everyday soulful -3ページ目

夜明け前のうたた寝



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不意打ちの登場に胸が高鳴った。
涙すら浮かんだ。
わたしはずっとそのときを待っていたのだ。
相変わらず少し上から降ってくる静かな声。


わたしはいつも、口説かれたらどうしよう、なんて
くだらない妄想で時間を潰した。
けれどそれはやっぱり取り越し苦労だったようで。
わたしが真面目なことを知っているから口説かないのだ、と
そんな風に笑って言った。
ああなるほど、と腑に落ちて、わたしも笑った。
そして少し嬉しかった。
真面目なことを知っている、と思ってくれていたことに。


なんだか夢の中にいるみたいだなあと、ゆらゆら帰り道。


目が覚めたら夢でした。
それでいいのです。


わたしは真面目だから、口説かれてはいけないのだ。
口説かれるようなことがあってはいけない。
わたしはまだまだ大人にはなれませんでした。
きっとそういうことでしょう?


一瞬の、夢でした。
ほんとうに、ほんとうに
ほんの一瞬の、


 
 

the reason is you

 

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懐かしい人からの連絡だった。
あまりに突然のことで、
瞬時に様々な事態の予測をしたけれど
内容はとてもシンプルなものだった。

ただ、わたしがどうしているか。
今も歌っているのか。
気にかけてくれていたみたいだった。

とても短いやり取りだったけれど
わたしはとてもうれしかった。


かつては、
ただ意味もなく長い時間を共に過ごし
隣に居るのが当たり前だった存在を
今はとても遠くに感じていて
もうきっと、会うことはないのだろうなと思っていた。
会ったところで、もうわたしに用はないのだろうなと思っていた。
それでもわたしは、彼の躍進を応援していた。
いつも少し困ったように笑う儚げな彼が
それはそれは驚くほど逞しく輝く場所を見つけたことを
とても誇らしく思っていた。


だから
わたしのことを忘れていなくてうれしかった。
わたしが今も歌っているかということを
気にかけてくれていたことがうれしかった。

不意に、あの頃に戻りたい、なんて
柄にもないことを考えてしまった。


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戻ったところでわたしたちはきっと
また無駄に時間をただのんびりと過ごして
大人になってからその大切さに気づくのだ。

だからせめて忘れない。
あのときの時間を。
あのときの笑顔を。
あのときの涙を。
そしていつも隣に居てくれた仲間を。


大切な時間を共に過ごしてくれてありがとう。
わたしの人生に登場してくれてありがとう。
わたしを人生に登場させてくれてありがとう。


みんな確実に自分の人生を進めている。
未だにぼんやりしているのは、わたしだけだ。

 


水玉のネクタイ




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出会ったすべての人と続いてゆきたいと思う。
知り合い、言葉を交わし、なんらかの好意を持ったすべての人たちと
これから先もずっと続いてゆきたい。

来月異動するんですよ、と言われて
ふとそう思った。

連絡先を交換するほどではなかった人だけれど
会えば会話が弾むたのしい人だった。
犬っぽい笑顔で気さくに話しかけてくれる素敵な人だった。
わたしは彼の名前を知っているけれど
彼がわたしの名前を知っているかどうかすら怪しい。
それでもわたしは、来月から彼に会えなくなるのが寂しいと思った。
異動してしまったら、きっと二度と会うことはないのだ。


わたしの人生を左右する人ではなくても
道すがら出会った人たちをどうにかして
わたしの人生の記憶には留めておきたいのだ。
ささやかな一瞬をきらめかせてくれた人たちを
わたしは決して忘れたくないのだ。


別れは、いくつになってもとても苦手だ。