アルバムはリリースされたら買って聴けばいいのだが、参加した方のレポートや感想のようなものがツイッターのタイムラインに流れてきたので、読んだり読まなかったりした。
実際には聴いていないのでまったく分らないのだが、どうやら同世代の女性が聴いて共感してもらえるような作品になっているらしい。もしそうなのだとしたら、これはいいことだと思う。
私は2ヶ月前にNegiccoの音楽を初めて聴いて、ここ数年間で聴いたものの中ではおそらく最も気に入っているのではないかと思うのだが、なぜそれまで聴かなかったのかというと、いわゆるローカルアイドルのようなものに勝手な先入観があり、それが聴くことを遠ざけていたと思うのである。
なんとなくサブカル的というかそんな感じがして、そういうのはいまさらもういいかな、という気分だったのである。しかし、ひょんなきっかけから興味本位で聴いてみたところ、普通に高品質な日本のポップスであり、とても驚いたのであった。
このよさが本来ならば届いてしかるべきなのに、まだ届いていない層というのが、確実に存在していると思う。それはすなわち、グループの認知度や人気やセールスの伸びしろでもあるだろう。
1980年代のアイドルブームの頃、私は中学生や高校生や大学生だったので、普通にアイドルが好きだった。毎年、次々と新しいアイドルがたくさんデビューして、その中から人気者も出てくるので、一握りの超ビッグなアイドルを除いて、その寿命はけして長くはなかった。
女優やバラエティータレントに転身をはかったり、より大人っぽい曲を歌ったりアーティスト路線にはしる者など、それぞれであった。
私が1980年代で最も好きなアイドルは松本伊代なのだが、デビュー3年後の1984年にはすでにオリコンの10位以内に入らなくなっていた。
1986年あたりから同世代の女性をターゲットとしたような曲を歌いはじめ、少しセールスが回復したりもした。本人もこの頃の曲をとても気に入っているようである。
1987年にリリースされたアルバム「風のように」などはかなりよくできていると思うのだが、あまり話題にはならなかった。
当時、大人のアイドルというコンセプトそのものがなかったので、脱アイドルを果したという感じであった。
この頃、大人の女性の恋愛を歌ったアーティストやシンガーというのはすでにたくさんいたため、その需要はあまり見込めなかったのかもしれない。
松任谷由実はすでにカリスマ的な存在となっていたが、よりライトでカジュアルな路線では杏里やEPOといったシンガーの音楽が、当時の大学生のカーステレオではよく流れていた。
アイドルでもロックでもない女性シンガーによるポップスは、同じ時期に流行したビート・パンクやインディーズ、あるいはいわゆる1980年代サブカルチャーとのようなものとは異なった、よりコンサバティヴな層に支持されていたような気がする。
私がNegiccoの特に「あなたとPop With You!」あたりを聴いて思い出したのは、じつはこのあたりの音楽であった。
実際には聴いていないのでまったく分らないのだが、「ティー・フォー・スリー」が同世代の女性に共感してもらえるような作品をだとするならば、それはおそらく届いてしかるべきだがまだ届いていない層に届く可能性がひじょうに高いのではないだろうか。先行トラックの「土曜の夜は」、また既発曲の「ねぇバーディア」「おやすみ」「カナールの窓辺」「矛盾、はじめました。」を聴くかぎり、そのクオリティーにはかなり期待が持てる。
ティー・フォー・スリー/Negicco

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