はるのふたり | a tiniest hope

a tiniest hope

ちっぽけな希望の話






〝しあわせとはなにですか?〟

〝自分以外の誰かを愛することだよ〟









〝あいとはなにですか?〟


〝大切なだれかの傍にいて

そのひとを抱きしめ続けることだよ〟


〝たとえ

そのひとが抱きしめ返してくれなくとも〟









去年の春

わたしは長崎の五島列島にいました


そこにいて

わたしは

信仰について

様々な想いをめぐらせました


信仰はおそらく特別なものではありません

祈りとは

わたし達の日常に宿るすべて


朝の挨拶も

ホッとひと息つくときも

ふと空を見上げる瞬間も

ご飯を口に運ぶ手先にも

車を走らせる帰り道にも

夜中携帯をいじる指先にも


あなたが作るあなたのリズムが宿っている


わたし達の暮らしは

歌を歌うことに似ていますね


祈りとは

生きていること

あなたが生きていることそれ自体


わたし達は毎日を生きながら

知らぬ間に祈りを届けているのだと思います

神さまとか空とか

そうゆう大きすぎるものへ







だからって
正しく生きようとか
ひとに優しくしようとか
そんなきれいごとは半分くらいでいい

あとの半分は
きっと
容赦のない真実ばかりです

わたしはこの旅のあと
大切なひとを諦めました

わたしは
大切なひとが大切にしている人たちを
どうしても愛せなかった

それをひどく恥じて
ひどく後悔する日々が長く続きました

だけど
仕方なかった

そう
〝仕方なかった〟

信仰が生きることだとしたら
真実はわたしの中にしかありません

他の誰かには死んでもわからないことを
ひとりでひっそりと守り抜くこと
それは
信仰と限りなく似ている〝愛〟なのではないでしょうか







詭弁だ
と貴方は言うかもしれない

そうだね

笑ってくれていい

あの時の海も空も
教会も風もひとびとも
すべてがうつくしかったから

わたしは
笑い返します




〝ほほえみがえし〟



また一緒に
会いにゆけたらいいね







わこ