ラブリーボーン | リリィのシネマBOOK

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ぐうたら主婦リリィが、気ままに綴る、映画レビュー
劇場観賞は月平均5・6本、洋画贔屓かな


劇場鑑賞しました

ラブリーボーン







製作国 アメリカ/イギリス/ニュージーランド(2009年)

原題 THE LOVELY BONES

原作 アリス・シーボルド

監督 ピーター・ジャクソン

キャスト
マーク・ウォールバーグ (ジャック・サーモン)
レイチェル・ワイズ (アビゲイル・サーモン)
スーザン・サランドン (リン)
スタンリー・トゥッチ (ミスター・ハーヴィ)
マイケル・インペリオリ (レン・フェナマン刑事)
シアーシャ・ローナン (スージー・サーモン)
ローズ・マクアイヴァー (リンジー・サーモン)
クリスチャン・トーマス・アシュデイル (バックリー・サーモン)
リース・リッチー (レイ)
キャロリン・ダンド (ルース)






解説
アリス・シーボルドの同名ベストセラーを「ロード・オブ・ザ・リング」シリーズのピーター・ジャクソン監督が映画化した異色のファンタジー・ドラマ
わずか14歳で残忍なレイプ殺人犯の犠牲となり天国へと旅立った少女が、崩壊していく家族に魂を寄り添わせ、その再生を見守る中で自らも悲劇を乗り越えていく姿を、優しい眼差しでファンタジックかつサスペンスフルに綴る
出演は14歳のヒロインに「つぐない」のシアーシャ・ローナン、その両親にマーク・ウォールバーグとレイチェル・ワイズ、スタンリー・トゥッチが憎々しい犯人を好演


あらすじ
優しい両親とかわいい妹弟に囲まれ、楽しく幸せな毎日を送っていた14歳の少女、スージー・サーモン
初恋の予感に胸をときめかせていたある冬の日、彼女は近所の男に無慈悲に殺されてしまう
最初は自分が死んだことにも気づかなかったスージーだが、やがて天国の入り口に辿り着く
そんな中、犯人は警察の捜査を切り抜け、平然と日常生活を送っている
一方、愛する娘を失った家族は深い悲しみに暮れていた
やがて、父親は残された家族を顧みず犯人探しに妄執し、自責の念に苛まれていた母親はそんな夫に耐えられずに、ついに家を出てしまう
バラバラになっていく家族を、ただ見守ることしかできないスージーだったが・・・









リリィの評価 ★★★★☆


感想

原作者が性的暴行の被害に遭って、執筆した物語だという事実を知りました
それを知る前と知った後では、ストーリーの解釈の仕方が否応なく変わります
納得できなかった数々の少女の行動も、それを知るとすんなり胸に染みました

どれほど加害者が憎くても、壊れてしまったものは完全に元通りには戻らない
そう、悲嘆に暮れる家族はいずれ再生するとしても、死んでしまったスージーは決して生き返らない
それでも家族の幸せを祈って、自らの魂を浄化させようとする少女の健気さがとても痛ましい
傷は消えない、でも前向きにならなきゃと言う原作者の自分に言い聞かせるような生々しい悲鳴が、苦痛をともなって聞えてくるような気がします

よく憎しみを抱えたまま死ぬと魂が浄化できず、その場に留まると聞きます
スージーが天国へ行けなかったのもまだ憎しみから解放されず、地上に未練があったせい
彼女の未練の絶ち方は、潔かった
そっちなの!?とも突っ込みましたが、後から思えばそれこそ少女を浄化するのに相応しい、たった一つの純然たる願いでした
本音では犯人に一泡喰わせてほしかったけど
彼女は最後、誰も憎まず天国へ行けました
地上には誰の眼にも映ることのなくなった彼女の生きた証、ラブリーボーンを残して・・・

美しく青みがかった背景は、一見夢見がちで好奇心旺盛な少女の心そのもののように、おしゃべりで幻想的
その世界観にぼやかされた事件の描写は、ぞっと戦慄が走るほど残忍
人生のはかなさとおぞましさの二面性を同時に描いていた映画だと言う印象を受けました

「つぐない」でも巧みな演技が光っていたけど、主役の少女シアーシャ・ローナンは本当に透き通るように愛くるしかった
犯人役のスタンリー・トゥッチは、目を覆いたくなるような陰惨なシーンと迫真の演技が、眩暈を覚えるほど恐ろしかったです
「ジュリー&ジュリア」で、理解のある柔和な旦那を演じていた俳優と同一人物とは、とても信じられなかった、びっくり!



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