八ヶ岳バラ庭園無料コンサートに行ってみた | 八ヶ岳ゆるふわ日記

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八ヶ岳南麓大泉と東京を行ったり来たりの毎日。日々のよしなしごとを綴ります。

(命の水)

 

 「クラフトアイビー」主宰の谷野夏江さんが所有するバラ園で無料コンサートが開催された。といっても

私はクラフトアイビーも谷野さんも全く存じ上げない。たまたまポスターでその存在を知ったのである。

 本日の演奏は、「ピミエンタ(スペイン語で胡椒のこと 命名の由来は不明)」のお二人によるアンデス音楽である。

 

 釘になるよりはハンマーになりたい できるなら

 街路になるよりは森になりたい できるなら

というあれです。

 

 演奏は12:30開始となっていたが、とかくせっかちな私は北杜市5万市民が無料コンサート見たさにバラ園に殺到するという妄想にかられ、11:30に会場に到着した。

 場所はペンションブロッサムや、コンプレ堂からさらに入った牧場(ポスターによると出羽牧場というらしい)の隣、イタリアンレストラン「qui」がちょうどよい目印である。

 

左:かつては「ミルクの家」というボロい小屋があったが、今は「qui」というイタリアン

右:牧草地の仮設駐車場からバラ園の建物を望む

 

 会場は地域のお祭りのような雰囲気で、屋外では焼きとうもろこし、峠の釜めし、朝採りの桃、花豆なんてものを思い思いに売っている。大きな屋敷の中ではコンプレ堂のお母さんと娘さんがいつもと同じく仲良くパンを売っていた。

 

 「秘密の花園」の入り口を思わせる門を開けるとそこは一面のバラ園であった。一週間ほど前が満開だったそうだが、今でもバラたちは豪華に咲き誇っている。

 

 さすがに開演1時間前、客席の一番いいところ、すなわち最前列の砂かぶりが空いていた。

 これも日頃の善行と用意周到な性格のなせる業と一人悦に入ったが、実はこの席は最悪で、直射日光の容赦ない猛射を浴びるのである。よく見ると日蔭の席から順に埋まっていくではないか。

 

左:客席最前列から屋敷方向を見る パラソル下、最高の席は満席

右:パーゴラの下にも客席が ここも上等な席 

 

 虚栄心と中性脂肪の塊である私は、

 「ふふふ、素人さんは音楽より健康の方がそりゃ大事だわな」とうそぶき(心の中で)、一人最前列で虚勢をはり続けたが、12時を回るころには熱中症の初期症状で朦朧となりはじめ、水分を補給せざるを得ない状況に追い込まれた。

 売店で飲み物を買うことにしたのはいいが、どこまでも虚栄心が私を責めさいなむ。

 「ノンアルコールビール下さい」なんてカッコつけた挙句、缶を持ってまたぞろ砂かぶりに戻り、

 「ふふふ、通は音楽とアルコールでしょ、やっぱし。あ、でも運転があるからさ、今日はノンアル」と周囲にすごんでみせたが、言うまでもなく誰も見ていない。

 

 やがて音楽が始まった。

 1曲目は「買い込んでブルータス」?ブルータスよ、いったい何を買い込んだのだ?

 曲名は「魔女のいる袋小路」という意味だという。フォルクローレの野太いリズムが私の鼓動と同期し、私を混乱へと導く。

 

 2曲目は穴山にお住まいの原田さん(女性の方)のオリジナル、「カラのジェンダー」?

 「カラ」はシジュウカラのカラだそうだが、鳥の世界でもジェンダーが問題視されているのか?

 山本さん(男の方)の吹く鳥のさえずりのような笛の音が私の脳裏にチカチカと点滅する。

 

 そして3曲目は el condor pasa  コンドルは飛んでいく、である。どこへ?

 会場が盛り上がる中、山本さんの葦笛の旋律が私を幽界へと誘う。

 

 あ、ダメ。

 「YBSニュースの星」のネタになる寸前のところで、私は一世一代の気力を振り絞って大向こうに見栄を切り、「飛び六方」でダン、ダン、ダダン、ダンと会場を後にした。

 たまたま会場に居合わせたブログ友のYさんご夫婦がその様子をご覧になっていたそうだが、お二人には武蔵坊弁慶ではなく足元がふらつく哀れな老人にしか見えなかったであろう。 

 

左:砂かぶりから撮ったピミエンタの二人

右:花道から振り向きざまに撮ったステージ遠景

 

 谷野さんありがとうございました。 

 無料コンサートは今年で4回目とのこと、来年も是非お願いします。

 足を運ばれる際には、帽子と飲み物持参、そして日蔭の席に陣取られることを強くお奨めします。