名古屋の街を歩いていると、ふと、無性にあの味に会いたくなる時がある。
先日、朝食を抜いたまま午前11時頃に名古屋の地下街をふらついていたときのことだ。お腹を満たそうと、SとかDとか、いつもの小洒落たカフェを探していた。でも、その日はなんだかしっくりこない。軽やかなBGMが流れる小綺麗な空間は悪くないけれど、気分はもっと、ずっしりとした苦みとコクのある、濃いコーヒーを求めていた。
そんな時、偶然目に留まったのが、昔ながらの雰囲気漂う喫茶店だった。窓から覗くと、店内はロマンスグレーのシニア層で賑わっている。活気があるのに、不思議と落ち着いた空気が漂っていた。
意を決して足を踏み入れると、その感覚は確信に変わった。ざわついているはずなのに、どこか懐かしく、ゆったりとした時間が流れている。席に腰を下ろし、モーニングセットを注文した。
しばらくして運ばれてきたのは、湯気とともに香る、濃い色のコーヒーと、端正な姿のサンドイッチ。
一口目のコーヒーが、記憶の扉を開く
まずはコーヒーを一口。
舌に広がるのは、ほろ苦さと、その奥に潜む深いコク。
「ああ、この味だ」
それは、まだ子供だった僕が、初めて父親に連れられて喫茶店で飲んだ、あの時のコーヒーの味だった。
僕の記憶の中にある、昭和の時代。決して華やかではなかったけれど、すべてがゆったりと、穏やかに流れていた頃。あの頃の空気感が、この一杯に凝縮されているように感じた。
そして、サンドイッチを手に取ると、さりげなく顔を出すハムエッグ。一口頬張るたびに、懐かしい思い出が蘇る。テーブルや照明、店内のすべてが、昔ながらの喫茶店ならではの温かさを醸し出していた。
喧騒の中で聞こえる、心地よいハーモニー
このお店には、カフェにあるような小洒落たBGMは流れていない。それなのに、不思議と心が落ち着くのはなぜだろう?
しばらくして、その理由に気がついた。
奥のキッチンから聞こえる、カチャカチャというカップやグラス、お皿が触れ合う音。それがまるで合奏しているかのように聞こえるのだ。そこに、あちこちから聞こえてくる客の楽しそうな話し声や、忙しく動き回る店員さんの活気が加わり、見事なハーモニーを奏でている。
この心地よい喧騒こそが、この場所が醸し出す「落ち着き」の正体なのだ。
あなたも、タイムスリップしてみませんか?
コーヒーカップの向こうに広がる、懐かしい風景。
ほろ苦くて、コク深い一杯を味わうたびに、心の奥がじんわりと温かくなる。
もし名古屋に来ることがあれば、このタイムスリップするような体験を、あなたにも味わってほしい。そして、その時の感想を、ぜひ聞かせてほしい。
最後に質問です。
あなたが懐かしさを感じる「喫茶店の味」や「思い出の場所」はありますか? もしあれば、ぜひコメントで教えてくださいね。
名古屋 喫茶 コンパル
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