【前回のお話は下記リンクからどうぞ】
【前回のあらすじ】
当時の日記を公開。
子供の気持ちを確認でき、あとは離婚に向けて行動していくだけだった。
夫の住む家から実家へ移り住み、約2週間が経とうとしていた時だった。
夫の浮気調査を依頼した探偵社から、調査報告書送付の連絡が入った。
調査決行してから、約2ヶ月。
最初に案内されていた通りの日数だった。
送付された報告書は、PDFだった。
いわゆるデータで届き、必要であれば自身で印刷するということになっていた。
夫への気持ちは、完全に冷めていた。
だけど、夫の不倫に気付いた時や確信した時、私は計り知れないほど大きなダメージを受けた。
夫が不倫女性と一緒に写っている姿を見たら、また酷く心が痛むんじゃないか。
写真を見ることで、その時のことがフラッシュバックしてしまいそうで、
私一人でデータを開くにはかなりの勇気が必要だった。
私は1人で見ることを諦め、私の母と一緒に見ることにした。
子供たちが寝静まった夜、私はリビングでのんびりスマホを見ていた母の元に近づいて言った。
「調査報告書が手元に届いたの。1人で見るのは不安だから、一緒に見てくれない?」
私がそう言うと、母は快くOKしてくれた。
探偵社から届いたPDFをタップすると、調査報告書の表紙が画面いっぱいに写った。
表紙には報告書の取り扱い規定と、探偵社名が大きく印字されていた。
画面をスクロールしていくと、
調査対象者(夫)についての情報が載っていた。
情報は、夫の居住地や出身地、勤務先名や勤務地住所、夫が家から職場までに使う移動手段など(面談員さんとの面談“ヒアリング”の時に私が記入したもの)が細かく書かれていた。
さらにスクロールすると、
調査日、張り込み場所の詳細や張り込み場所の写真が載っていた。
一言一句、丁寧に読み進め、人物が写りこんだ写真に辿り着いた。
紛れもない、夫の写真だった。
探偵社に調査を依頼し、決行した日もその後も「調査を依頼した」という認識ではいたが、
この報告書を見て「探偵に依頼したんだ」という実感が湧いてきたのと同時に
これがあれば、夫との離婚話を上手く進めていけるかもしれない。
と思った。
探偵に依頼した実感が湧いたものの、私が報告書を見る前に不安を抱いていた、
夫の浮気・不倫を知って受けた心のダメージがフラッシュバックすることはなかった。
裏切られた、悲しい。
という感情を、とおに越え、
やっぱりな。
と言う感情だけだった。
私は夫に対して“無関心”になっていると気付いた。
今まで私は、
子供達を私一人では養っていけない。
生きていけない。
生活するために夫の言うことを聞き、ご機嫌を取らないといけない。
そう思って、夫を頼りきっていた。
悪い言い方をすると、夫に縋っていた。
でも、そうしなくても生きていける。
実家だが、私と子供達が居てもいい場所は
夫の隣だけではなかった。
それを知った時、身も心も軽くなったのを感じた。