◆アニマルレスキュー犬舎
抑留所での譲渡会から、一年が過ぎている。
館岡家族は休日を利用し、アニマルレスキューで保
護している犬、猫のお手伝いに来ている。
咲が一匹の猫をじっと見ている。
咲「この猫、キミーに似ている・・・。」
聖子「そうね。何となく似ているね。」
咲「何となくじゃなくて・・・、とても似ている。」
一年前に携帯電話で撮っていたキミ―の写真を見せ
る。
咲「鼻のこの模様、それから体の模様、どこもそっくり
信じられない。」
聖子「そう言われると、ほんと、そっくりね。この猫、
どこで保護されたか、代表さんに聞いてみるね」
聖子は、小走りで代表のもとに行く。
代表としばらく話し合った後、やがて咲のもとに来
る。
聖子「新川町の三角グラウンドに、段ボール箱に入れら
れて、三日前に捨てられてたそうよ。二匹いたん
だけど、一匹は昨日、赤川に住んでいる人がもら
って行ったんだって。」
咲「キミ―をあげた昭和町の家に行ってみていい?」
聖子「そうね。気になるし、これから行ってみましょ
うか。」
◆昭和町(キミ―とステフがもらわれた家)
聖子と咲で、一年前にキミ―とステフがもらわれて
行った昭和町に行く。
転居をしたらしく、その家には誰もいない。
近所の人に聞いてみるが、引っ越し先は分からない
咲「もう一匹捨てられていた、赤川の猫、見に行っても
いい?」
聖子は、携帯電話で代表と話をする。
もらわれて行った先の住所を聞き出す。
◆赤川町
二人で赤川に向かう。もう一匹の猫を見て確信する。
咲「ほら、ステフだよ。間違いない。ママ、ステフに間
違いない。やっぱりあの猫は、キミーだよ。ママ、
間違いない。キミ―とステフに間違いない。」
咲は、興奮しながら繰り返す。
聖子「そうね。間違いないみたい。」
聖子は、現実を冷静に受け止めながらも、怒りで震
える。
その後、代表に会い事情を説明する。
その日から、キミーは館岡家の猫となる。
(「函館ワンニャン物語 ⑫」へ続く・・・)