花嫁 | 青いデニムとボーダーシャツ



親友の結婚式にいってきた

彼女との出会いは17歳のとき
音楽が好きな高校生のコミュニティで知り合った
当時人見知りだった私に元気ハツラツと
話しかけてきたのが彼女。
すごくさっぱりしていて気がきいて
とっても優しいけど自分をとても持ってる
オシャレでセンスがあって常識もあって
でも天然な女の子。
そして終電逃した私と女の子と
あと一人背が高い女の子みたいな男の子と
3人で漫画喫茶で朝まで喋った。
ボーイズがいるけどガールズトーク感たっぷりで、恋愛の話、性の話、時には口が曲がるくらい悪口も言ったりした。

17歳と18歳の間で初めて3人で旅行に行った。

初めてはたしかソニックマニア
今は年齢確認厳しいのかな
高校を卒業した私達は東京に行った
今写真をみたら笑うくらいみんな髪の毛も服装も派手だったな〜
あの時の東京がたぶん今までで一番新鮮だった、ビルの高さや声の多さ、空気も人混みも何もかも新鮮で 東京にいることがとても誇らしくて スナップを撮ってもらうために2往復くらい原宿や表参道を歩いた


次は鎌倉だったかな
あんまり覚えてないけど、二人が宿も旅行の計画も全部してくれてた
私はいつもしっかりものの二人についていってた。
泊まるホテルは決まってワンルームに
シングルベッド二つとおまけみたいなベッドで、全員当時彼氏彼女がいたから
夜寝る前に全員彼氏彼女と電話をしてた
今思うと当時の彼氏彼女は理解あったなーと思うし 旅行に来てまで彼氏に電話してた私達なかなかやばい


そのつぎは北海道だっかな

飛行機に3人でのった
これもあんまり覚えてないけど
レンタカーで車にのって北海道を
ブイーーンと走るのは気持ちがよかった
たぶんこれが卒業旅行だから
22歳のときかな。
全員ペーパーだった気もする
あんまり覚えてない なんでだろ
動物園は雨だった 函館で食べた海鮮丼が美味しかった でも3泊4日目したんだっけな?
2日目くらいで家に帰りたくなった気がする

そして社会人になった
わたしは絶賛フリーター


彼女とのっぽの男は東京へ行った
親友ふたりともが東京に行くのは凄く寂しかった。バンドもうまくいかなかったから
二人がとても輝いてみえた

だけど東京はそんなに綺麗じゃなかったらしく、彼女は心を病んでしまった
東京にいた親友の心をどうにもできなかったこと、帰ってきてもなにもできなかったこと、とても悔しかった
私が悩んだ時もバンドの不安も
いつもポジティブに変えてくれる元気な彼女だった けどそんな皆に優しくて元気な彼女の心は限界だったらしい

そんな時に支えてくれたのが彼女の今の旦那さん。顔が濃くておっとりした旦那さんのおかげで時間をかけて元気なった彼女と
久しぶりに3人で予定を合わせて旅行に行った

それが一番最近の旅行で九州に行った

地震がおきてそんなに時が経ってなかったからまだ地面が割れていて復興活動をしていた
街が少しだけ悲しみを引きずっていたけど私達はとても九州を楽しんだ
行き当たりばったりに見つけた焼肉屋さんで贅沢をしたり私のわがままで
九州まで行ってサファリパークに行ったり
なんちゃら街道をドライブした
空気がすんでいて遠くに馬や牛がいた
あの景色は忘れん坊の私でも思い出せるくらい綺麗だった


旅行から帰ってきてしばらくした頃


彼女から電話があった
報告があると
彼女の誕生日だったかな 2017年だった
なんとなく察した
ドキドキして電話をとった
プロポーズされた と

彼女の顔は見えてなかったけど
頬が少し赤くなって目を潤ませてる
彼女の顔が浮かんだ
私もつられて目が潤んだ


そして彼女の苗字が変わった

ハワイで挙式を終えた報告を受け
今日目の前でドレス姿をみた
扉の向こうにいる彼女が綺麗で綺麗で
はじまるまえに潤んでしまった


式がまだ途中だったけど
私この日東京でライブがあるから
うしろ髪ひかれながら会場を後にした

お金で時間を買えるなら買いたいなと
思ったけど今月の給料は4万5千円しかなくて残高は2万円になってしまってたのでタクシーを諦めて走って電車に向かい初めて自分のお金で金券ショップで買ったのぞみのチケットを握りしめて新幹線に飛び乗った


文字を打つ脳みそと窓際からみた見慣れない景色をみる目
両方は同時に使えないから
頭の中で彼女のことだけを考えながら
夕日をあびて文字を打っている



いま名古屋についた
けど彼はここにいない
そんなことをふと考えたけど
私の頭の中は今日は花嫁姿の彼女でいっぱいだった