動物は飼ってはいけないことになっているので飼っていない。
しかし、僕の妻の実家は「猫屋敷」と言われるくらいの猫がいる。
そんな実家で育った妻は当然の如く「猫好き」である
僕たちが今のアパートに入った頃、妻は「猫を飼いたい」と言ってきた。
僕は、当然「ダメ!」と言った。
何度もそのやりとりが続いていたが、ある冬のこと
黄縞模様のノラ猫が近所をうろつきだした
(イメージ)

妻はその猫を見て
「中に入れていい?」と聞くので
「飼いたくなるからダメ!」と言った
「エサも?」
「エサもあげたら可愛くなるからダメってば」
そんな問答を繰り返していたが、やはり決まりは決まり
自分の家だけ好き勝手してはいけないので諦めるよう妻に促し
ようやく納得してくれたが、後に聞くと僕の居ない隙に家に上げ
「チャーちゃん」と名前まで付けて餌付けしていたらしい
ちなみにチャーとは毛が茶色だから(昔からネーミングセンス悪かった)
冬の寒いある日のこと、その「チャーちゃん(オス)」が我が家の前で倒れていた
妻はビックリして実家に相談したところ
皆猫好きなので、そのノラ猫を病院に連れて行く事になった
ノラ猫に掛かった治療費・・・・3万円
腎機能が低下していたらしく、危ない状態であったらしいが僕は信じられなかった。
ノラ猫に3万円て・・・
一度面倒を見てしまったので、しばらく完全に治るまでという条件付きで「チャーちゃん」を飼うことになった。いずれは離れていくので情が移らないよう距離をあけて見ていたが、だんだん可愛くなってきた。
しかし、1週間が経ち、ようやく自分で餌が食べられるようになったので、また自然に返してやった。
するとあんな毎日来てたチャーはパタッと来なくなった。
「なんだか寂しいな~。 あんなに手をかけてやったのに・・・
猫って動物はホントに恩知らずで薄情な生き物だなぁ」
と二人は残念がった。
時は過ぎ、季節が変わりそれから1年が過ぎた頃
通路の向こうから見覚えのある猫が歩いてきた
「あ!チャーちゃん」
チャーは妻の足元に擦り寄って猫なで声をあげた。
「覚えててくれたんだね。チャーちゃん」
感動の瞬間だった。
妻は喜んでチャーに頬擦りをした。
しかし、しばらくすると
喜ぶ妻の足元からチャーは急に離れ通路の奥に走っていった。
すると、通路の奥から、白黒のメス猫とチャーと同じような柄の3匹の子猫がやってきた。
チャーはまっすぐ妻の足元に駆け寄り
「ニャ~~~」
と鳴いた。
そう、チャーはしばらく見ないうちに彼女を作り、結婚して子供まで作っていた
この「ニャ~」は「我が家族をよろしくお願いします」という意味だった。
これには流石に猫好きの妻もお手上げだった。
どこかで見た光景・・・これはまさにコレそのものだった
(なつかしいCM)どうする?アイフル
僕たちはチャーとその家族を近くの面倒見の良い人に紹介して帰った。