楢山節考
20年以上も前の作品だが、
大学の講義でしか触れたことがなく、
今になってようやく至った一つです。
木下版と今村版、テレビドラマ版そして原作があり、どれも賛否両論なのですが、
学生当時、講義で話していた
「優れた物語であるほど、完璧な映像化が遠くなる」
という教授の言葉が印象的でした。
今回、観たのは今村版で、
生とは何か?
を激しく問いただされるような気がします。
動物の交尾や捕食をカットに入れているのは、
ムラ社会というのが、それに近いということのメタファーなのでしょう。
(あれだけたくさん挿入されていたら、メタファーでもないか・・・)
作中、お腹の子供を
「女だったらいいなぁ」
と、男が話すシーンがあるが、その後
「女なら売れるからな」
と続けていることは、女性蔑視ともとれなくはないが、
男が生まれたら、それ以下だ。
と言うことも含まれています。
男は長男ならば相続権を持ち大切にされこそすれど、
次男はその権利もなく、農奴として扱われたりしていました。
作品を違う面から見ると、
カンヌ国際映画祭でパルムドールを受賞した作品であり、
海外でも高い関心があったことが窺えます。
なお、今村氏にとっては、不作が続いた末の会心の作品でもありますが、
本作がパルムドールを受賞した際、
「賞をもらうために作ったわけではない」と硬派な発言をし、
事実カンヌには訪れることはありませんでした。
(後に うなぎ という作品でもパルムドールを受賞した今村氏は、
受賞をまったく予想しておらず、カンヌには訪れたものの上映前に帰国、
映画祭側が受賞の可能性アリのため 慌てて探したがつかまらず、
結局そのときバカンス中だった 役所広司(主演)が代理で受け取ることに…)
今村昌平氏は二度受賞した日本では唯一の監督です。
緒方拳氏に合掌…
中学生
中学生(the2人様)が職場体験にやってきました。
なんだか、いつの間にかこっち側にきちゃったなぁと耽りながら、
まだおぼこい顔したティーンエイジャーに少し嫉妬しつつ。
とりあえず夢なんかを聞いてみた。
「・・・公務員。ですかね」とは、このご時勢を反映させる一言。
なんで?と切り返すも、
「安定しているから」
と、打てど響かず。
まだ良かった。
もう一人にいたっては、
「夢なんかないですよ(笑)」
と一笑にふした。
返す言葉もなかった。
タイガー&ドラゴン
レンタルの話を先回しました。
それは、映画に限らず、
ドラマ、新旧洋邦問わず借りております。
ここのところ、邦画に意識を向けていますが、
タイガー&ドラゴンはその1つ。
落語がテーマのドラマです。
落語、特に江戸落語を知りたい方には、
うってつけの入門編。
古典なんて分からないとお思いの方、
まず観てみて。
ヤクザ者の虎児(長瀬智也)と、江戸落語 林家亭の期待のホープ竜二(岡田准一)。
笑いを知らない小虎と、笑いを捨てた小竜。
二人が中心となって、古典落語をベースにして展開していく。
脚本は、宮藤官九郎。
僕は、彼のNo.1の作品だと思っている。
その舞台には様々な対比が描かれており、
小虎と小竜の生い立ちや心の変化はもちろん、
古今、東西、様々散りばめられている。
ヤクザ虎児の親分は、笑福亭釣瓶
林家亭の一門には、春風亭昇太と実際の噺家も出演している。
中でも、釣瓶が子分のために上がった高座では、
彼自身得意の まくら(プロローグのようなもの)を
披露している。
場つなぎ的に上がったので、噺をかけることはなかったが、
その子分を思いやる気持ちには、感動した。
粋を感じるドラマとして、とても素晴らしい作品だと思う。