家を建てる⑦ -完その3ー 窓、外壁 | 八ヶ岳ゆるふわ日記

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八ヶ岳南麓大泉と東京を行ったり来たりの毎日。日々のよしなしごとを綴ります。

 窓であるが、大黒社長はごく一般的な引き違い窓にしろ、と勧める。予算がそうなっているからだ。

引き違い窓は価格が安いだけでなく、我が国の生活スタイルにとてもマッチしていることも事実である。

〇 開放空間を大きくとれるので風通しがよい。

〇 したがってふとんが干しやすい。引き違い窓以外では干せるものはせいぜいタオル位だ。

〇 網戸が寸分の隙もなくおさまり、虫を寄せつけない。

 結局すべての窓(13か所)を引き違い窓にしたが、正面の窓だけ上げ下げ窓にしておけばよかったと思っている。ふとんを干すわけでもなく、広い開放空間が必要なわけでもないのだから見栄えで選択すべきだった。窓に関する後悔はこれだけである。

 

 なお、窓はすべてペアガラス、熱伝導の低い樹脂製枠にするようガツンと言ってやろう、と意気込んでいたが、見積もりですでに反映されていた。さすが大黒天、ボロは着てても心は錦、よりよい住まい方を追求している。
 

 窓、玄関ドア、室内引き戸(吊り戸)はすべてYKKAPである。ショールームが新宿にあるからだ。同じ理由で壁紙、カーテンはリリカラである。

 2つのショールームは、新宿とはいっても新宿駅南口と西武新宿に所在するので、結構離れている。

もしこの2社にコンタクトしようとお考えならば、午前中どちらかを訪れて、お昼は中間点のハルク裏「満来」の名物大盛チャーシュー麺などを楽しまれて午後の英気を養うことをお奨めする。

 

 最後に外壁である。私が一番悔やんでいるところだ。私は大泉スタンダードに基づき、漆喰壁にしたかった。ところが採算管理の鬼と化した社長は頑強に反対する。

「しっくいは、ひびや汚れが目立つら。 しょっ、ちゅう塗り替えだよ。」

「年金生活に入ると、ケチになっちもうよ。塗り替えなんかせんさ。 もう、きったねえ家だわ」

「ゆるふわさんがいつまで生きるつもりか知らんけんどね、まああと20年として、その間メンテナンスが

いらんのが理想ずら」

「私はいいんだけんどね、そこに住むわけじゃないし。そこに住むわけじゃないんで、いいんだけんどね、

私は。」

 

 辟易した私がじゃあ杉板鎧張りでいくか、というと、同じフレーズの繰り返し。

 結局メンテナンスが楽なサイディング壁で、ということになった。

 あくまでも「施主の希望により」、である。 

 

 いまや外壁の主流はこのサイディング壁で、東京の新築建売住宅はほぼ100%サイディングである。

 私はニチハのショールームを訪問した。日本橋にあるので、昼休みを利用して会社から行くことができるということと、商品ラインアップが充実しているからである。 カタログがすごいボリュームで、見ているうちに何を基準にして選べばよいか混乱してくる。

 ショールームには横1.5m×縦1mくらいのサイディング材がおかれている。カタログ写真では小さすぎてイメージがつかめないからだ。カーテン、壁紙と同じことである。また、20センチ角の見本を4枚まで

もらえる(その代わり、飲み物無料券とかのおまけはない 要改善点)。

 家にある見本を数えてみると、11枚だった。工務店に持ち込んでそのままになっているものも含めると15枚前後、都合4回はショールームを訪れていることになる。

 

 それでも壁は決まらない。

 そうこうしているうちに私は悟った。照明器具だと、

 カタログをじっくり見て候補を決める→ショールームに実物を確認しに行く→決定 というプロセスだ。

これを「演繹的サーチ手法」と命名しよう。

 

 演繹的サーチ手法を外壁に持ち込んでも成功しない。ショールームは小さく切り取った断片があるだけで実物があるわけではないからである。

 見本をいくらこねくり回しても実際に壁に貼ったときのイメージはわかない。しかも室内で見るのと太陽光の下で見るのでは明らかに色合いも違う。雨、曇り、晴れ、どうなるのか。春は、冬は?やがて徒労はあきらめを呼び、そして不安、孤独、絶望の負のサイクルだ。

 

 外壁における正しいプロセスは、

 近所や建築候補地を歩き回る

 →これいいね、というのをまず見つける

 →雨の日晴れの日何度も見る

 →商品名をカタログで照合する チャンスがあれば住んでる方に直接尋ねる

 →ショールームで見本をもらう

 →もう一度現地へ行って、同じものか確認

 →決定!

というものだ。名付けて「帰納法的サーチ手法」。

 なお、これらのネーミングは当時思いついたわけではなく、2、3日前に小池百合子さんが「アウフヘーベン」を連呼しているのに触発されたものである。

 

 私は愛犬とともにあちこち歩き回り、これいいね、というサイディングを物色した。

 まず、「よろい4段木目調 ティントベージュ」。鎧張りのフォルムが再現されている。

 家は総2階で軒なし、窓は上げ下げ窓だ。窓枠と屋根がダークグリーンでとても見栄えがよい。

 

 もうひとつは「キャスティングウッド ホワイトアッシュ」。削り出しの模様がリアルである。 

 都会では珍しい山小屋風のテイストの家。玄関灯もそんな感じのやつだ。窓は引き違い、屋根は

こげ茶のガルバリウムである。ここも軒なし。


 

 結局よろい4段を選んだ。キャスティングウッドだと、「大草原の小さな家」インガルス一家、という雰囲気が強いかな、と思ったからだ。 なお漆喰風の「しぶき」というのもあったが、上記2候補に比べるとやや本物感に欠けているように思い、これは考慮に入れなかった。

 

 社長と軍師殿に意見を聞くと、

「どっちもいいじゃんね~」と生あくびをしながらいう。まあ、どっちの価格も予算内なのでオーケーということだ。

 

 これらの努力のすえ、実際に施工してみると、カントリー調でいいね、などと思ったサイディングだが、いざ大泉の自然に囲まれてみるとやはりニセモノ感が強い。いくら精巧でも、自然素材が本来持つ風合いには及ばない。

 何年かたって少しすすけてくれば周囲に溶け込んでいくのかもしれない。それまで辛抱だ。
 
 もうひとつ後悔していることがある。何度も通ったニチハの株を買わなかったことである。
2015年6月を起点にすると50%も上昇している(青:ニチハ 緑:日経平均 赤:ODELIC)。
 
 とはいえ、2015年6月時点で住宅関連株を買うとしたら、私はODELIC株を買っていたに違いない。
「天使の株買っちゃった~、上がれ~上がれ~、天まで上がれ~」なんて浮かれている光景が、まざまざと目に浮かぶのである。
 
「家を建てる」シリーズは、あっちに寄り道、こっちで道草、ようやく終了である。
 

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