男女の家事負担問題の中での「モト」というヒト オマケ 3 | コノ国の体裁(カタチ) ~幻像『大英帝国』の住人達~

コノ国の体裁(カタチ) ~幻像『大英帝国』の住人達~

 閃いて、まさに!という想いでつけたのですが……司馬遼太郎さま、ごめんなさい……!
 

 

    自分が「それまで見た事もない」アイロンをアタリマエのように受け取り、お礼の一言もなかった「モト」だけれども、私はその時点で

 

 

   「次に何が起こるか」

 

 

   …は何となく予想がついていた。

 

 

 

    

     それはただひたすら、「モト」というヒトの

 

 

    「言葉」と「行動」

 

 

   …の差、もっと言えば彼自身の

 

 

 

    「セルフイメージ」と「実際の行動」

 

 

 

    …の差、更に言えば彼が口にする

 

 

 

    「理想」と「現実」

 

 

 

    …の差が余りにも違い過ぎる人間だ、というのがもう判り切っていたから。

 

 

 

 

 

 

    「理想」は死ぬほど口にするが、自分からそれを「現実」にする為の行動は起こさない。

 

    「モト」の理想「だけ」を聞いた人は(特に女性は)思いっ切り勘違いをして「モト」を素晴らしく理想的な男性であり夫であり父親であると思い込んでくれるが、それは彼自身が

 

 

 

   「そういう事を考えている、素晴らしいボクちゃん」

 

 

 

   …という「セルフイメージ」に酔っているだけで、「実際の行動」には移さない。

 

    だって自分の理想が現実にならないのは全部周りのせい、なんだから。

 

 

     

 

 

     家事なんてモノは「日常」の最たるモノで、老若男女、どんな時にでも人間が生きている限りついて回ることだ。それを

 

 

 

     「自分だって、やれば出来る!」

 

 

     …と言うだけで「行動」に移さない人間を私は信用しない。

 

 

 

     それを言うなら

 

 

    「出来る人なら、(今)やっている」

 

    …だ。 

 

    

 

 

 

    こちらから頼んでもイイワケしか出て来なかった人間が、まして家事一切を

 

 

   「下らない事、自分がやるようなモノじゃない事」

 

 

 

   …と心から考えている人間が、「自分の理想通り」の家事を「自分で」出来るワケがない。

 

 

 

 

 

 

 

 

    「モト」と接する事は「タオ」の成長と共にというばかりなく、特に私達が今の家に引っ越してからは会話どころか直接顔を合わせる事も滅多に無くなって行った。

 

   それでも主に週末に「タオ」を迎えに来た時、二階の窓から垣間見る「モト」の姿の変化を観察する度に

 

    「やっぱり…」

 

   …という言葉しかなかった。

 

 

 

 

 

    最初の頃はそれなりにアイロンが掛かった、見覚えのあるシャツとズボンを着ていたのだけれども、間もなく露骨に「ノーアイロン」のシャツだな、と判るモノになっていた。

 

 

 

   その頃から私と一緒の時には殆ど穿かなかった「ジーパン」を日常的に着ているようになり、シャツもどんどんカジュアルになって、いわゆる

 

   「皺もファッションのうち」

 

  …のようなシャツを着た姿が目撃されるようになった。

 

 

 

 

    蛇足だけれども、新しいシャツは買っても古いシャツは処分していない……方に全財産(って今の私には何だ???)賭けてもいい。だって彼が所持するあらゆる「自分のモノ」は

 

  

 

   「いつか」(着る・使う・読む・聞く・観る……etc)

 

    …があるし、何より自分は

 

 

   「モノを大切にするボクちゃん」

 

    …なのだから。

 

  

 

 

 

 

 

    その「モト」がこの町から引っ越してからは当然私は全く見掛ける事も無くなったワケだけれども、「タオ」は2年くらい前までは年に一回くらい父親に会いに行っていて、その時に撮った写真を見せてくれた事がある。

 

 

 

 

 

 

    くたびれたジーパンにヨレヨレのTシャツを着たままで笑う、

 

    くたびれた「爺さん」がそこに居た。

 

 

 

 

 

 

    一瞬、「モト」だとは気が付かなかったくらい。

 

    

 

 

 

 

 

    「実はポリシーなんて無い、

 

   のがポリシー」

 

 

   …の人はやっぱりこうなるんだね、と再確認した瞬間だった。