有楽町の三省堂書店で目にした「中年がアイドルオタクでなぜ悪い!」「50代からのアイドル入門」という2冊の本が気になり、買ってきて一気に読んだ。そこでいままでよく知らなかったアイドルグループもどんなものか聴いてみようと、とても軽い気持ちでApple Musicを検索すると、このNegiccoの作品がたくさんあったのである。
そのクオリティーの高さに驚き、特に小西康陽の作詞・作曲・編曲により2013年5月29日にリリースされた「アイドルばかり聴かないで」などは大のお気に入りになってしまった。
じつはこの「アイドルばかり聴かないで」はリリース時にインターネットで少し話題になっているのを読んだことはあったのだが、実際に聴いてみようとまでは思わなかった。それから、いつか新宿に買物に行った時、タワーレコードでインストアイベントのようなことをやっているNegiccoを見かけたこともあった。当時はまったく興味がなかったというか、その時に初めてその存在をちゃんと認識したような状態だったため、立ち止ってちゃんと見るようなことすらしなかったはずである。
この1週間、おそらく仕事と睡眠以外で最も時間を使ったのが、Negiccoの音楽を聴くことと動画を観ること、それからNegiccoについて書かれた文章を読むことだったような気がする。それでもまだまったく追いつかない。何せ12年間以上の活動歴があるのである。
YouTubeで視聴した「二人の遊戯」という曲がとても気に入った。バラエティー番組出演時の映像などを見る限り、Negiccoのメンバーにはナチュラルでコミカルな印象が強い。しかし、この「二人の遊戯」のパフォーマンスにおいては、かなり大人の表情を見せている。曲はシティ・ポップや和モノライト&メロウといわれるジャンルに通じる感じであり、バックはバンドの生演奏でものすごくカッコいい。
この曲は2015年1月20日にリリースされたアルバム「Roce&Snow」に収録されているということだったが、こちららはApple Musicで聴くことができなかった。iTunesストアでは販売されていたので全曲プレビュー視聴してみたところ、どの曲も良さそうであった。それで、購入してみた。
通して聴いてみたのだが、ひじょうに質が高いアルバムだと思った。アイドルポップスというだけではなく、日本のポピュラー音楽のアルバムとして、とても良いと思えた。
「トリプル!WONDERLAND」「ときめきのヘッドライナー」「サンシャイン日本海」「光のシュプール」といったシングル曲はApple Musicでも聴くことができたので、すでに聴いていたのだが、いずれもポップでキャッチーなキラーチューンばかりである。他のアルバム収録曲もそれぞれにクオリティーが高いのだが、こちらはより実験的なところもあり、アルバム全体のバランスがとても良いと感じた。
「サンシャイン日本海」の作詞・作曲・編曲、そして、「光のシュプール」の編曲を田島貴男が手がけているということである。この前作に収録され、シングルでもリリースされていた「アイドルばかり聴かないで」の作詞・作曲・編曲は小西康陽であった。それぞれORIGINAL LOVE、ピチカート・ファイヴの中心メンバーとして、1990年代のシティ・ポップスとでもいうべき音楽を生み出してきたアーティストである。
「サンシャイン日本海」は新潟県を拠点として活動するNegiccoらしいご当地ソングの要素もあるのだが、どこかフリッパーズ・ギターの「カメラ・トーク」やアズテック・カメラの「ハイ・ランド、ハード・レイン」といったアルバムを思い出させるようなところもある。
モータウン調のビートを取り入れた「1000%の片想い」は、ポップスのときめきが凝縮された素晴らしいナンバーである。ジャンルはまったく違うが、ラモーンズやバズコックスを聴いた時に感じるものに近い何物かが私の中で弾け、夜中に1人で作業をしながら聴いていて、思わず泣きそうになってしまった。
「サンシャイン日本海」の次に収録された「裸足のRainbow」には1970年代あたりのシティ・ポップを思い出させる何かがあり、次の「二人の遊戯」はやはりクールでファンキーで最高である。ザップ一派のロジャー・トラウトマンを思わせるボコーダーの使用もかなり面白い。
他にも1990年代初めの全米ヒット・チャートでよく聴いたようなニュー・ジャック・スウィングのような曲や、ドラム・ン・ベースやエレクトロに影響を受けたと思えるような曲など、いろいろバラエティーにとんでいるのだが、Negiccoのボーカルの強度によるものなのか、とっ散らかったような印象はまったくない。
そして、このようなやや実験的な曲が続いた後の「光のシュプール」の鮮烈さである。ラストに収録された「ありがとうのプレゼント」はNegicco自身によって作詞された、ファンへの感謝を伝える曲である。
Negiccoについてはメンバーのキャラクターやその物語性などはほとんど何も知らず、純粋に作品に強く引きつけられた。
もちろんよりもっと知りたくなるので動画などを見ていると、おそらくファンの方がいろいろな映像を編集してつくったと思われる、Negiccoの歴史をまとめたものなどが見つかった。そして、その物語性やメンバーのキャラクターにもすっかりハマってしまったという状態である。こういうのは間違いなく新しいファンを増やすことに貢献しているなということを、身をもって実感したしだいである。
何よりも驚いたのがNegiccoに多くの曲を提供しているconnieさんという方が、元々は新潟県在住の1人のファンであり、当初は無償で楽曲提供していたらしいということである。
メンバーのMeguはDJとしても活動しているらしく、その動画も見ることができた。その様子を見ているだけでもかなり好感が持てるのだが、私がモーニング娘。の中でもかなり好きな「ポップコーンラブ!」を選曲して、かなり盛り上っていたのも最高であった。続けてNegiccoの「Rice&Snow」に収録された「クリームソーダLove」をかけていた。また、「二人の遊戯」については、おそらくアルバムの中で一番好きだとも言っていた。
「Rice&SNOW」の全曲視聴用映像なるものが存在することを知った。5分24秒間でアルバムがだいたいどのような感じかを知ることができて、これは便利だと思った。
Rice&Snow/Negicco

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