オリパラ予算の膨張に関して会計検査院が指摘している事について、最近のエントリーでそもそも膨張している部分、便乗予算が増えている部分があるとの指摘をしました。これは2年近く前から、オリパラ担当大臣が関連予算全体をきちんと把握していくべきとの指摘を野党側からしています。ただ、歴代オリパラ担当相がそういう事をしてきたようには見えません。

 

 以下の丸川担当大臣の答弁を見てみれば分かりますが、「その程度の業務ならば、内閣府の政策統括官がやればいい。」と思えてしまうくらい自分の業務を矮小化しています。

 

【平成28年09月30日衆議院予算委員会】
○初鹿委員 (略)だから、司令塔をどうするかということは非常に重要だと思いますよ。やはりそれをきちんと管理できるのは、国じゃないですか。そのための担当大臣じゃないのかと思うんですけれども、何のための担当大臣なのか、ちょっと答えてもらえますか。
○丸川国務大臣 担当大臣の仕事は、主催者たる東京都と組織委員会がオリンピックを進める上において、特にセキュリティー面、また運輸面、運送面においてしっかりバックアップする、こういう立場でございます。
○初鹿委員 本当にそういう担当なんですか。それだけなんですか。本当にそれだけでいいんですか。
○丸川国務大臣 サイバーも含むセキュリティー、それから特に輸送面、それから機運の醸成、これが主たる私の任務と認識をしております。

【平成28年10月21日衆議院内閣委員会】
○緒方委員 先般の予算委員会で、丸川大臣は、自分の所掌はサイバーを含むセキュリティーというのとオリパラ関係で運送面というのと、あと機運の醸成、大体そういう答弁をされたと思います。(略)けれども、先般、大西議員からも予算委員会で質問があったと思いますが、オリパラ法では大臣のことを何と書かれているかというと、内閣総理大臣の命を受け、大会の円滑な準備及び運営に関する施策の総合的かつ集中的な推進に関し内閣総理大臣を助けることをその職務とする国務大臣、これが丸川大臣ですね。よろしいですね。
(略)
 大臣が言われたサイバーを含むセキュリティー、運送面、機運の醸成と、法律に書かれている大臣の所掌との差分、残りの部分、差分というのは、これは何ですか、丸川大臣。

(略)

○丸川国務大臣 特に今大きな課題となっている部分を述べさせていただいたのですが、それ以外に今取り組んでいることとしては、CIQの強化ですね。これはほかの省庁との協力にもなりますけれども、これから、これはある意味、オリンピック・パラリンピックも含む、これからの訪日外国人数増という政府の目標に対応するCIQの増強ということについては、関連省庁の施策を強力に加速させていくという立場があろうかと思います。
 それから感染症対策ですね。これは厚生労働省の主たる所掌ではございますけれども、オリンピック・パラリンピックに備えて進めていくという面においては、私もかかわっていくことになります。
 それから暑さ対策。これは国土交通省と、一方では医師会の皆様初め厚生労働省の方も対策にかかわっていただくことになりますので、これも関連省庁と連携を、私が橋渡しをするというような役割になってございます。
 そうしたことも含まれております。

【引用終了】

 

 答弁を見てもらえば分かりますが、法律にあるような「大会の円滑な準備及び運営に関する施策の総合的かつ集中的な推進に関し内閣総理大臣を助ける」という職務をきちんと理解しているようにはとても思えませんでした。最初は「丸川さん、すっとぼけているのかな?」と思ったのですが、どうもそういう高等戦術ではありませんでした。なので、オリパラ関連予算全体のフレームワークを把握して、そこに一定のルールを被せて、膨張、便乗を防ごうなんて事も思わないわけです。私はオリパラ予算の膨張、便乗が生じているのは、歴代オリパラ担当相の無能ぶりの結果だと思います。

 

 この程度の業務量と認識なのであれば、国務大臣をわざわざ一人置く必要はありません。正直な所、「ヒマなんじゃないかな?ヒマでないなら屋上屋で邪魔なのでは?」とも思います。昭和の東京オリンピックは1964年10月に開催されましたが、直前の1964年7月18日発足の第三次池田改造内閣において、河野一郎副総理が東京オリンピック担当と発令されています。長々と事前に担当相を置いていたわけではありません。

 

 結果としてオリパラ相が「でも」「しか」大臣ポストに堕してはいないかと懸念します。国務大臣というのは重いポストです。それが「でも」「しか」ポストにならないよう、政治の真摯な姿勢が求められていると思います。