昨日2月4日は、「重戦機エルガイム」の初回放送から40周年だったらしく、

Twitter/Xでも「エルガイム40周年」のハッシュタグがトレンド入りしたのだそうだ。

 

折角なのでこの機会にエルガイム関連の話をもう少し。

 

 

前回・前々回のブログはこちら。

 

 

 

※今回の内容は作品のネタバレを含むので、

ネタバレされたくない方はスキップいただきたい。

 

 

前回入手したコミック版について記載したが、

我が家には小説版(シリーズ構成の渡邉由自氏の著作)もあった。

ずいぶん汚れてしまったが、たしか90年代に購入したものだったと思う。

アニメ版と合わせて、改めて各バージョンを見直してみて、

終盤以降に違いについて書いてみようと思う。

 

 

■アニメ版

サンライズチャンネルで1話だけは無料で視聴可能。

「ダンバイン」に引き続きMIOさん(現:MIQさん)が歌うOP/EDは、胸を熱くさせるものがある。
ちなみにED曲「スターライト・シャワー」の作詞「井荻麟」は、富野由悠季監督の別名義ですね。

 

ダバとオリビー 終戦まで生き残るものの、崩壊したオリビーの精神は元に戻らず、故郷でひっそりと暮らす。
キャオとリリス 原子炉停止時に放射線を浴びるものの、終戦まで生き残る。
フル・フラット ポセイダル(ミアン)をかばって落命。
ポセイダル(影武者) 真のポセイダルの恋人ミアンが影武者となっていたが、
ポセイダルに反抗しバイオリレーションを停止させたことにより消滅。
アマンダラ 真のポセイダル。ミアンがバイオリレーションを停止させたことにより消滅。
ギワザ アニメ版のラスボス。ダバのエルガイムにバスターランチャーを撃たれて死亡。
ギャブレー 終戦まで生き残る。ポセイダル戦やギワザ逃走時にはダバに協力。

 

これが「正史」という扱いなのだと思われるが、

戦いは終わったものの、誰もハッピーではない。

特に精神崩壊したオリビーを見て、「あれは一生治らん」とつぶやくギャブレー

ヤーマンの血が絶える未来を予想し、アマンダラの復讐は完成したというレッシィ。

モヤモヤとしたものが残ったまま終幕を迎えるパターンは、次作品「Zガンダム」にも引き継がれることになる。

 

 

■コミック版

元は全3巻だったが、再販版は再構成されて全2巻となっている。

ダバとオリビー 終戦まで生き残る。オリビーのマインドコントロールが解けたかについては触れられていないが、
ラストシーンでは新時代を作るメンバーの中核として二人が描かれている。
リリス 自らの命と引き換えに原子炉停止し、落命。
キャオ リリスと共に原子炉を停止させ、終戦まで生き残るものの、終盤はほとんど出番なし。
ラストシーンでは見切れていてギャブレーよりも扱いが低い。
ポセイダル(影武者) 真のポセイダルの恋人ミアンが影武者となっていたが、
ポセイダルに反抗しバイオリレーションを停止させたことにより消滅。
フル・フラット ポセイダル(ミアン)をかばって落命。
アマンダラ 真のポセイダル。ミアンがバイオリレーションを停止させたことにより消滅。
ギワザ コミック版でもラスボス。ダバのエルガイムにバスターランチャーを撃たれて死亡。
ギャブレー 終戦まで生き残る。ポセイダル戦でダバを助ける。
ラストシーンでも登場し、新時代を作るメンバーの一人として描かれている。

 

反乱軍側の主要キャラはほとんど生き残り、さらにオリビーの精神状態も悪くなさそうな感じ。
小学生をメインターゲットとした作品としては望ましい結末と言えるだろう。

唯一のマイナスポイントを挙げるとすれば、原子炉を止めるためにリリスが命を使い果たしてしまったところ。

他バージョンにはないオリビーのハッピーエンド(たぶん)があるものの、リリスだけがバッドエンドなのである。

 

 

■小説版

北爪宏幸氏による表紙がカッコいい。主要キャラが各巻の表紙になっているものの、キャオの姿はなし。(悲)

2巻のリリスとレッシィの2ショットは結構珍しい気がする。二人の声を担当する川村万梨阿さん繋がりだろうか。

ダバとオリビー 終戦まで生き残るものの、崩壊したオリビーの精神は元に戻らず、故郷でひっそりと暮らす。
リリス 終戦まで生き残る。原子炉停止に力を使い果たし、5日間の昏睡状態になるも復活。
キャオ 終戦まで生き残るものの、原子炉停止時の放射線の影響により死去。
エルガイムMk-3の建造中だった。
ポセイダル(影武者) 真のポセイダルの影武者だったが、バイオリレーションの多用により絶命。
正体については言及なし。
フル・フラット 真のポセイダル。バイオリレーションの多用により老衰死。
アマンダラ ただの武器商人だった。
ギワザ 暗殺されかけたネイを返り討ちにするものの、その事実を知った副官アントンに暗殺される。
ギャブレー 小説版のラスボス。ギワザ暗殺の場に立ち会い、その後のギワザ軍を引き継ぐ。
ダバに最後の戦いを挑むものの、自ら落とした小惑星メッタの爆発に巻き込まれ行方不明となる。

 

一番救いのないパターンかもしれない。

オリビーの精神状態は戻らず、ギワザに代わってラスボスとなったギャブレーは敵となったまま消息不明。

さらに他バージョンにはないキャオのバッドエンド。

あの立ち位置のキャラクターが悲劇的な終わり方を迎えるのは、その後の作品でも見られなかったように思える。

ただし著者の渡邉由自氏は、後のインタビューでアニメ版もキャオは命を落とす予定だった(その後脚本が変更された)と語っていたので、アニメ版でもキャオのバッドエンドは本来の規定路線だったのかもしれない。

 


 

わざわざ3タイプの結末を比較したのは、

どのバージョンが視聴者にとっての「正解」だったのかを考えてみたかったからである。

 

当時コミック版をコミックボンボンで読んだときには、何だかいい終わり方だったような印象があったので、
後に小説版を読んだときには、こんなに救いのない結末だったのかと驚いた記憶がある。

さらに後になってアニメ版を見て、小説版とは違った意味での救いの無さを感じたのである。

 

そして今回改めて三者を比較してみると、やはり視聴者が求めていたのはコミック版の結末(に近いもの)だったのではないかと思う。

 

 

その後永野護先生による「ファイブスター物語」では、ダバの面影を残すコーラスⅥ世(26世)が、反AKDの反乱軍リーダーとして登場。アマテラスの影武者ユーパンドラの操るナイト・オブ・ゴールドと相打ちになるも生還、

アムの面影を残すディジナと結婚して幸せに暮らすという「未来」の歴史が綴られている。


「エルガイム」ではオリビーの登場によって、ヒロインの座を失ったアム。

彼女が「ハッピーエンド」を迎えるという、もう一つの結末。

いつか「ファイブスター物語」で見られる日が来ることを期待したい。
(以前永野護先生は、このエピソードはマンガ化しないと言っていた気もするが)