このアルバムからの先行トラック「土曜の夜は」は去る4月27日に開催された中野サンプラザでのライブで初お披露目され、また、会場では7インチ・シングルが先行販売された。また、定額制音楽ストリーミングサービスの「KK BOX」では独占配信されている。
また、収録曲のうち「ねえバーディア」「おやすみ」「カナールの窓辺」「矛盾、はじめました。」は既発である。
先日、このアルバムの先行試聴会のようなものが開催されたが、私は仕事のため、参加することができなかった。参加できたファンは、もうすでにこのアルバムを聴いている。
私の場合はそれほどあせるでもなく、発売されたら買って聴けばいいかな、ぐらいの感覚であった。しかし、ツイッターのタイムラインにレポートや感想の類いが流れてくるため、やはりそれは読んでしまう。
この先行試聴会のようなもののはじまりに、メンバーのMeguが「ティー・フォー・スリー」について、同世代の女子に共感して元気になってもらえるようなアルバムであると説明したらしい。
実際に内容もそのようなものだという感想を目にしたが、とにかくクオリティーは高そうである。しかし、このターゲットの絞り込み方に戸惑っているような感想も目にした。
このブログでは何度も書いているが、私がNegiccoの音楽を初めて聴いたのは、わずか2ヶ月前のことである。そもそもローカルアイドルなどに興味はなかったし、応援しているアイドルグループはあったが、それもそろそろやめていくのだろうな、と思っているタイミングであった。
たまたま聴いた曲がとてもよかった。アイドルポップスというよりも、日本のポップスとして、かなり優れていると思えた。
実際にグループの歴史だとかメンバーのキャラクターについて知り、さらに好きになるのはそのずっと後であった。
Negiccoは2003年から活動する歴史あるアイドルグループであるため、このタイミングで新たにファンになることに対し、何をいまさらという感想を持たれることも少なくはない。同じ新潟ならば、いまはNGT48だろうという声もいくつか聞いた。
しかし、Negiccoはシングルが3作連続でオリコン10位以内に入ったとはいえ、まだまだよく知らない人のほうが多いだろう。
アイドルブームといわれて久しいが、毎年次々と新しいグループが出てきては、話題をさらっている。その中でグループそのものの目新しさというのは、もちろん歴史を重ねるごとに薄れていくのであろう。
普通にやっていれば、年々人気が落ちていくであろうところを、メンバーの入れ替えによる活性化だとか、より広範囲におよぶメディア戦略だとか、それぞれいろいろな方法で乗り越えようとしているのであろう。
1980年代にもアイドルブームがあったが、当時、私は中学生や高校生や大学生であり、普通にアイドルが好きであった。やはり、新しいアイドルが毎年たくさんデビューして、その寿命はいまよりもずっと短かったような記憶がある。
松田聖子、中森明菜、小泉今日子といった、ひと握りの超ビッグアイドルだけが長年にわたってアイドルであり続けた。しかし、実際には松田聖子と中森明菜はアイドルというよりはもはや国民的流行歌手という感じであったし、小泉今日子はサブ・カルチャー的なメディア戦略が成功しているように見えた。
松田聖子の人気がなぜ1980年代のアイドルの中で突出していたかというと、それは女性にも支持されたからだということは、よくいわれていた。
初めはかわい子ぶりっ子だとか新人賞を獲って泣いているのに涙が出ていない、つまりウソ泣きだとか、当時、女子中高生に大人気だった田原俊彦とグリコアーモンドチョコレートのCMに出たことで、カミソリがたくさん送られてきたり、むしろ同性から嫌われているのではないかという感じだった。
それが、ある時期から変ってきた。女性の間で松田聖子の髪型、いわゆる聖子ちゃんカットが流行しているという話題が「ザ・ベストテン」でも取り上げられたりしていた。そして、1981年のある秋の土曜日、旭川にあったミュージックショップ国原に行くと、おとなしそうな女子高校生が松田聖子「風立ちぬ」のLPレコードを買っていた。
当時、女性が同性アイドルの、しかもLPレコードを買うなどということは、とても珍しかったのである。
松田聖子のどこが他のアイドルと違っていたのかというと、まず作品のクオリティーがとても高く、歌がうまくて、同性が憧れるタイプのかわいらしさを持っていたというところであろう。
当時、B級アイドルを韜晦的に楽しむような、ほとんどビョーキなサブ・カルチャーノリというのはもちろんあったのだが、松田聖子はそうではなくて、たとえば松任谷由実などを好むような、コンサバティブな層に支持されていたような気がする。
「ティー・フォー・スリー」を実際には聴いていないので、完全な推測と希望的観測なのだが、これからNegiccoがターゲットにするのはズバリこの層なのではないかと思えるのだ。
既発の収録曲を聴く限り、これまでのNegiccoの曲と比べて、ネタ的な要素がひじょうに少なく、ただただ音楽性を高めていこうというストイックなコンセプトが見えるようである。
Negiccoメンバーのキャラクターやグループの歴史はもうすでにかなりおもしろいので、特に強調するよりも普通にやっていればいいような気がする。
まず、なんかすごくいい曲と歌と演奏で、心地よい音楽でありながらわりと刺さるところもあるぞという印象を持たせ、そこから興味を持った人たちを内面性でさらに魅了するという、そのようなやり方が望ましいように思える。
というか、これは私がこの2ヶ月で体験したそのままである。
別に人気があるからといって好きになるわけではないのだが、Negiccoメンバーが日本武道館でのライブを目標にしている以上、これからさらにファンを増やす必要がある。それだけの魅力をNegiccoは持っていると思うから、後はそれをどのようにしかるべき層に届けるかが課題なのだと思う。
実際には聴いていないのでまったく分らないのだが、いま私が期待している内容に近いものだとすれば、「ティー・フォー・スリー」にはそのような可能性があるのではないか。
もしそうだとするならば、それをまだ知らぬ層に広めていくのが、1人のファンとしての私の役目ではないかと思うのである。
ティー・フォー・スリー/Negicco

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