「ミドリのバアさん」は背後の客達の『熱視線』をものともせず「レジ子ちゃん」相手に嬉々として演説?しつつ、ついに
「じゃあ、これ『も』貰うわ!」
…と言った。
あ~やれやれ、と一瞬は思ったが、ここで気付いて欲しい。
そう、そこは元々「カード屋」である。
コノ国のソレは日本のショボいファンシーショップのように「ちょっとしたプレゼント」(=可愛いボールペン🤣)なども売っているけれども、客の99%は何らかの「カード」を買いに来る。
たかだが「ボールペン」2本の購入をやっとこ(!)決めた「ミドリのバアさん」。
「レジ子ちゃん」に向かって今度は……まさに
カードの『束』
…を差し出した。
それだけでも「これまで」を知る方はゲンナリするだろうが、今度は何やらあれこれ書かれたA4くらいの紙を取り出し
「え~っとね、
これで全部だと思うんだけどね~」
…と言いつつ
「え~っと、
最初にあるのはぁ~、
姪っ子の『ボケ子』用の
誕生日カード、よねえ~?
ねっ?
はい、よし!
じゃあ次のはぁ~、
何て書いてある?
ああ、じゃあそれはぁ~、
甥っ子の『クズ夫』用のぉ~……」
…という調子で再び「レジ子ちゃん」を巻き込み、一枚一枚の
「指差し&点呼確認」
…を始めたのだ……!
これには流石の「レジ子ちゃん」もマズいと気付いたのだろう。
(そりゃ~背後の『熱視線』は刻々と鋭くなっていたんだからね~?)
やっとこ「店員間マイク」のようなもので誰かを呼び出した。
しかし。
在英の方なら直ぐ判ると思うが、コノ国のサービス業では
「客の流れを読んで即助けに入る」
とか
「呼ばれたら急いで駆け付ける」
という「日本の常識」など、まさに「非常識」でしかない。
呼ばれたら溜息吐いて、茶を一口すすってからノンビリ歩いて来るよね?……と言いたくなるくらい「呼ばれたら直ぐ来る」なんてことはない。
その日も「コノ国の常識」として店員は中々来なかった。
「ミドリのバアさん」の読み上げが終わり、「レジ子ちゃん」がレジを打ち終わり、合計の代金を請求した時点でやっともう一人の「レジおばさん」がやって来た。
と。
ふたたび……いや、多分その日最大であろう大声で「ミドリのバアさん」がこう叫んだのだ。
「ば、ば、バックがっ!
バックがないわっ!!!」
……( ̄_ ̄|||)……!