ところでこのKK BOXなのだが、「土曜の夜は」がいち早く聴けるだけではなく、Apple Musicにはない「Rice&Snow」などもある。Negiccoだけを聴くのならば、こちらの方が適しているということである。しかし、「Rice&Snow」はすでにiTunesストアで買っているのであった。
ところで、現時点でのNegiccoの好きな曲に順位をつけるならばどうなるだろうか、という考えがふと頭に浮かんだ。そして、やってみることにした。
これはあくまで現時点の瞬間風速的なものであり、また違う時にやったとしたならば、大きく変わるような気がする。熟考を重ねた末に、選んだ20曲は次の通りである。また、これは順不同などではなく、ちゃんと現時点で好きな順番に並べてみた。
1.土曜の夜は
2.おやすみ
3.二人の遊戯
4.さよならMusic
5.あなたとPop With You!
6.1000%の片想い(feat. Tomoko Ikeda)
7.クリームソーダLove
8.イミシン☆かもだけど
9.圧倒的なスタイル
10.アイドルばかり聴かないで
11.君といる街
12.光のシュプール
13.ねぇバーディア
14.完全攻略
15.新しい恋のうた
16.カナールの窓辺
17.サンシャイン日本海
18,GET IT ON!
19,ガッター!ガッター!ガッター!
20,裸足のRainbow
おそらくこれはかなり邪道なランキングであるに違いない。また別の時にやったらかなり違っているのだろう。
「土曜の夜は」「おやすみ」と、つい数日前に中野サンプラザで初めて聴いた曲が上位トップ2ということからも、いかに私が直近の出来事から影響されやすいかが如実に出ている。しかし、本当に好きなのだから仕方がない。
「おやすみ」は「ねぇバーディア」のカップリングで、昨年にはすでにリリースされていたし、ファンの間でも高評価だったことは何となく知っていたのだが、なぜか聴かないままでいた。
そして、中野サンプラザで初めて聴いて本当に良かった。聴き覚えがなかったので新曲なのではないかと勘違いしていたし、流れた映像もちょうど1週間前に新潟に行っていたというタイムリーさもあって、かなり感動的であった。
Negiccoの曲はいつもNao☆、Megu、Kaede、3人のメンバーの声質がよく生かされていて素晴らしいと思うのだが、この新境地ともいえるアダルト・オリエンティッドなサウンドとメロディーにのせて、Meguのキャンディー・ヴォイスがより魅力的に聴こえる。「ぬるめのハーブティーだけ のんでおやすみ たぶん あなたなら そう言うよね」のところである。
その前に、歌い出しのKaedeによる「眠れないリビング 午前2時」で、すでにある世界観にはもう誘い込まれていた。この夜の気分には、どこかとても懐かしいところがある。
小学生の頃に夜遅くまでラジオを聴くようになって、そこではわりと大人な話題が話されたりはしているのだが、早くそれがちゃんと理解できるようになりたいという背伸びするような気分もあった。あれはまだ1970年代の話である。
夜には余白や隙間がじゅうぶんにあるように感じられ、そこにはまだ知らない秘密が隠されているような気がしていた。
「おやすみ」はそんな気分を思い出させてくれる曲である。
東京という眠らない街に住み、いまやテレビもSNSも24時間フル稼働しているため、あの頃の夜の気分というのは、もうすっかり忘れ去られてしまったような気がする。
だから、初めて聴いた「おやすみ」が夜の新潟の映像と一緒だったことによって、ひじょうにすんなりと入ってきたのであった。
おそらく制作者の意図をすら超えた深いところで、私はあの日、この曲を堪能していたような気がする。
本当に素晴らしい曲である。
「存在してるの ひみつ」という倒置法の部分も大人っぽさを感じさせ、かなり素敵だ。
また、Nao☆のパートでは「悲しい気分は すこしだけ きらいにもなるよ」と歌われた後、間髪を入れずの「...嘘だけど」がたまらない。
「イミシン☆かもだけど」の「ごめん 今のナシ」にも圧倒されたが、こっちはよりスローで落ち着いた曲調だけに、不意打ち感がすごい。
松田聖子「小麦色のマーメイド」における「好きよ 嫌いよ」的な快感がある。
あれだけ急激にNegiccoが好きになっていたのにもかかわらず、なぜ「おやすみ」を聴いていなかったのか。それは、おそらく中野サンプラザでこのような最高の出会い方をするためだったのではないか。そう考えると神様の存在を信じられるような気がする、というのはもちろん言い過ぎである。
Negiccoの特にT-Palette Records移籍後の作品には、渋谷系やシティ・ポップからの影響が見られる。新潟出身のアイドルグループがこのような音楽をやることは、地元出身の良さを消すことになるのではないかと考えられがちだが、まったくそうはなっていない。
それがNegiccoメンバーのキャラクターによるものなのか、connieさんの曲づくりによるものなのかは定かではないのだが、新潟というフィルターを通した渋谷系なりシティ・ポップになっているからではないだろうか。
先日、新潟の街を初めて訪れた。新潟県内のスキー場には何度か行ったことがあったが、街に行くのは初めてであった。駅前はよくある地方都市とあまり変わらないのだが、少し歩くとやたらと近代的な建物がたくさんある。そして、信濃川の存在感がやはりとても大きいように感じられた。それは街中から港へと流れていて、川べりには緑地がある。
信濃川を渡ると、かつて花町として栄えたという古くからの街が広がっている。懐かしさの中に、センスやこだわりを感じさせるショップも立ち並んでいる。
水と緑と街が調和していて、懐かしさと新しさがほどよくブレンドされている。食べ物がおいしく、海が近い。
Negiccoの作品にはこのような環境からこそ生れ得た、都会志向の中に息づく人間性のようなものが感じられる。それはもしかすると渋谷系やシティ・ポップ全盛期に東京にはあったが、現在は失われているものなのかもしれない。
東京で生活する私にとって、新潟は日常ではない。寧ろ、Negiccoの存在によって理想化されたものであろう。それはたとえば、ビートルズやザ・スミスの音楽から想像するリバプールやマンチェスターのようなものなのかもしれない。
ある意味、ファンタジーである。しかし、それでいいのではないだろうか。
この先、新しいヴィジョンを実現するため、大きな仕事が待ちかまえている。生活者のしあわせに貢献するサービスとは何なのか。Negiccoに出会ってから、私はそのようなテーマについてよく考えている。
そして、近いうちにまた新潟には行くのではないかという気がしている。
ねぇバーディア 通常盤/Negicco

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