愛犬の遠吠えと音階の謎 | 八ヶ岳ゆるふわ日記

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八ヶ岳南麓大泉と東京を行ったり来たりの毎日。日々のよしなしごとを綴ります。

 

(オオカミの遠吠え そらも全く同じ姿勢で天に向かって遠吠えする)

 

 愛犬そらと散歩をしていると、ピーポーピーポーと救急車のサイレンが聞こえてきた。寒さとインフルエンザ禍のせいか、我が家の周辺ではここのところ救急車が活躍している。

 

 やがて救急車は近づいてきて我々のすぐ脇を通り抜けていったが、通過の瞬間そらは「おお~ん、おおお~ん」と何度か遠吠えをした。

 その姿勢といい、音色といい、我が犬ながら野性の気高さを感じさせる遠吠えは、通りがかりの人からも「おお」と喝采があがるほどの見事な出来栄えである。

 

(ジャックロンドン「野性の呼び声」そらの遠吠えを聞くと思い出す本

 高校の時現国の教師に夏休みに読むよう言われたのだが、今にして思うとそれは授業の一環では

 なく教師の感傷につきあわされたのだ。それだけ心にいつまでも残る作品である)

 

 そらが遠吠えをするのは救急車のサイレンがごく近くで聞こえた時だけで、パトカーや消防車のサイレンには全く反応しない。どうやらそらには救急車のサイレンが仲間の遠吠えに聞こえて思わず共鳴するらしい。

 調べてみるとこの共鳴遠吠え現象は、ある犬はパトカーに、またある犬は下校を促す学校のサイレンに反応するといったふうに犬によって千差万別のようだ。

 

 また遠吠え自体ご先祖様のオオカミの習性だから、オオカミに近い犬種ほど遠吠えをするという。オオカミに最も近い犬(つまり現代の犬たちの親元のようなもの)は、柴犬、秋田犬、チャウチャウということが動物学者の研究で明らかになっているから、柴犬の血が入っているそらが見事な遠吠えをするのも遺伝子的には至極当然なのである。

 

(仲間(救急車)が去っていく方向がいつまでも気になる)

 

 救急車のサイレンは「救急車に備えるサイレンの音色の概要」(1970年6月消防庁長官通知)で定められており、ピーが960Hzポーが770Hzで、これに10Hz幅のビブラートがかかる。ドレミでいうと、「シ」と「ソ」に近い。またパトカーは870Hzらしいから「ラ」である(消防車は不明)。

 想像であるが、おそらくそらの耳には「お~い(ピー)」、「ここだよ~(ポー)」と、複数の犬たちの群れが叫んでいるように聞こえるのだろう。

 

 ちなみにドレミの周波数は以下のようになっているらしい。

 ラ 440Hz 基本の音

 シ 494Hz

 ド 523Hz

 レ 587Hz

 ミ 659Hz

 ファ698Hz

 ソ 784Hz ←救急車のポー

 ラ 880Hz ←パトカー

 シ 988Hz ←救急車のピー

 ド 1046Hz

 

 不思議なことに倍の周波数の音(上でいうと基本のラの440Hzとパトカーのラの880Hz)、つまりオクターブごとの音は人間の耳にはどちらも「ラ」に聞こえるという。これは慣れによるものなのだろうか、それとも生理学的な必然なのだろうか。

 

 また、何故440Hzが基本の音なのかも気になる。440Hzは鼓動の音とか、せせらぎの音とか、なにかしら身近な音で耳に心地よい周波数なのだろうか。

 

 さらに「ラ」から次の「ラ」まで、定率で掛け算していくと倍の周波数になるように12の音階が刻まれている(定率=2の12乗根ということ)そうだが、そもそも12音で音階を形成することは沿革的な偶然なのだろうか、それとも科学的な合理性があるのだろうか。

 

 遠吠えの秘密が解明された今、音階の秘密が無性に気になるが、残念ながら音痴の私には想像する余地もない。

 

 

 (野性から愛犬に戻っておやつを待つそら)