(ユキヤナギが開花した)
生来買い物が大好き(正確に言うとカネを遣うのが好き)な私は八ヶ岳南麓大泉に滞在している時は
ほぼ毎日「ひまわり市場」に出かけるのだが、市内からコロナの感染者が出たことから買い物の頻度を
一日おきとすることにした。
同じような方が多いのだろう、「ひまわり市場」では冷凍食品コーナーがにわかに活況を呈している。
今まで全く興味がなかったのだが、覗いてみるとどれも大層旨そうである。
目移りしてしまって中々選べない。
散々悩んだ挙句「ピザレボ(有名なのだろうか)」のナスとベーコンのピザと、「マルケー食品 海のごちそう(同上)」シリーズからイカスミのパエリアを購入した。
(写真は翌々日に撮ったコーンのピザ)
店を出てクルマに乗り込もうとしたところで見知らぬご婦人が声をかけてきた。
「あの、失礼ですけどさっきピザ買いましたよね」
「はい、買いましたけど(なんか文句あっか)」
上品な感じのご婦人はやおら買い物袋の中から何かが詰まったレジ袋を取り出した。
これは宗教団体の勧誘かもしれない。
カネ遣いが荒くておツムの弱そうなカモを物色しているのだろう。あまたの客の中から私に目をつけるとはこのご婦人中々の慧眼である(感心のしかたがちょっとズレているような気も)。
宗教の勧誘だったら「既に『八ヶ岳ゆるふわの家』に加入してます」ということにしよう。
寄付のお願いならバカのふり(←得意技)。
袋から変なモノ(例えばカメムシとか)が出てきたら店に逃げ込もう。
あれこれシミュレーションし始めた私の前に出されたものは大量のふきのとうであった。
「新潟の知人がたくさん送ってくれたんですよ。ピザに載せるととても美味しいから試してみて」
「・・・」
茫然とする私にご婦人はレジ袋を手渡すと山梨ナンバーの赤いクルマで疾風のように去って行った。
これはいったいどういうことなのだろう。
ご婦人はフキノトウピザの旨さを誰かと共有したくて店先でピザ好きが来るのを待ち構えていたのだろうか。それともピザ好きの誰かに届ける予定だったのだが、鬼気迫る形相でピザを物色している老人が目に入ったのでつい情にほだされたのだろうか。
忘れかけていた~ しあわせ~
あなたにも 分けてあげたい~
おおチェルシー もひとつチェルシー
という感じ(チェルシーの歌の記事は → ここ )。
家に帰って家内に告げるとちょっと気味悪がっていたもののどう考えても悪い人には思えず、さっそく晩メシにふき味噌をこさえてもらった。
旨い。春そのもののホロ苦さがビールによし。日本酒によし。
翌朝庭のユキヤナギが開花した。
今まで全く気がつかなかったのだが、根元に一輪のふきのとうが顔を出していた。奇遇とでもいうのだろうか、ちょっと不思議な気分である。
(もうすっかりトウが立っている)
名前も知らずお礼も申し上げずに別れたご婦人。
小さな幸せありがとうございました。
昼メシはフキノトウトッピングのピザ。
・・・こっちは残念ながらチーズやトマトソースの風味がふきのとうに負けてしまう感じである。