イロモノもまた楽し 末広亭で切り紙の肖像をもらう | 八ヶ岳ゆるふわ日記

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八ヶ岳南麓大泉と東京を行ったり来たりの毎日。日々のよしなしごとを綴ります。

(Portrait in Suehiro ゆるふわ66歳の肖像)

 

 寄席初体験のAさんだが、ワハハワハハと最前列の席で大笑い。笑い声があまりにデカいものだから、演者の皆さんもなんとなくAさんに語り掛ける、というような塩梅である。

 

 本日のイロモノ(落語以外の出し物)のひとつが林家今丸師匠による紙切り。

 いつもなら、

「どなたか切り紙のリクエストはありますか」

「大谷翔平」

「バスケットボール」

なんて客席から声がかかるのだが、この日はシーンとしている。

 

(林家今丸 紙切り一筋60年 81歳とは思えない若々しさ)

 

 これには理由があって、この日は女性客が比較的多く客席のあちこちからオホホ、ウフフ、と黄色い笑い声が起きていた。

 これは客席の雰囲気に敏感な咄家さん達も相当気になったらしく、

「今日はお美しいお客様ばかりで、いえお若いとは申しておりません」

「なんだかやる気が起きますな」

なんて全員が全員マクラにとりあげる始末。

 こうなるといつもならああだこうだとリクエストするおじさん連中も、なんだか今日は女性の集まりにお呼ばれしたような心持ちになって委縮してしまったのだ。オス族は女性が思う以上にナイーブなのである。

 

「リクエストがないのも珍しいですね、じゃあまずはおめでたいとこで恵比須様でも」

と紙を切り始めた今丸師匠、最前列の私を見咎めると、

「あ、一番前のおめでたそうなお客さん、おひげとメガネを入れてお客さんの似顔を切りましょう」

と、やおらこさえてくれたのが恵比寿さん風の私の肖像である(一番上の写真)。

 

 肖像と記念の千社札シールを頂戴したのはいいのだが、紙切り作業のつなぎに、

「おひげがなんともいえませんな」

「お召し物がまたお人柄を表しているようで実におめでたい」

「お顔も恵比寿さんにまさに生き写し」

などとしゃべり散らかすものだから、切り絵をもらって客席に顔を向けた時の満座の視線の痛いことといったら。

 恥の多い人生でした。

 

(千社札シールはさっそく愛用の水筒に貼りつけた)

 

 4時半に昼の部が終わり、二人は早くも第二部の飲みへ。

 

(おのぼりさん丸出しで二人で記念撮影)

 

 向かった先は京王線八幡山駅の割烹居酒屋「豊利乃(ほりの)」。京王線沿線に住む食い意地の張った友人に教えてもらった店である。

 Aさんのお住まいは京王線某駅、私も八幡山なら井の頭線高井戸駅まで歩いてすぐだからお互い都合がよい。

 

(また記念写真 ふだんはダンディなAさんだが鞄をたすきがけにすると俄かにおのぼりさん風に変身した)

 

 飲んで食ってしゃべり散らかして、じゃあまたと後日を約して店を出たのが8時ころ。

 

「祭りのあと」はなんともわびしいものだ。

 トボトボと高井戸駅まで歩いて井の頭線某駅で降りた時にはどこかでちょっと景気をつけたい気分になっていた。

 

 駅前の名も知れぬバー(←覚える気がないだけ)に飛び込んでハイボールをグビリとやると俄かに腹が減ってきた。

 メニューを見ると「鶏とひよこ豆のミニカレー」というのがあった。最後にカレーを食ったのは初狩PAのトホホカレーだからこれはちょうどいい。

 

 さっそく頼んでみるとミニカレーとは思えないほど量が多い。

 

(ひよこ豆がよく煮込んであって初狩よりだいぶ旨い)

 

 思わず左隣のお客さん(←カレーがある方)に声をかけた。

 失礼ですがカレー手伝ってもらえませんかね、いえお恥ずかしい話ですが飲んで食ってきたばかりなんでこんなに食えません、いや遠慮しないでもっともっと、あ、カレーばっか取らないでご飯も取ってもらわなきゃ、ものにはバランスってえもんがあるでしょうが。

 

 なんとなく伝法な物言いになるあたり、さすが寄席帰りはひと味違うのであった。