アルトサックスに初めて触れてからはや3か月。
腕前はというとまさに隔靴掻痒、いっこうに上手くならない。とはいえ「アメージンググレース」と「一週間」だけは八ヶ岳高原音楽堂で吹いても見劣りしないレベルになった。
(実際に演奏したら暴動が起きるだろう)
現在マスターしつつあるのが「いとしのエリー」と「翼をください」。こういうスローテンポの曲だと息(アンブシュア)も指使いもなんとか追いつく。
(♯や♭が少ないのがいい)
問題は課題曲の「君の瞳に恋してる Can't take my eyes off of you」だ。
この曲のサビのとこ、つまり、
I love you, baby and it's quite all right
I need you,baby to warm a lonely night・・・
というところを演奏したかったのに、三浦センセイからいただいた楽譜にはその肝心の部分が抜けていた。
技量、性格、容姿と三拍子そろったセンセイにもヌケたところもあるんだなあと微笑ましく思っていたのだが、意外な事実が判明した。
サビは抜けていたのではなく、私の演奏だとなんだか御詠歌のようでサビがサビに聞こえないだけだったのだ。残念~。
( ちゃんとあるんだよ!)
1か月ぶりのレッスンは息を細く強く出すこと(音量を抑えてより長く吹けるように)と、さらに難しい指使いに集中した。
左写真の黒丸に親指を乗せてサックスを支えつつ、親指の先っちょでバーを押しながら親指と人差し指のつけねでレバーを倒しつつ人差し指~薬指は反対側のボタンを押す、・・って曲芸か?
レッスンの後半ヘトヘトになった私の代わりにセンセイがケースから「君の瞳に・・・」の楽譜をとりだしてくださった。
「あ、ビリージョエル! ・・・練習しているんですか」
「いや、その、あの、つい買っちゃったんです~」
なんだか万引き現行犯で逮捕されたようにうろたえる私。
(「めちゃモテサックス」という恥ずかしい名前の楽譜シリーズより)
「New York State of Mind、いい曲ですね。次回ちょっとやってみましょうか」
センセイは弟子の勝手なふるまいに気を悪くすることもなく、楽譜にドレミファを記入することを宿題にされた。
「それにしても・・・」
センセイの眼が妖しく光った。やっぱり機嫌を損ねたのかも。
「男のヒトって皆さんビリージョエルが大好きですね~」
そうだったのか。