幻のラーメン | ケセラセラとテイクイットイージー

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以前はヤフーブログで長い事記事更新を行っていました。
ほとんど準備をせずにいきなり引っ越しをいたしましたので、徐々に体裁を整えていく予定です。

先日のラーメンの話で思い出した事があります。

過去幾度か記事にしたように思いますが、再登場です。

千葉の市原から木更津にかけて何店舗かあるラーメン屋さんの「富士屋」です。

このお店の始まりは、おそらく40年程前だと思います。

30数年前のバブル時代に、美味しいラーメン屋として人気で、何時も行列の絶えないお店で、ラーメンの名店としてテレビで取り上げられた事もあります。

私も気になっていたのですが、店外の行列が凄くてなかなか行く事が出来ませんでした。

あるとき行列が無かったので、思い切って入店したところ店内はほぼ満席でした。私は早速ラーメンを注文いたしました。

出て来たラーメンはスープがかなり黒い色で、白い麺にスープが染みて黒みがかって居るほどですので、かなり醤油が濃いのであろうと思われます。

味が濃いのは田舎の特徴で、特に千葉の人(正確に言いますと千葉市より下の地域で、昔ながらの人が多い所。方や千葉市より上の方の千葉市を始め、松戸や船橋、習志野、市川等は、東京のベッドタウン化しているので、東京寄りの感覚の人が多い)は濃い醤油味を好みます。

苦情が多いせいか店内には「スープを薄めにする事が出来ます」と書いてあります。

予想通りにかなり塩っぱい味でしたが、それを凌ぐ旨さがあります。

この様なスープは初体験で、衝撃を受けたほどです。

私の感じた旨みは、当時流行っていた魚介系の味で、複雑に絡んだ魚介の旨みを感じます。

おそらく色々と工夫をして、魚介の旨み溢れるスープを作っていたのだと思います。

ともすると魚介系は生臭くなり、味を濃くしますとえぐみや苦みが出てくるものなのですが、生臭さを抑えて上手に旨みを引き出しているので、相当な勉強をしていると感じました。

スープの味の中に、独特の醤油らしからぬ風味を感じますので、おそらくナンプラーを用いていると思いました。

かなり塩味が濃いのですが、旨みが強く、思わずスープをごくごくと飲んでしまいました。

 

それから数年後、お昼時にお店の前を通りかかりますと、駐車場がガラガラで行列のギの字も無い有様。

オカシイと思いつつもお店に入りますと、中はガラガラで、厨房内にはパートと覚しきおばちゃんが2~3人居ます。

不景気なので、さすがの富士屋も客足が減ったのかな?と思いました。

それにしてもパートのおばちゃんで、あのスープを作る事が出来るのか?という疑問を生じます。

出て来たラーメンは、以前と同じ真っ黒なスープです。

早速口にしますと。魚介の旨みが一切無く、それどころか他の出汁の味も感じず、醤油だけの味で、所謂竹岡式です。

バブル崩壊で不景気になり、コストをかけずに作る事が出来る竹岡式にスイッチしたのだと思いました。

この点は、以前木更津にあるイタリアンレストランのシェフが、ラーメンが好きと言っていたので富士屋の話をしましたら、富士屋は○○さんがやっていて(本店は木更津にある)、とさすがに地元の料理人で情報が細やかです。そしてやはり、バブル崩壊でスープにコストをかけられなくなったので竹岡式に変わった、以前は魚介の出汁が効いて美味しかったのに残念だ、と言っていたので真実だと思います。

竹岡式は、醤油をお湯又は麺のゆで汁で薄めたスープを用いますので、出汁もへったくれも無い、ただ醤油臭いだけのスープで、何故かこれを支持する人が多いので、千葉の人間はバカ舌だと私は思っています。

随分前に「富士屋が竹岡式になってしまって、とても残念だ」という内容の記事を書いたところ、「竹岡式だから美味いんだ」というコメントが来た事があり(確か当時高校生だった様に覚えて居ます)に、やはり千葉の人間は醤油の味がしていれば良いのか・・・とがっかりした事があります。

少なくとも野菜を煮込んだスープだけでも作れば、優しい味の食べやすいラーメンになると思うのですが、醤油さえ効いていれば良いという千葉人では意味が無いのでしょうね。

全く理解不能なラーメンが、竹岡式です。

 

ついでに一時期有名だった勝浦タンタンメンも然り。

スープに工夫が全然無く、担々麺肝心の肉味噌もタダの挽肉炒めで、何の味の工夫もありません。

やたらと多めのラー油で辛くした、味もへったくれも無いラーメン、これが勝浦タンタンメンです。

ラーメン界における恥の極みだと思うのですが、これを良いと思う人が多いのがナゾです。

 

返す返すも富士屋の味が失われてしまった事が残念です。

今や幻のラーメンとなっています。