「重戦機エルガイム」についての追記。

前回のブログはこちら。

 

先日、偶然立ち寄った本屋でSFフェアが開催されていた。

平積みになったブラッドベリやハインラインの作品を眺めていると、
後ろのコーナーから男性2人の話し合う声が耳に入って来た。
「おっ!懐かしい!」「これボンボンでやってたやつか?」

その声に釣られ、後ろのSF古本コーナーに近づいてみる。
彼らが話していた辺りに置かれていたのは、コミック版「エルガイム」の古本だった。
当時コミックボンボンで連載していたやつだ。
リアルタイムで放送を見られなかった身としては、友達から借りて読んだコミックボンボンは、

「エルガイム」についての重要な情報源だった。

 

 

その思い出のコミック版にここで再会。これも何かの縁だろうと、

手に取ろうとした瞬間。

近くにいた別の男性に本を取られてしまった。

 

しまった。先を越された。
あなたは買うのか?その本を。

隣に置いてある「ガンダムZZ」の方がいいんじゃないか?

さあ、その本を元に戻すんだ。

と、邪悪な念を送っていると、彼は本を置いて立ち去って行った。

 

無事回収。

そのままレジに直行した。

 

 

購入後、改めて商品を見てみると、

どうやら連載当時の講談社コミックス(KC)ではなく、出版社は大都社。

開封して奥付を確認すると1999年となっていた。

どうやら後に再販されたものであるらしい。

物語はコアム星とダバとキャオの人物紹介から始まる。
平仮名が多めなところからも、「コミックボンボン」が当時小学生をターゲットとしていたことが良く分かる。


あーそうそう、こんな感じだったなと思い出しながら読み進めるが、

今見直してもアニメ版の雰囲気が非常に良く出ていると思う。

エルガイムの登場シーンなどは、ページ見開きのド迫力。
これ当時の小学生たちは大興奮だったろうなあ。
(実際に大興奮だった)

今は亡き「コミックボンボン」が一番熱かった時代の良さが残っている。



ここで気になってコミック版作者の池原しげと先生について調べてみると、
あの手塚治虫先生のアシスタントを経験された方で、

手塚作品のアニメ制作にも関わられ、富野由悠季監督からも絵コンテの描き方を教わった方、
ということが分かった。

・・・こちらの不勉強で申し訳ないです。「雰囲気が非常に良く出ている」は大変失礼いたしました。


池原しげと先生が、手塚治虫先生について語るインタビュー記事はこちら



話をコミック版に戻そう。
月刊誌(全13回)でアニメ版54話をまとめているので、
ストーリーの密度が濃く、展開も非常に早い。
しかし重要なポイントはきちんと押さえているのはさすがである。

各巻の終わりには簡単な設定資料も載っているし、

2巻のあとがきには、「エルガイム」が富野由悠季監督作品の一つの区切りであったこと、

永野護氏のデザイナー抜擢とその後の作品についても解説されていた。
「ファイブスター物語」(1986年~)や「ブレンパワード」(1998年)についても触れられていたので、
この解説は再販時に書かれたものだと思われる。
見開き1ページなのでボリュームは多くはないが、「エルガイム」愛の伝わる良い解説だった。
筆者名があっても良かったと思う。



昔の興奮を思い出せる、実に良い掘り出し物だった。
池原しげと先生は、他にも「ダンバイン」のコミック版も執筆されていたようなので、
そちらも探してみようかと思う。