②夫が薬物依存症で、市販薬を乱用していること。
③夫を逮捕して、その後は、依存症の入院施設に入れてほしいこと。
私の通報をことごとく無視した警察官たちは、イライラしたように、私と子供たちにこう言いました。
「あー、もうね、
あなたたち、これから母子シェルターに入るから。
だって殴られたんだよね?
あなたがそう言ったよね?
だから母子シェルターに入るんだよ。
早く準備して。
身の回りのもの少ししか持っていけないから。
子供たちは、ランドセルだけね。
ランドセルの中は教科書はいらないけど、持っていきたいものだけ、ランドセルに入る範囲で詰めて。」
そこで説明された母子シェルターの実態。
①遠くの区の母子シェルターに行く。
場所は未定だが、とにかく離れた区。
②携帯電話は禁止。
一切、外部と連絡は取らない。
つまりこの世からいったん消える。
③今の仕事は、今夜付で退職。
母子シェルター内にいる数ヶ月は仕事禁止。
④子供たちは、今夜付で転校。
母子シェルター内では学校に行けない。
数ヶ月後、母子シェルターを出て新しいアパートに移ったら、そこから転校先の学校に通う。
⑤数ヶ月後、落ち着いたら、母子シェルターから新しいアパートに移る。
そこから仕事を再開していいが、今の会社に戻るのはだめ。
突然、この生活から消えないといけないのです。
日本に帰国して未経験の私を拾ってくれた会社、
子供たちの学校生活、
いや、もう何もかも失います。
私たちは5年半前の2015年に一度、すべてを失い、母子ホームレス状態になりました。
またすべて失うのです。
日本に帰国して5年半、築いたものすべて。
私は警察官に急かされながら、ゆっくり荷造りを始めました。
どうしよう、と思いながら…。
子供たちは同じく別の警察官にキツイ言葉で急かされながら、それぞれの部屋で、ランドセルに必要最低限のモノを詰めようとしていました。
まだ小学生だったので、みんなオモチャやヌイグルミを詰めようとしていたようです。
小さなランドセルに、オモチャやヌイグルミをぎゅうぎゅうに、一生懸命…
入らなくて、警察官に、
「だからそれは無理だよ、諦めて。」
など言われたそうです。
子供たちが小学生まで生きている軌跡は、たったランドセル一個の所有物になってしまうのです。
そこで私はハッとしました。
「猫は連れていけるんですよね?」
「ダメです。」
そこで私は目が覚めました。
「いや、猫を連れていけないなんて、無理です。」
「あのね〜、あなたは優先順位がわかっていない。」
「いや、優先順位はこの生活です。
猫も私にとっては、大事な子なんです。
またすべてを失うなんて、とんでもない。
必死で5年半、生きて取り返してきました。
だからこれ以上、私と子供たちの生活が脅かされることはできません。
罰を受けるのは、私と子供たちではありません。
家を出ていくのは、薬物依存症で暴力を振るった夫です。
夫を出ていかせてください。」
私は警察官が返した言葉を忘れません。
「あのね、
警察官は便利屋じゃないんだよ。」
そうですね、警察官は、
本当に一生懸命働く便利屋さんの足元にもおよばないですね。
すると子供部屋で、第2子と第3子が叫びました。
「行かない!どこも行かない!」
「お巡りさんたち、帰ってよ!」
2020年当時
第2子 小学校4年生
第3子 小学校2年生
警察官は怒りながら、
「じゃあさ、
『次回また夫に殴られても、二度と警察官に通報しない』
って一筆書いてよ。」
私は、
「二度と警察官に通報しません。
警察官に、
『二度と警察官に通報しないと一筆書け』
と言われたからです。」
と書き、署名しました。
悔しかったので、その一筆は写真を撮りました。
警察官たちの前で。
警察官に、
「ダメだよ、写真は消して。」
と言われましたが、
「いや、消しません。」
と伝えました。
のちにお世話になる神奈川県警にも、
「それ本当?
警察官が、そんな一筆を書かせるなんて絶対にやってはいけない。」
と驚かれましたが、本当に書かされ、写真も残っています。
2015年の辛い記憶が蘇りました、
もう二度と、すべてを失う生活はできません。
(インターネットで調べたら、母子シェルターの正確な名称は、”母子生活支援施設”だそうです。
警察官が「母子シェルター」と言った為、こちらではそのまま表記します。
しかもインターネットでは、母子生活支援施設から、仕事や学校へ行くことは可能だそうです。
私の場合は、恐らくDV避難に該当する為、あのような厳しい制限を言われたのかもしれませんが、詳細はわかりません。
ただ私の場合、まだ未就学児ならともかく、
小学校高学年〜低学年の子供たちに突然、夜逃げ状態で生活を一変させるような、我が家の末っ子でもある猫を置いていかせるようなことはできませんでした。
実際に、母子シェルターは中学生以上はほとんど受け入れないそうです。
中学生にそのような夜逃げをさせることは、緊急事態を除き、やはり心のダメージが大きくなる為、推奨されないそうです。
また会社員として、今夜、会社をやめるなんてできませんでした。
もちろん、私の場合ではなく、命の危険がある母子の方にはとても必要な制度だと思います。)





