ABS | RiO

RiO

夜空のきれいさは、ちょうどこんな感じ。
乗りやすいGTRにこだわって、設備や認可のために山奥に移転しました。戸惑いもありましたが、今ではすっかりこの環境に馴染んでいます。耐雪梅花麗。日々勉強。
地下水でいれたコーヒーを是非飲んでみてください。

BNR34のABS警告が突然に点灯。

通常、多いケースではGセンサートラブルです。

 

スカイラインGTRは4WDですが、

インプレッサやランエボの4WDとは違い、

通常はリアタイヤのみの駆動、

つまり、FRで走行するシステムです。

リアタイヤが空転するとフロントタイヤに駆動力が伝わるのですが

タイヤは回転中はグリップの低下が発生するため、

例えば高速コーナー中にリアが空転した際、

いきなりフロントタイヤに大きな駆動が入ると

フロントタイヤがグリップを失い危険な状態になる可能性があります。

そのため、横Gを検出するGセンサーにより

Gが大きい時には車速分、

Gが小さい時にはそれ以上の駆動を加える制御が行われています。

平成元年に登場したスカイラインGTRに

このような画期的なシステムが搭載されていることは驚きですが

やはり当時の電子部品のスペックであるのは仕方なく、

このGセンサー、アナログな性質が大きく

この最近では、なかなかの頻度で故障を確認しています。

そして、このセンサーが壊れますとABSの警告ライトが点灯します。

しかし、同時に4WSも点灯するのが通常で、

今回のようなABSのみの場合は違う原因の可能性が高いです。

 

カーマンスキャンというネココーポレーション製の故障診断機は

こちらでも大活躍です。

先のブログでも触れましたが

R35の電動ファンの回転数を制御するモジュレーター

これも初期型では故障が顕著になりつつある部品ですが

交換後、水温が上がる前でも

カーマンスキャンから回転数の指示を送り

強制的にテスト動作をさせることが可能です。

最近の車両にはOBD2と呼ばれる故障診断機能が

純正で装備されています。

台形のカプラーがどこかに存在しています。

このカプラーは、ポルシェやBMWにも装着された世界共通ですが、

16個ある端子の半分くらいはそれぞれのメーカーの自由で

そのためメーカー別や車種別での設定が

診断の際に必要になります。

 

スカイラインGTRのカプラーは

OBDと呼ばれる旧モデルです。

 

端子の数も少なく、

分かる情報もOBD2に比べると少しです。

エンジンが始動しない状態や

明らかに不調な状態でも

「異常なし」と平気で回答するツワモノです。

RB26を扱うには故障診断からの情報に合わせて

それまでの経験や勘が必要ですが、

ディーラーさんではそれに熟知したメカニックの方々が

定年退職されているケースも増えつつあり、

困った顔をされることも有るとか無いとか・・・・。

 

カーマンスキャンは基本的にはOBD2用ですが

旧カプラーのOBDに変換するアダプターが存在し、

BNR34でも諸々の情報を得ることが可能です。

そして、今回のABSの故障では、

「ABSソレノイドバルブ 後内」と表記されました。

 

ABSシステムはブレーキを緩める動作を行います。

ブレーキペダルを踏みすぎるとタイヤはグリップを失いロックしますが

そこでそっとペダルを緩める動作を機械的に行います。

人が行うのと違うのは

突然のケースでも冷静に動くことと

それぞれのブレーキへの踏力を調整できることです。

スカイラインGTRの場合は、

右前、左前、後 の3箇所を独立して制御します。

 

「ABSソレノイド 後内」とは、

ソレノイドバルブのブレーキ制御先がリア側の

制御コンピューターのイン側の信号に何らかの異常がある判断です。

コンピューターは異常診断ができる状態ですので

可能性としてはソレノイドバルブが高く、

そこで、ヤフオクで動作異常がないと表記されている部品を落札、

到着後、すぐに交換してみると、

期待通り、警告灯は消えました!

 

やった!

思ったとおりだ!

 

しかし・・・、どのタイミングか不明ですが

気が付けば再点灯。

何か・・・おかしい・・・・。

何らかの原因でこの車両に装着したソレノイドは壊れるとか・・・

新たな仮説が登場し、

ヤフオクで二つ目のソレノイドを落札。

祈るような気持ちでソレノイドを交換すると

今度はまったく消灯の気配すらありません。

 

このあたりからすでに精神状態は穏やかではなく、

次なる容疑者のコンピューターをヤフオクで落札。

しかし、先の理屈から考えるとコンピューター本体の可能性は低く

悪い予感ほど当たるもので交換してもまったく変化なし。

 

そして新たな容疑者は、配線です。

断線しているとか・・・・。

ABSソレノイドとコンピューターからカプラーを外し

端子に長い配線を接続し、

お互いの導通を車外でテスターを使って確認、

 

導通あり! (泣)

 

以前にBCNR33で4WDとABSライトが点灯した際、

トランク内にあるコンピューターのLEDの点灯回数で診断した結果、

車軸の回転センサーの異常・・・・と出たのですが、

日産の診断機では「Gセンサー」と表記されたことがあり、

「もしかして検討違いの方向に弾を撃ってる?」と・・・・

こうなるとできる手段はすべて網羅する以外になく、

ディーラーさんにお願いして診断を行ってもらいました。

結果

 

「ABSソレノイド、リアイン」

 

同じ・・・・。

何だろう・・・・?

何が・・・・・・・?

 

刑事ドラマでありがちな流れ、

犯人は警察が1度捜した場所に潜む・・・・

 

ソレノイド本体とコンピューターはまず間違いなく正常、

しかし、経路については違う方向から考えると

単に導通テストだけでは見えてない部分があるとか・・・。

この配線、

出口と入口の一箇所だけ・・・・

つまり単線ですので、他との接触は無くて当然。

まさか・・・他と通電しているとか・・・

 

双方のカプラーを外した状態で

問題の「後内」の端子にテスターの片側をセットし、

視界に入るカプラーに無差別的に端子を入れてみました。

当然、導通の無い端子同士ですから針が動くはずもなく

それを機械的に繰り返していると

 

「う・・・動いた・・・・・」

 

単線のはずの端子に他との接触が・・・・

これはつまり、

純正のハーネスの集合体のどこかに何らかの形で接触があり

それによって電圧か電流に違いが生じ、

ABSライトが点灯しているとか・・・・。

 

そこで、それぞれの端子の近くで配線を切断し、

長い配線で車体の外を通して通電、

線は細いですがバックトゥザフューチャーのデロリアン状態。

すると・・・・

あの悲しみと苦悩のABSライトが消えてしまいました。

 

正しい修理方法としては、

エンジン、ミッション、内装等をすべて外し、

新たなハーネスに入れ替えるのがもちろん安全で正解です。

しかし、ハーネスの新品がすでに生産中止で、

代替案として、

ミルスペックハーネスの製造も可能ですが

激しい費用がかかるのは間違いなく、

そこで、バイパス配線での対応でこの度は終了としました。

コンピューターの故障診断は正常であることは、

この度の一連で確認されていますので

もし新たな何かが発生しても警告灯で確認できるはずです。

 

やっと・・・安心して寝れます・・・・。

故障診断・・・・

ありがたいシステムですが、

ピンポイントでの情報はもちろん無く、

柔軟な発想が常に必要とされるみたいです。

 

柔軟かぁ・・・・

自分には一番難しい・・・・

と・・・・思うのでありました。