ご当地ものがどうも冴えない。
大相撲は中日を終えて竜電が3勝5敗、ご当地中のご当地力士欧翔山(西序二段53)が2勝2敗だ。
(欧翔山twitterのプロフィール画像より 可愛らしいけどその分迫力はない)
Jリーグも第4節終了時点でヴァンフォーレ甲府は1勝2分け1敗の勝ち点5、12位である。
昨シーズンの残留仲間清水エスパルスやサンフレッチェ広島は序盤とはいえ好調の様子で余計に寂しいものがある。広島ファン、清水ファンの皆様よかったですね~。
さらに春の選抜高校野球は今回36校も出場するのに山梨県勢は、なし。補欠にも入っていない。
このまま盛り上がらない気分で定年退職を迎えるのかと思うと気が重くなった。
そこで(どこでだ?)、気晴らしにかねてから気になっていた銀行の貸金庫を確認に行ってきた。
独居老人となった老母は古ぼけた耐火金庫に通帳、実印、天皇陛下在位何年だか記念コイン(1枚)、年金証書、口座振替依頼書、香典袋、お薬手帳その他ゴミ芥の類を保管している。
中でも魂消たのは40年前に亡父が墓を建てた時石材店の言い値がひどく高くてもめたらしいのだが、その時の領収書とやりとりメモが後生大事に分厚く残っているのだ。
もうとっくのとおに時効、相手だって代変わりしているに違いないからそんなもの捨てろ、と言っても墓誌に父の名を刻むのはタダでやらせる、と玩として応じないのである。
まあ保管しているのはいいが、ダイヤルに触ると開けられなくなる、鍵もなくすと大変だというので金庫は常に開いた状態なのである。これは多くのお年寄りのお宅で「あるある」ではなかろうか。私はこの現象を「耐火金庫の100均整理棚化現象」と命名した(意味はありません)。
泥棒の類も心配だが、火災はもっと心配だ。
実家は築40年を過ぎた老朽木造家屋だから、おそらくどの電気コンセントもたっぷり埃をかぶっていて自然発火のチャンスを今や遅しと待ちわびているに違いない。扉が開いた状態では耐火性能は大きく損なわれるであろう。
「貸金庫」というのは、「マルサの女」とかいろんな映画で印象的なシーンで使われたりして、なんかかっこいい。私は幼少の時分から貸金庫にはほのかな憧憬を抱いていた。
ググってみると、賃料は想像より安い。ただとても人気があって大口で預金していないと順番が回ってこないらしい。ということは私の退職金の一部が近々振り込まれ、父の口座を凍結し、母の預金もある今が絶好のチャンスではないか。
私は最寄りの三井住友銀行へ足を運んだ。表面上の用件は、
・ 亡父の過去5年分の入出金明細提供依頼
税理士には10年分と言われていたが窓口のハキハキした女性(「URであ~る」の女性みたいな感
じ)が「ふつう5年ですけど~」と言うのでその場でセンセイに電話したところ「あ~5年でいいです」との
こと。亡父のバカ息子は見かけはともかくあこぎなマネはしていない、というのがそこはかと伝わってい
るらしい。これすごい節約である(この記事は→ ここ)。
・ 残高証明書の発行
・ 私の預金の入出金明細提供依頼
これも亡父のが5年でいいわけだから私のも5年でよい。結局通帳記帳のみですんじゃった。
であるが、手続きが終わると同時に、
「あの~、亡父の預金は全部こちらに持ってきますし、私の退職一時金もこちらに預けることにしてますが、貸金庫借りられますでしょうか?」と、おずおずと切り出した。
するとURさんは、莞爾として、
「当行に預金口座があればお使いいただけます!」とのこと。
(パンフレットであ~る)
この支店では大・中・小があって、大と中は満杯だという。
小の賃料は半年ごとに14,580円で、4月21日と10月21日に自動引き落とし、期中契約の場合は
月割になるので、4月1日以降にお手続きするとおトクです、とのこと。
え、でもボヤボヤしてると埋まっちゃいませんか、と訊ねると、
「大丈夫です!まだ100近く空いてるのであ~る」だって。
急に強気になった私が、う~ん、セキュリティが多少甘くてもいいのでもっと安いのはありませんか、と訊ねるとURさんは冗談だと思ったらしく無言でにっこりした。私も急に恥ずかしくなって冗談ということにしてその場をやり過ごした。
この不人気な「小サイズ」だが、公称サイズ間口28.4センチ×奥行54.5センチ×高さ6.5センチの
すぐれもの、1kgの金塊インゴットだと160個(7億6800万円相当)、100万円のズク(札束)だと54束収納できるのである。「中」や「大」の方はどれほどの資産家なのであろうか。
(あるところにはあ~る)
じゃあ来週にでも借りようかな、と告げると
「お客様が契約者、お母様を代理人(鍵を保有して使用できる)とする場合、あと2回足を運んでいただき、2回目はお母様にもご同席いただく必要があります!」、という。
私はにわかに気分が暗くなった。
母を同席させるとせっかくの貸金庫が古証文で満杯にされてしまうではないか。