四十九日に寄せて・・・。 | 百年企業を創る!情熱の【社長の保険】

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いつものおっとりとした祖母の声が、小型のカセットデッキから流れてきた。

子供のころから聞きなれた声だ。

記憶の中で、最初に聞いただろう祖母の声は、恐らく小学校のころだと思われる。

当時祖母は、五十代半ばだったはず。

あまり変わっていないような気がするというのは、

祖母が元気だったから、それとも、記憶の曖昧さから、過去の映像を、

今の声で再生してしまうからだろうか。

唯一といっていい、祖母の肉声は、娘の夏休みの宿題で、

戦争のことを調べることで、奇跡的に残った。

母のなんともいい加減な解説と、かみ合うはずもない祖母の説明に、

思わず、ほくそ笑んでしまう。

そんな祖母とも、もはや会えないと思うと、なんとも切ない気持ちになる。

生前には、随分いろんな話をしてくれたので、カセットにも、たくさんの逸話

が残っているものと期待した。小学校四年生に話し伝える内容は、

暖かくも、僅かな内容だった。

終戦の日から約一年間、家財道具を売るだけでは生活も成り立たず、

現地の満州人に頼んで、餅や煙草を仕入れ、売り歩いて生活をしていたこと。

祖父が教育召集されてしまったことから、社宅を出ざるをえなくなり、

知人宅に身を寄せ、目が不自由で働けない知人も含め六人の生活を支えていたこと。

家の前に、満州人の屋台があり、そこの南京豆が好きだった母が、

お金を持たずに南京豆を貰いに行き、帰宅後、代金を払いに行っていたこと。

ようやく引き揚げの話があり、コロ島から、約一ヶ月かけて帰国したこと。

人で溢れた船の中で、乳飲子だった叔母と二歳の母を連れて、

僅かなスペースに座れる位置を確保したものの、

そこは、甲板から直射日光が差し込み続ける位置で、誰もが避けていた場所だったこと。

具合の悪くなった三人を、船員さんが助けてくれ、船室で食事まで出してくれたこと。

博多からの列車の中で、ふかし芋を食べる人を見た母が、

「まあちゃん(満須美)もああいうの一つ欲しい」と言ってその場を離れず、

その方が、一つ分けてくれたこと。

それ以来、母はしばらくふかし芋が大好物になったこと。

帰国後、四十度以上の熱が続き生死の境を彷徨ったこと。

それでも、叔母を連れてゆくと、授乳をしていたこと。
 
などが、噛み砕かれて話されていた。娘(ひ孫)用に作文にまでしてあった。

祖母の話を聞きながら、娘が何を感じたかはまだわからない。

ただ、誰かを恨んだり、戦争というものをヒステリックに語ったりすることなく、

当時の経験を淡々と話す祖母が、とても強く優しく感じられたのだった。

想像もつかない数の人が亡くなった戦争。祖母の命をかけて子供を守る姿勢に、

ただただ感謝します。

祖母の四十九日によせて・・・。





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