(イランレストラン Jame Jam )
かねて懸案となっていた町内の後輩T君の退職祝いを阿佐ヶ谷でやることにした(関連記事 定年退職はこわくない!)。S君の職場の同僚にして私の高校の後輩だというO君もまざって総勢3名である。
いまだ現役のお二人に代わり、先乗りスコアラーとして私が店を物色することにした。
(夕暮れの飲み屋街はいい雰囲気)
さ~てどこにしようか。阿佐ヶ谷の飲み屋街をブラブラしていると、かねてから気になっていたイランレストラン「Jame Jam」が目に入った。この世に生をうけてもうすぐ62年、イラン料理というのはこれまで
一度も口にしたことがない。
退職祝いの席としてこの手の店が適切かは意見の分かれるところだが、
「T君はさ、元々下戸だからツマミは何でもいいはず(飲めないからこそ食い物に拘る、というのも一理あるが)」、
「0君は、何かの事情でアブダビだかバーレーンだかに2年ほど駐在したことがあるので羊系統は大丈夫だろう(二度と食いたくない、と思っている可能性もなくはないが)」、ということで今宵の宴席はイラン料理となった。要するに、どうしても行きたくなったのである。
(HPによると開業は2007年 店名の由来は不明)
おそるおそる店内に入ると、カルロスゴーンと元横綱曙を混ぜたような風貌の巨漢オーナーキャラバンディ氏(54)がにこやかに迎えてくれた。なおHPには本人とは到底思えない若くてスリムなキャラ氏が載っている。
「日本はもう長いんですか」
「そう、長いヨ。ヘセ変わったから国に帰ろうかな」
ヘセ。兵制か。イラン革命防衛隊が徴兵制から志願制に切り替わったのだろう。きっと息子さんがそういう年齢なのだ。
「今帰っても経済制裁とかで大変でしょ」
「ううん、大丈夫。ヘセ1年に来て、今年で30年だからネ」
なんだ「平成」か。
二人を待つ間、ワインとツマミでチビチビやりたい、と告げると、
「あ~おつまみ。パニール(チーズ)がお勧めデス」とのこと。
キャラ氏によるとインドのパニールはヤギの乳、イランのパニールは羊の乳で作るそうだ。ペルシャ語とヒンズー語はとても近いらしく、パニールに限らず共通の単語も多いそうで、インド人の会話も詳細は分からないがなんとなくは理解できるという。
(お勧めのパニール ワインに合う)
やがて二人が登場し、酒宴も一気に盛り上がった、といいたいところだが、O君も殆ど下戸というのでいまひとつ気勢があがらない。ただ二人ともこの手の食い物は好きらしく、これがいい、あれもいいと食い物選びに夢中になってくれたのが不幸中の幸いである。
左:ドルメ 羊肉ともち米をブドウの葉でくるんだ粽みたいなもの
右:フェラーフェル ひよこ豆のコロッケ
聞けばT君の再雇用生活は給料が半分以下になったことを除けば何一つ変わっていないという。そんなわけで本人もイマイチ定年退職したという実感がないらしく、退職問題よりも食う方に夢中だ。
上:ジュージェキャバーブ チキン串焼きレモンガーリックソース
下:チェンジェキャバーブ 羊モモ肉串焼き
O君はといえば、祖父の代の古い別荘が蓼科湖にあるそうで八ヶ岳生活がえらく気に入っているという。ただいかんせん標高が高いので八ヶ岳南麓に住みたいということで私の生活に興味津々、こっちも退職問題には全く関心がない模様。
ソルタニモルグ(だったか?) バターライス、焼きトマトとなんとかケバブ
結局退職祝いとはいえシンミリした雰囲気はどこへやら。大いに飲み(私だけ)、大いに食って楽しい
一夜を過ごすことになった。
イラン料理、想像以上に楽しめます。
ただ、味がぜ~んぶ同じに感じられるのは、初めて日本に来た外国人が何を食っても醤油の味しかしない、というのと同じで味に不慣れなゆえの哀しさだろう。
(階段がこわいのでお出迎えは上で)