7日8日と仕事がらみの視察会で仙台へ行きました。
仙台は千葉より少し寒い感じで、夜の冷え込みがあるせいか紅葉が盛んでした。
幾つかの施設を見学させていただいたのですが、印象に残っているのが「ナノテラス」というところで、東北大学内にあります。
この東北大学というところがすごく広いところで、山一つ使ってんじゃないか?というくらい広大な敷地のあちこちに施設が点在しています。
ここは高輝度放射光施設というところで、何やら難しい名前ですが、要するに精緻なX線写真を撮る事が出来る所です。
まずは電子を打ち出し、電磁石で加速していきます。
そのために施設の形状が、円と直線を組み合わせた数字の9のような形をしています。
直線部で電子を打ち出し、円を周回させることで、なんと光の速さまで加速できるそうです。
これまた難しい話ですが、光速の電子に電磁石で方向を曲げると、特殊なX戦(高輝度の光らしい)を放出するそうで、これをビームラインと呼び、専用の分岐ラインへ流します。
ラインの先に検体を置いてX線を当てることで、電子顕微鏡レベルの分析ができるそうで、様々な研究で用いられているそうです。
電子顕微鏡と違うのは、検体が塊でもOKな事で、その組成を調べる事が出来ますから、様々な試料を分析することで、新商品の開発に役立っているらしいです。
私は医療用の加速器(重粒子線を打ち出しガンを焼く)しか知りませんで、分析用にこういう施設がある事が驚きでした。
原子を打ち出して、電磁石の力で加速する加速器には、相当量の電気を必要とし、千葉の幕張にある施設で、ビーム一発で何百万円もすると聞いていたので、案内の方に伺ったところ、このX線用の加速器はそこまでエネルギーを必要とせず、次世代向けに電磁石から永久磁石へ変更することを考えているという事で、医療用とは比べ物にならないほど安く、実際に一時間4万円程で分析を受け付けているそうです。
知らないところで科学の最先端技術が開発され、用いられていました。
もう一つ気になった施設が「東松島市 防災備蓄基地」というところです。
ここは3.11で経験した防災グッズの必要をもとに建てられた、いわゆる備蓄倉庫で、中には水、食料、毛布、簡易トイレ、段ボールベッド、個人プライベート用のパーテーション、下着や靴下・タオル・歯磨きなどの緊急身の回りセット、紙おむつ(子供から大人までサイズ色々)、粉ミルク、発電機、スコップ、折り畳みのリヤカー、投光器他色々なものが用意されていて、毎日点検をし、使用期限が迫ってきた食料や水は買いなおして、古いものは地域のイベント等で活用しているそうです。
長期保存しますので、収納に使用している段ボールが痛んできますと中身の入れ替えをしたり、一輪車のタイヤがゴムですから時間経過で傷みますので、定期的に交換しているそうです。
そしていつ来るか分からない災害に備えるだけではなく、他地方の災害へ援助をしている、と言っていました。
熊本や千葉、最近では能登など大規模災害が発生したところへ支援物資を送ってきたそうです。
そこで出てきた疑問、「日本中彼方此方に送っているという事だが、こういう施設は此処しかないのですか?」と問いますと、ほかの自治体から見学に来られて、検討はされているそうですが、専用の土地の問題や財政的な問題で、なかなか理想の各県に一つづつは実現がなされていないそうです。
面白いと思ったのが、給食で使われた食器類で、キャスターが付いたステンレスの大きな箱の中に、お皿やお椀、箸等が多数入っていて、被災地で役立つそうです。
不要になったものがイザという時に活用されていて、なかなか良いアイデアだと思いました。
建物に看板が無く、施設名が書かれたりもしていませんので、その点を問いますと「市民にはそれぞれいざという時に備えて、三日分の備えをするように告知していますが、此処に食料があると分かるとサボる人が出てくるので」と仰っていました。
案外と県内より県外での方が知名度があるようです。
この地にはニッカウヰスキーの工場もあります。
北海道の余市とこの宮城峡蒸留所の二か所でウイスキーを造り、柏の工場でブレンドとボトリングを行っているそうです。
ここの試飲で、10cc1万円のウイスキーをテイスティングしました。
他のウイスキーとは一線を画して濃厚で風味豊かで美味しいお酒でした。
もう二度とこういう経験は出来まいと思って、思い切ったかいがありました。
ニッカの由来が、「大日本果汁株式会社」の略だそうです。
ウイスキー造りは、蒸留して出来たウイスキーを五年程樽で寝かして商品化しますので、このタイムラグの期間飯を食うためにリンゴなどの果物の果汁ジュースを扱っていて、その時の名前だそうです。
ニッ(大日本)カ(果汁)というわけです。
此処では製造工程で蒸留器を見せていただきましたが、同行者は皆蒸留の仕事をしている方々ですから、かなり専門的で突っ込んだ質問を浴びせて、案内の方を困らせていました。
はじめましての知識が、ウイスキーの原料を蒸留するときに、一度ではなく二度連続で蒸留している、という事でした。
興味の無い方には「ふ~ん」なのでしょうが、我々蒸留の専門家としては非常に興味深いお話です。
一度目の蒸留でアルコール純度が約30パーセント、それを再度蒸留すると60パーセントくらいになるそうです。
これを水で薄めて商品化するそうで、色々と大変です。
製品化に回ったウイスキー原酒は500ℓの木の樽に入れられ、樽ごとにナンバリングされ、製品化の前にサンプリング。
それを何百と並べて、ブレンダーが〇番を~パーセント、〇番を~パーセントと、ブレンド比率を決定し、実際にブレンドして製品となるそうです。
色々と手間がかかるモノですね。
ちなみにウイスキーの味は、原料の穀物を焙煎するときの焙煎度合、発酵させるときの麹菌の種類、仕込む樽の材質等が複雑に絡み合って、味や香りが出来上がるそうですので、ある意味生きていると言えますね。
不思議な事に、同じ銘柄のお酒でも製造所で飲むとすごくおいしく感じます。
これは以前アサヒビールでも感じた事で、出来立てで新鮮だから美味しいのか?雰囲気が美味しく感じさせるのか?よくわかりません。