最近、よく「1965年に韓国と国交正常化した時に、朝鮮半島全体との関係整理は終わっている。なので、北朝鮮と国交正常化する時に賠償請求権の話は生じない。」という論調を伺う事があります。

 たしかに日韓基本条約を読んでみると、一見そう読める部分(第三条)があります。

【日韓基本条約第三条】
大韓民国政府は、国際連合総会決議第百九十五号(III)に明らかに示されているとおりの朝鮮にある唯一の合法的な政府であることが確認される。

 しかし、この条文は「ある意味」とてもよく出来ていています。決して、韓国が「朝鮮半島全体にある」唯一の合法的な政府であるとは書いていないのです。あくまでも、「国際連合総会決議第百九十五号(III)に明らかに示されているとおりの朝鮮にある」唯一の合法的な政府でしかありません。当時の日本は、韓国との国交正常化においては、北朝鮮部分は完全白紙という立場でしたし、その趣旨は上記の第三条にも反映されています。

 その理屈とそれを裏付ける国会でのやり取りについては、以前、書きました。昨今の情勢にかんがみれば、再度ご紹介する意義があろうかと思います。

● 理屈(かなり難解です)
● 理屈を裏付ける国会でのやり取り

 外交文書ではコンマ1つで文章の意味が根本的に変わる、という典型的な例です。