以前、フランスによるミストラル級強襲揚陸艦のロシアへの引き渡しについて書いたことがありました(ココ )。一時期は、ウクライナ情勢との絡みでフランス政府は引き渡しに揺れ動いていた時期がありました。アメリカは、フランスに対して懸念を表明していました。


 ただ、ここ数日のフランスの新聞を読んでいると、フランスは完全に「引き渡す方向でやる気満々」です。最近、ロシアの海兵400人が訓練艦スモルニイに乗って、ミストラル級を建造しているサン・ナゼール港(ロワール・アトランティック県)に研修のために到着しました。フランス側は結構、歓迎モードのようです。何故か、極右国民戦線が「歓迎」のコメントを出しているのはご愛嬌ですけど。


 記事( )を読んでいると、最初に引き渡される予定の「ウラジオストック(船名)」については、半分は(ロシアの)サンクトペテルブルグ、半分はサン・ナゼールで建造される予定で、16機のヘリ、13台の戦車、車両100台を輸送する能力があり、450人の地上部隊、そして機械化部隊(force mecanisee)を展開する能力があると書いてあります(どの程度の能力なのか、私には分からないので誰か解説してください。)。


 ウラジオストックとセバストポル(二隻目)で12億ユーロ近い契約で、これによって創出された雇用はおよそ1000名、しかも、プーチンからは「契約破棄したいならしてもいいが、違約金は払ってもらう。」と恫喝されています。売れない上に、違約金となればフランス政府は相当な負担になります。しかも、現契約には「追加的に二隻を注文できる条項」があるらしく、フランスの軍産複合体からすると逃がしたくないと思っていることでしょう。


 これは確実に引き渡されますね。アメリカ、ウクライナが何と言おうと、引き渡す以外の選択肢はなさそうです。フランスらしいと言えば、フランスらしいです。一見、理念系に忠実に見えますが、カネが絡む時の執念は相当なものがあります。しれっと言いますよ、「C'est le business(それがビジネスだろ。)」と。