私が食事を始めると、姉が
「アナタ一人で食べていいからね」
…と、昆布締めにされた「〆鯖」を出して来てくれた。
その時でも姉はず~っと「料理」をし続けていた……と言うかその日の「出す予定」だろう品々を焼き続けていた。
何を?
「トッピング」と「副菜」である。
しかし、折角の四口コンロなのに他の三つは「鍋」が置きっ放し。
残った一口で、小さなフライパン一枚でチョコチョコと一種類ずつ、の~んびり?やっている。
そう、「トロい」のだ、とにかく。
「野菜」ばかりでなく副菜として「長巻餃子」と言えるモノもあった。
が、とにかく焦げるのが怖いのか、どの食材も最初から最後まで「グジュグジュ…」としかならない弱火でやり続けている。
結果、折角の「焼餃子」なのに焼き色が一切つかない油まみれのソレをそのまま出していた……のを一つだけ食べてみたが……!??
「あ~っ!!」
…ず~っと続いていた焼き作業がもう直ぐ終わる、という時になって姉が軽く叫んだ。
何かと思ったら
「これ、『加熱用』だわ!」
どうも冷凍庫にあった帆立が『刺身用』ではなく『加熱用』だった、という叫びだったらしい。
これで解冷さえしていなければ私が「ああ、もういいよ」と言えば良かっただけの話なのだが、ものは既に解冷されていた。
「ああいいよ、じゃあとにかく焼いて食べようよ」
…そう言ったのは私だった。
「そう? じゃあそうするね~」
…と言って姉が帆立を「そのまま」フライパンに放り込んだのを見て、私は思わず姉の隣に駆け寄った。
「はいっ! 火を強めて!」
「はあ~?」
「イイからっ! 火を強めてっ!」
…何と言っても「主に食べる」=「食べたい」のは私だから、こっちも必死である。
「はいっ、ひっくり返してっ!」
「……1、2、3、はいっ、火を止めてっ!」
そこで姉は自分が持ち出して来た皿に直ぐ盛り付けようとした。
「まだダメっ!! そのまま3分!」
「え~~??????」
「イイからっ!
もう後は私が盛るからっ!
そのままっ!」
「刺身」ではなかったものの、折角の「日本・初帆立」を無駄にマズくされたりしたら、たまったもんじゃない。
何と言っても帰省時に
「マグロの刺身が食べたい」
…と言ったら、煉瓦も真っ青に積み上げた、半冷凍…なのにドリップがダラダラ流れ続ける山盛マグロを堂々と出して来た母の娘なのだから、油断はならない。(アレ? 私もだよな?🤣)
結果……取り敢えず、ふっくらジャストに火が通った帆立を食べることが出来たことを御報告しておきます、ハイ!