数年前、タワーレコードの盛衰をテーマにしたドキュメンタリー映画があると知り、ぜひ観てみたいと思った。その後、劇場公開、DVDリリースなどの情報を知ってはいたが、観る機会がないままでいた。
先日、Amazonプライムビデオで何か面白そうなものはないかと適当にチェックしてみたところ、この映画が追加されていたので、もちろん観たのである。
タワーレコードは日本には渋谷や新宿をはじめ、いろいろな場所にあるが、発祥であるアメリカにはもうすでに無い。
日本初のタワーレコードは渋谷ではなく、札幌であった。その辺りのことはこの映画でも描かれている。現在の場所よりももう少しすすきの寄りの、五番街ビルの中にあった。中学生の頃、私はこの店に初めて行った。当時のタワーレコードは、現在のように日本人アーティストによる作品を取り扱ってはいなかった。海外アーティストの日本盤すら置いていなかったと思う。直輸入盤オンリーである。
五番街ビルのエレベーターを上って、ドアを開けたらそこはもうアメリカという感じであった。客も店員も日本人ばかりだったのだが、すっかりそのような気分になっていた。
上京してからも渋谷の宇田川町にあったタワーレコードにはよく行っていたが、当時は六本木のウェイヴの方が私の音楽の趣味にはよく合っていて、そちらの方を好んで利用していたような記憶がある。
それでも、私にとってタワーレコードがとても重要なレコード店であったことは間違いない。
1990年代に渋谷のタワーレコードは現在の場所に移転し、店舗規模を拡大した。当時、上の方の階にとても広い洋書フロアがあり、そこはまさにパラダイスという感じであった。
その後、自宅でインターネットを使うようになり、洋書や輸入CDをAmazonなどで買うようになってから、タワーレコードに行く頻度は次第に減っていった。いまではレコード店というかCDショップにも、ほとんど行かない状態であった。かつてレコード店、というかCDショップは、私にとって最も楽しく、興奮し、居心地のよい場所だったのにである。
まさに、万物は流転するということか。
この映画を観て、アメリカでのタワーレコードの創業から日本進出、栄枯盛衰の過程をドキュメンタリーで追うという、刺激的な体験をすることができた。
タワーレコードという会社、店はまた、家族のようであったということもよく分かる。それは業態が時流に乗っていたからという条件があったからこそ可能だったのだろうが、ここには事業を行う上でけして失ってはいけない、大切な何かがあるとも思ったのであった。
アメリカのタワーレコードが無くなった後、創業者のラス・ソロモンが日本に来て、渋谷のタワーレコードを訪問する場面がある。自分自身の人生を費やしたタワーレコードが、日本にはまだ残っていることを実感し、心から感動しているようであった。
また、かつてタワーレコードの従業員であったという、フー・ファイターズのデイヴ・グロールも、とっくに無くなってしまったと思っていたタワーレコードを東京で見つけた時のことについて、興奮気味に話している。
タワーレコードがいまも存続していることについて、日本人としてやや誇らしく思ったし、これからもぜひ続いていってほしいと、強く思った。
一方で、それでもやはりタワーレコードというかCDショップに行く回数は激減しているし、今後もそれほど増えることはないのではないかという気がしている。
ここ最近というか、数ヶ月前になるが、記憶しているのはNegiccoのイベントに参加したり、そのためのCDを買いに行ったりしたことぐらいである。
いまは他のことなどがなかなか忙しくてそうもいかないような状況だが、機会があればまたそのようにして、タワーレコードが今後も存続していくことに、少しでも貢献できればいいと思う。
