同じ町内に住む会社時代の後輩T君から連絡があった。
同君は3期後輩だが、青春時代にすべったり転んだり紆余曲折があったらしくこの3月で定年退職だというので早速会って話を聞いてみた。
T君は既に定年再雇用は決めているのだが、先輩方の悲惨な再雇用ライフを耳にするにつれ次第に不安にかられてきたらしく、再雇用に応じなかった数少ないサンプルである私の生態を観察しよう、ということらしい。
自分の経験からいってもこの時期おセンチな気分になるのはよ~く分かる(退職時の心境の記事は → 「終わった人」を選ぶワケ )。
この3月に定年を迎える方は全国でどの位いらっしゃるのだろうか。
総務省統計局の「労働力調査」によると2018年12月時点の雇用者のうち「契約期間の定めがない雇用者(定年のある正社員に近似)」は全国に3478万人、うち55~64歳の方は495万人なので、ざっくり100万人の方がめでたく定年退職となるわけだ。
サラリーマン生活、長いことお疲れ様でした。
この100万人の人々の半分以上の方がT君と同じように再雇用に応じるはず。理由は、
「経済的に働かざるを得ない」
「辞めてもすることがない、今は考えたくない(結論先延ばし)」
「辞めると居場所がない(粗大ゴミ化)
といったところだろう。
このうち先延ばしタイプと粗大ゴミタイプ(ひどいネーミングだ)は、クヨクヨと悩んで図書館に溢れかえっている「不安ビジネス本」にひっかかることになる。
(老後コーナーは日々拡張されている)
何十冊も読んだ私は断言できるが、この中に読んで役に立つものは一冊もない。
せいぜい「あ~同じような境遇は私だけじゃないのね」という新聞の人生相談と同等の効果が得られる
だけである。そうは言っても、という方には「定年バカ」(勢古浩爾SB新書)のご一読をお勧めしたい(読むのがメンド臭い方はこちらをどうぞ → 「定年不安バカ、『定年バカ』を読む」 )。
再雇用に応じず会社を去ることにクヨクヨしている方、
再雇用に応じたもののやはり辞めようかとクヨクヨしている方、
そんな方々に私は言いたい。
もうサラリーマン生活は十分でしょ。少なくともサラリーマン時代の苦役から解放されるだけでも、視界は良好になりますって。
(品川港南口の通勤ラッシュ かつて私も首輪レミングの一員だった)
(部長のバカやろ~「飲んで飲んで飲まれて飲んで」、そんな日は追憶の彼方)
再雇用とはいえT君の新たな旅立ちを応援したい。
「あのさ、3月のどこでもいいから退職祝いをやらせてよ」
「ありがとうございます!ただ3月はまるまるスペイン旅行に行くので、4月以降で・・」
う~む、世の中でおセンチな気分になっているのは私だけかもしれない。