「タヌキとキツネのばかしあい」東京都知事選だが、意外な大差で決着した。
今回56人の候補が乱立した選挙だったが、得票率が10%を超えて供託金を没収されなかったのはわずかに3人だけ。
全候補者中第4位の26万票あまりを獲得した元航空幕僚長田母神俊雄さんも得票率3.92%で
貴重な老後資金300万円を没収されてしまった。おっしゃっていることはマトモだし、保守層の後押しでもう少し得票できるものと予想していたがお気の毒な限り(まあそういう私も投票していないが)。
もう一人私が注目していた候補が「あのねのね」の清水国明さんである。
「赤とんぼの唄」でメジャーデビューしてから50年、いったいなにをトチ狂った(失礼)のだろうか。
(1973年メジャーデビュー 相方の原田さんは選挙応援には加わらなかった模様)
清水さんの得票数は全体10位の3万8000票あまり。
「魚屋のおっさんが屁をこいた『ブリ』」
「歯車に手を挟まれた『ギヤ』」
で笑い転げた世代(私もそう)がもっと投票するものと予想したが、昭和は遠くに消え去ったようだ(もっとも私も投票していないが)。
それにしても暑い。
気分がクサクサするのでご近所の飲みトモAさんに「火曜か水曜暑気払いどうですか」と連絡したのだが一向に返事がない。やむなく新たなご近所の飲みトモBさんにも同じ内容のメールを出したがこれも梨の礫。
皆さんなんだかんだお忙しいだろうから仕方ないな、と諦めていたところに夜になって立て続けに返信があった。Aさんは火曜日、Bさんは水曜が都合がいいということで、2晩連続の暑気払いとなった次第である。
(ええ加減にせいや)
何故暑気払いはカブるのだろうか。
答は簡単、「Aさんと飲みたいな」「Bさんに会いたいな」という赤心でなく、「誰でもいいから暑気払いしたいよ~」という身勝手な欲求がなせる業だから。考えてみればゴルフがカブるのも同じ原因だ(汗)。
この日は井の頭線沿線で所用を済ませたAさんと同線三鷹台駅の真下にできた新店で待ち合わせ。店名は失念したがどうやら「ザンギ」とおでんの店らしい。
「ザンギ・・・。なんかそんな唄がありましたね」
「あ~、北原ミレイの『ざんぎの値打ちもない』でしょ」と私。
あれは2月の寒い夜~ やっと14になったころ
窓にちらほら雪がふり~ 部屋は冷え冷え暗かった
「(暑気払いっぽくていいね)愛というのじゃ~」
「ほかのお客さんの迷惑だから唄わないでいいから」
じゃますんな。この唐変木め。
(要するに鶏の唐揚げだな、こりゃ)
Aさんは速射砲のようにしゃべくりまくる。ヒトの受精卵はまず最初に肛門が形成され、あとから口が出現するのだが、どうやらAさんは突然変異で口が2つ出来たらしい。
遅れをとってはならじとボケにははっしとツッコみ、ツッコんではボケる応酬はあたかも卓球の高速ラリーのようで、店内のお客さんも固唾を飲んでやりとりを眺めている。
「清水さんの相方は原田なんだっけ」
「原田ダイジローでしょ」
「それは俳優でしょ。ちょっと調べてみましょう」
スマホをいじりだしたAさんの興味は一瞬のうちに明後日の方に向かい、結局名前は分からずじまい。
しゃべり疲れたザンギの帰り
これで暑気払いも終わりかな、今夜は、とつぶやいた
2人はどちらからともなくよろばうように近くのバーへ。
(Aさんは階段から転げ落ちそうな足取り)
他のお客さんがいないことをいいことに、ああでもないこうでもないとしゃべり散らかしているといつしか夜も更けていた。
「夏の夜の夢、ですね」
「まことにザンギの念にたえません」
暑気払い第1夜は無事お開きとあいなった。