everyday soulful -5ページ目

泡になって消えた

 

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それは刹那の夢でした。
と言ってもなかなか長い月日だったのだけれど。


蓋を開けてみればなんてことはない
よく知った現実がそこにあっただけで
特別なものは特に見当たらなかったし
もっと言えば少しがっかりしたような気すらした。

ただ蓋を開ける決断をするまでの過程は
それはそれはとても楽しかった。
何が待ち受けているのか、
わたしの知らないどんな世界があるのか、
その魅力の虜になってしまったらどうしよう、
わたしはその蓋を開いてしまっていいのだろうか、
後戻りしない覚悟ができるまで。

でもその瞬間は呆気なくて
わたしの覚悟なんて関係なくて
いつも通りの道をいつも通りに歩いていたら
うっかり石に躓いて勢いで蓋が開いてしまった、
みたいな結末でした。
そして開けてみれば、こんなもん。


でも今回のことで学んだのは
蓋は開けてみなければわからないということ。
つまりはシュレーディンガーの猫。
開ける前に考えを巡らせるのはもちろん
開けることを躊躇ったりする時間も素敵だけれど
まあたいていの場合はとっとと開けてしまったほうが
より充実した日々に還元できるのではないかなと思う。
だって開けてみなければわからないのだから。
開けてみてから考えなければ何も進まないのだから。


そしてわたしはまたひとつ
嬉しい発見をしました。

蓋を開けたことで
ほかのことに気付けました。


だからやっぱり
蓋や扉は温めすぎる前に
とっととぶち破っていくほうが
わたしの性には合っている。

何事もやってみなければ
その実はなんにもわからないのだから。




灰色の世界



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6年ぶりに東京タワーに登った。
わたしが高いところから景色を見渡すとき
曇り空であることが多いなと思った。

まあそれも人生よ。
いつだって美しい世界が見えているわけじゃないし
曇り空の下のどんよりしたビル群が美しくないわけでもない。
わたしが好きな、グレーの世界。


もうずっと前から覚悟していたから
たいして驚いたり傷付いたりすることもなく
思っていたよりずっと自然に腑に落ちて
ストンと解決したはずでした。
でもやっぱり寝て起きたら
どうしようもないもやもやに襲われて
不思議な気持ち。
いつもだったらたいてい
寝て起きたら嫌なことは忘れているのにね。
寝て起きたらもやもやだなんて
一日の始まりに縁起でもない、まったく。

それでも顔を洗って歯を磨いたら
いつも通りの顔になるのです。
外用の顔になるのです。
なんてことなく出かけるのです。


でもやっぱりいつもと違うなと思ったのは
優しい顔を見たときに心からホッとできなかったこと。
どこかで構えていて、警戒していて、
返す笑顔が強張ってしまった。
それとも本当は気付いてほしかったのかもしれない。
優しさに甘えたかったのかもしれない。
手を差し伸べてほしかったのかもしれない。


ああ、人生はタイミングだね。
リズムとタイミング。


今夜は涼しくて眠りやすそうだから
明日の朝起きたときには
またいつも通り
嫌なことは忘れているといいなと思う。


 


the last day



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どんなに荒んだ気持ちの日でも
穏やかに眠れるあたたかい場所だった。
ひんやりした夜の空気に触れながら
なんでもないことを考える場所だった。
言葉が溢れる場所だった。
沈黙が心地よい場所だった。
そこはいつも 帰る場所 だった。


部屋に差し込む朝日の眩しさで目覚め
暮れゆく西空を眺めながらビールを飲んだ。


一秒でも長く、
その全てを目に焼き付けておきたいと思いながら
それでも気付いたときには全ては変化を始めていて
もうわたしの馴染んだ場所ではなくなっていた。

変わることは仕方のないことだけれど
こんな梅雨のど真ん中においては
まだ心構えが整っていないのだ。
わたしはこの場所が大好きだ。


どんどん空っぽになっていく様を見届けながら
わたしの気持ちも少しずつ薄れていくような気分になる。
忘れたくないと思いながら
忘れてしまっていいのだと自分に言い聞かせる。
別に何を失うわけでもないのだよ、きっと。


できれば晴れた空をもう一度見たかったけれど
あいにく今日は激しい雨に見舞われていて
どうにも清々しい気分でお別れをすることはかなわない。


わたしは あなたが好きだった
わたしは ここに居るあなたが好きだった
わたしは この場所が好きだった