し、聴いたり歌詞を確認したりした。

 

驚いたことに、私が英語だと思っていた箇所は、じつはほとんどが日本語であった。

 

「You've been known」だと思っていた箇所は「指の」、「Goin' now」だと思っていた箇所は「強引な」、そして、よく聴き取れなかったが間違いなく英語だと思っていた箇所が、「Oh! 新潟 超いいな アイドルとかだナァ」というものであった。

 

ここに至って、これはおそらくわざと英語に聴こえるようなワードをチョイスして、そこに無理やり日本語を当て嵌めているのではないかという疑念が湧いた。

 

やはり英語のように聞こえる、ぽんちゃによるラップパートの歌詞は「Yeah この蕎麦へぎじゃないが そうだネギ洗い 加茂!」というものであった。

 

「へぎ蕎麦」は新潟の名物であることは分かるのだが、「ネギ洗い」とは一体、何なのであろうか。また、「加茂」は新潟県内にある地名のようなのだが、これはいくらなんでも「come on」であろう、などと思った。

 

それはそうとして、この曲の歌詞がものすごく良いと思った。

 

これは恋人同士の関係性とファンとアイドルとの間のそれとのダブル・ミーニングだとは思うのだが、いまはとても楽しいかもしれないが、それはいつか終わるかもしれない、だからこそ悔いが無いように、いまここを大切にしようという、そのようなメッセージが込められているように思えた。

 

「出会えたのは偶然の運命 無駄なことなんてないね」「出会いはそう 別れのはじまり 残された日々の意味を」「嬉しすぎて最高 だから余計に終わりを考えてしまう」「愛しても突然にGoodbye Baby もうその声も届かない」という辺りが、特にグッとくる。

 

この曲の作詞・作曲は、connieさんである。Negiccoに関する論評の類いは見つけ次第、色々読んでいるのだが、確かこの曲はアイドルの卒業里か引退について書かれているという文章を読んだような気がするのだが、いまとなってはそれが誰によっていつどこで書かれたものかを検証することもできず、真偽のほども確かではないのである。

 

しかし、まあ確かにそう考えてみると、アイドルファンとしてはよりリアリティーを持って聴くことができるのであろう。

 

先ほど、この曲の歌詞はダブル・ミーニングだと思う、という風に書いた。じつはこの曲は、私にとってはファンとアイドルとの関係性ではない方の意味で主に機能し、ゆえにとても重要な曲となったのであった。

 

まったくの混じり気が無く、純粋かつ強烈に好きな相手がいたとしても、諸事情により、いつか別れを余儀なくされているケースというのは実際にある。若かりし頃の私であれば、そんなものの存在はけして認めないし、それ以上に価値のあるものなど世の中には1つも無いので、どのような犠牲を払ってでもそれを死守するのが正しいと考えたに違いない。

 

しかし、現実的にそれは不可能であるか、私の価値観が変わってしまったのかもしれない。

 

そのような状況になる数ヶ月前、私は偶然にも「さよならMusic」に出会っていた。いや、もしかすると「出会えたのは偶然の運命」だったのかもしれない。

 

だから、「出会いはそう別れの始まり」であることを常に認識していたし、だからこそ「残された日々の意味を」ずっと全力で考え続けていた。

 

そして、「嬉しすぎて最高」だからこそ、「終わりを考えてしま」っていた。

 

いつもこの曲は頭の中で鳴っていたから、だからこそもうすでに少なくとも一時的には終わってしまったであろう現在においても、まったく1ミリの悔いもなく全力で過ごしたと胸を張って言えるし、そこに後悔が無いからこそ、未来を信じて現在を生きていられるというものである。

 

だから、「さよならMusic」には本当に感謝している。

 

もちろん当時、この曲のリリースをリアルタイムで体験はしていないのだが、話によると、シングルの表題曲を外部に依頼するようになったこのタイミングでconnieさんがこのような歌詞を書いたことに対し、界隈はわりとざわついていたということである。特に「Music レコードに残すから 忘れないでね side-Bの王」という辺りであろう。

 

この曲の内容は、より大きな別れの可能性について歌われていると思えるが、ライブやイベントのわりと終盤近くにパフォーマンスされることによって、その日1日のことと捉えることもでき、それ以降の残された時間をより悔いの無いように全力で楽しんで、盛り上がっていこうという気合いにも繋がっているように思える。少なくとも、私の場合はそうだ。

 

また、後に知ったのだが、この曲にはシングル表題曲「ときめきのヘッドライナー」を書いた、西寺郷太が率いるNONA REEVESへのオマージュも込められているということである。

 

「LOVE TOGETHER」、そして、RHYMESTERの宇多丸とコラボレートした「ラヴ・アライヴ」といった曲からの愛とリスペクトの詰まった引用が、とても美しいと思うのである。

 

 

 

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