わっしょい百万夏まつり 150801(後編) | noise or music

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電子音楽が好き。
楽音と雑音の狭間や
ノイジーな体験を書きます。


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JAM 広場での ふるさとPR は

各ミスの清涼感が 観客の、暑さで詰まった脈打つ後頭部にタオルを当てるように感じられました。

『ミス○○』 という言葉の魔法もあるかもしれませんが どの方にも乾いた清潔さがあり

瑞々しい表情やお姿は意識の枠いっぱいの果物のようでした。

最後の出番の、北九州看板娘、看板息子さんはそこにスパイスを加えた、言葉の主の動き回るPR をなさり

台詞のうしろ側に空気と白い息でできた屏風が感じられました。



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左から、北九州看板娘 明瀬靖奈(みょうせやすな)さん、緒方直加さん、池田有希さん、

それに看板息子 木佐貫龍樹さんを加えた4人は

ピーチな声や発泡するような感嘆をも含ませ、

PR タイムに初めて立体感を形作るその脇や狭間にごちゃごちゃを織り込んだことが

お祭りの青写真を広げました。



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そして他のミスのスピーチの間

(うん、うん♪)と笑顔で唯一うなずいてらしたミス別府 増田杏樹さん。

自信とそれからお声やパッケージのすべてが張り合わせになってツーーッと伸びていくような

ネイビーブルーの爽やかさに、

ひと目見た瞬間から(かわいい... ♪)とうなりました。



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ふるさとPR が終わるとあっという間にステージはYOSAKOI 仕様に様変わり。

ステージ裏に回って踵を返す間もなかったので

人垣は木洩れ日ほどもステージの様子を透かしてくれませんでしたが

頭上の大型ビジョンには映ってました。

そんな応援メンバーさんの取り巻くJAM 広場に

気になるコスチュームのチームさんがいらっしゃいました。

『わん!~ WAN ~ 』 。

それはクリスマス市の山口からいらっしゃった独創性あふれるチームの皆さんで

演目の『Let's ! 』 をYouTube で確認したところ YOSAKOI という枠を借りたもはやミュージカルで

その練られ具合はむしろそちらをメインストリームと思わずにはいられなくなるくらい。

過去の演目でも動画のfps では追いつかないくらいのキレキレのダンスをご披露なさり

かといって古(いにしえ)へのオマージュも忘れないという透徹したチームでいらっしゃるよう。

そして 奄連 さんといい からくり堂 鯔背 さんといい、

山口市にこれだけ型破りで存在感のあるチームが集まっていることの原因を解明したくもなってきます。


(外へ出るんか?こんな暑い外へ... 死ぬるぞ... )

腕と顔しか露出してないはずが

その3点からだけでも燻すような太陽が意識の中に混濁の煙を上げます。

けれども辿り着いた勝山公園大芝生広場でも観たかったYOSAKOI の演目がありました。

まずMKB 15 さん。

こちらは高校生のバトンチームで

太陽に唯一勝てる青い若さが織り成すしなやかな動きの軌跡が

風に いい匂い を混じらせました。



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そしてまたも冷んやりとしたトンネルのようなエコー感を残したのが 撫子 さん。

和 の静かな音のかたわら、風鈴や鳴子、そしてデッキシューズの 音や重さのないステップが

大好きな創作ダンスのテイストで、

たおやかでいかにも女の子らしい慎ましい花を咲かせました。

文学的な賞を差し上げたいくらい。

好みです。



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市役所の裏手に日陰を探していたとき

YOSAKOI のメンバーさんの涼しげな笑顔に出会いました。

この 肥後真狗舞(ひごまぐま)さんは大所帯でいらっしゃるので

なかなか拡大されない粒揃いの静かなひとときを切り取らせていただけるのはかなり幸運なこと

とあとから気づきました。

持ち替えていたカメラPowerShot S100 に彼女たちの西日の冠をかぶったような透明感、

おぼこさが写っているのに嬉しくなりながら。



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体力は というよりも身体を閉じ込めるぬるいゼリーのような空気は 動作を重くしましたが

メインステージのこれだけは観て帰りたかった。

1時間以上も立ちっぱなしで待ち続けたまま、

朝鮮舞踊の甘いくびれがそのゼリーを冷やしてくれることに賭けました。

そして日中ずっと演舞を観てきたことに映像を上塗りしてくる腰高な異文化は

頭の中にくびれた花の香りを残さずにはおりませんでした。



~6月26日放送分の録音より~


Studio Akustische Kunst (WDR 3 [ドイツ])

November (その3)

Stefan Rummel

"November - bonn hoeren 3"はボン近郊のライン河岸の、イメージのサウンドトラックの記録です。ここには一見したところ人間の力の及ばない大量の水と強い流れが見て取れます。

2014年、ベルリンのアーティストStefan Rummel は連邦市のサウンドアーティストに任命されました。Rummel は音を文学や幻想のようにクリエイティブに取り扱いました。彼は根気よく作品を制作し、その、土地に根差したプロジェクトにおいて音を彫刻的に用いました。"November"は彼にとってその場の音声素材の関係を濃縮し、そしてたとえば"自然の沈黙"と"機械のノイズ"とのコントラストを語りかけます。まさに素材の切断によってハイブリッドな生き物が誕生します。

Stefan Rummel :ニュルンベルクで生まれ造形芸術を学んだあと、ベルリンで活動するようになる。多数の国家的、国際的作品やパフォーマンス、サウンドインスタレーションを手がける。

November (続き)

ブランコ的な 金属質の軋みの角が立ってくるとそこに無数のカモメの声が重なる。この、波に洗われる船べりのような音は裏返る2つの音から成っている。フェイドアウトしていくのを割り留めるようにフォフォッ... という音。風を伴い、駅に潜り込む鉄の塊が火花のような軋みを上げる。それは風の中に溶けていく。また フォフォッ... 。この、スタビライザーのように沿う音は、車の往来が溝蓋を踏んだようでもある。けれども加工源が管楽器だとわかりそうになる。車の往来の、灰色の雑味に溶け入りそうな根源がプツリと地下空間に切り替わる。往来は往来でも電車(地下鉄)のそれは工場めいている。機械の発したような息が、具体音でありながらサブコードのような効果をもたらす。乗り物のノイズはグボッと膨れ、小康状態に。/

うす焼きせんべいでできたような波の音。キャラキャラ... と岸辺に叩きつける。ボイラーがうなると、波とは違う掃くような軋みがそれでも波のように鳴る。道路の往来と聞きまごう波の音。それは地下の送風口のように狭まり、囲われてくぐもる。(November 終わり)




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STARBUCKS に居るように#475


[抜け殻]


お祭りの熱気の及ばない北口に戻ってくると 自分が今、乾いたスポンジのようになっていて水を欲してることに気づきました。FADIE に入るなりアイスコーヒーを手に持ち、そのままグラスの水を2杯。これでようやく顔と腕に汗ばみが戻ってきました。



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オーダーストップ直前の店内に人は居ず、スタッフさん的に見て自分がいつまで居ていいのか?の推し量れなさは、この倍くらいは水やコーヒーが飲めそうな渇きと同じ。自分が最も頻繁に水を飲み過ぎた記憶は小学校高学年の夏で、その(飲み過ぎた)先には鮮やかなイベントも女の子の香りもない代わりに 動ける という元気が待っていた。



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芝生広場に置き去りにされた花冠を作った誰か ─ 自分は朝のキャッチボールのお2人を思い浮かべました。もしそうだとしたら言葉や情報でない、フルーティな色を塗り返しては香らせる女の子の行為として 物語的な潤いをもたらしてきます。