NIGHT THOUGHTS | …

i am so disappointed.

金曜日の夜、新潟県のホテルにいたが、夜にiPhoneでNMEの最新号をダウンロードした。

NMEは昨年の9月に無料ペーパーになり、編集方針もかなり変ってしまった。音楽以外の記事の比重が大きくなり、文章の量は明らかに少なくなった。

今年になってからしばらく出なくて、これはもう雑誌の方はやめてしまってWEBだけになってしまったのだろうかとも思ったのだが、15日になってやっと出た。久々に読む最新号だったが、やはりこの雑誌は今も私にとってとても楽しめるものだということを再認識した。

そしてその翌週に出たのが現時点での最新号であり、アルバム・レヴューにおいてはサヴェージズ、スウェード、ファット・ホワイト・ファミリーが大きく取り上げられ、いずれも5点満点中4点の高評価であった。Apple Musicで検索したところすべてあったため、マイミュージックに追加して、その夜はサヴェージズを聴きながら寝た。

さて、スウェードである。これまで私が最も多くライヴに行ったのがこのバンドである。最初は1993年の初来日時、川崎クラブチッタであった。最後は1999年、「ヘッドミュージック」の時の赤坂ブリッツだったと思う。

1990年代のブリットポップ、つまり英国出身の主にギター・バンドを中心としたムーヴメントはとても楽しかった。オアシスもブラーもパルプもザ・ヴァーヴももちろん良いのだが、やはり私はスウェードが最も大好きである。

1992年の春にあるきっかけでNMEを読みはじめ、休日には誌面で紹介された気になるレコードを買いに、西新宿にあったラフ・トレード・ショップなどに出かけていた。

前年秋に出たニルヴァーナ「ネヴァーマインド」が大ヒットして、オルタナティヴなポップ・シーンの話題はほぼそれ一色という感じであった。英国のインディー・シーンにおいては、ダンスとロックの融合であるマッドチェスター・ムーヴメントが終息していたが、プライマル・スクリーム「スクリーマデリカ」、マイ・ブラディー・ヴァレンタイン「愛なき世界」、ティーンエイジ・ファンクラブ「バンドワゴネスク」といった優れたアルバムが、しかもすべて同じレーベルからリリースされたりしていた。

ブラーは年の初めによりヘヴィーでラウドなサウンドの「ポップシーン」というシングルをリリースしたが、セールス的には大失敗となった。そして、NMEではニュー・グラムなる新たなムーヴメントのことが書かれていた。

スウェードのデビュー・シングル「ザ・ドラウナーズ」がリリースされた1992年5月、同時期に話題になっていたのはアドラブルの「サンシャイン・スマイル」であった。当時絶好調だったクリエイション・レコーズからの新人バンドである。また、PJハーヴェイのデビュー・アルバム「ドライ」が高く評価されていた。

スウェードの魅力は1970年代のグラム・ロックを彷彿とさせる音楽性とフロントマンであるブレット・アンダーソンのカリスマ性ということだったような記憶がある。とうのも、当時は現在のように気になったバンドの音楽や映像をインターネットですぐにチェックできるような環境にはなく、また、スウェードの「ザ・ドラウナーズ」は当時、輸入レコード店に行っても品切れしている場合が多かったのである。

私がやっと「ザ・ドラウナーズ」の12インチ・シングルを手に入れて、自宅のステレオで聴くことができたのは、このバンドのことをNMEの記事で知ってから少し経った頃であった。針がレコードの溝の上に下り、スピーカーから流れてきたのはドラムのビートに続いて、なんともなまめかしいギターのメロディーであった。そして、ブレット・アンダーソンのユニセックス的なセクシーなヴォーカルと美しいメロディーが、すぐに気に入ってしまった。

それからしばらく、ずっと現役で最も好きなバンドであり続けた。英国産のギター・バンドがブームになって、オアシスやブラーやパルプなどが大人気になっても、ずっと1番好きなのはスウェードであった。

あの陽気で狂騒的なムーヴメントの中で、異彩を放つ暗さがとても好きだった。暗いのだがポップなのだ。

「ドッグ・マン・スター」でギタリストのバーナード・バトラーが脱退し、次の「カミング・アップ」からは新体制となるが、そこからはヒット曲が連発された。暗さが後退したことにややさびしさは感じたのだが、独特の世界観はやはり健在であり、大いに楽しむことができた。次作の「ヘッドミュージック」ではダンス音楽の要素も取り入れ、私が大好きなプリンスの影響が感じられる部分もあった。

1990年代が終ってから少し経ち、「ニュー・モーニング」というアルバムが発表された。音楽シーンの流れもかなり変っていて、スウェードの音楽はもはや時代遅れのようにも感じられた。このアルバムも買ったのだが、あまり聴かなかったような気がする。セールス的にも惨敗し、少し後にスウェードは解散した。

数年前、スウェードが一夜限りの再結成をし、そのライヴの内容も素晴らしかったということを知った。その後も活動を続け、2013年にはアルバム「ブラッドスポーツ」を発表した。これはかなり評価が高かった。そして、先日、最新作の「夜の瞑想」がリリースされた。

1990年代の全盛期と地続きのスウェードらしさが全開でありながら、現役感がものすごくある。堂々とした風格も感じられるのだが、溌剌ともしている。素晴らしい作品である。

良い時や悪い時を経験し、その上で独自性を高めながら、錆びずに現役でい続ける。これこそが理想のあり方であろう。



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