【前回のお話は下記リンクからどうぞ】
【前回のあらすじ】
荷造りを終えて家を出る時、夫が突然家に帰ってきてしまった。
夫と遭遇してしまった時の可能性を考えておらず、その場を切り抜ける言葉が見つからずにうろたえてしまった。
そんな私に対し、夫は「家を出る前とは別人」と思うほど、優しく接してきた。
穏やかな声でどこに行くのかと聞いたあと、たくさんある荷物を半分持ち車まで運んでくれた。
翌日から私は友人の結婚式に参列するため、大阪へ。
その間、子供達は私の母に預けるため、夫は子供達とバイバイした後、母にも軽く挨拶をした。
私へは「楽しんでこいよ」と言い、車は出発した。
夫と自宅から別れた後、私と子供達は母の車で実家へと向かった。
向かう車の中、
母は1番上の子と一緒に荷物を持ち、先に家を出たため、エントランスで夫と出くわした時「肝が冷えたよ」とため息をつきながら話を始めた。
「私は玄関で待ってる時、扉がガチャって開いてさ。お母さんかな、と思ったら夫で。めちゃくちゃびっくりして声が出なかったよ。」
「私はエントランスで会った時、思わず○○(私の名前)ーー!!逃げてーー!!って叫ぼうかと思っちゃったよ。」
「目が合った時、何されるかと思って身構えたけどさ。ひとまず、何も無くて良かった。」
「本当だよね。さっきまで『筋通せ』って言ってたのにさ、あんだけ急に態度が変わったら逆に怖いよね。」
「本当に、何考えてるか分からないや。
……あの家に帰りたくない。
もう夫の元から離れようって決めた。
だけど、私が仕事始まる前までは、耐え忍んでおくべきなのかな。」
「そんなことないよ。大丈夫だよ。何とかなるから、もう家(実家)にいなよ。」
「…うん、ありがとう。ちょっと考えるね。」
家に着き、子供たちにご飯を食べさせ、お風呂に入れた。
いつもは1人でやってたことを、母が手伝ってくれた。
夫が家に居て、子供達の身の回りのお世話をしてくれた時は、例えやり方が違くても必ず「ありがとう」と伝えていて、口を出すこともやり直すこともせずに見守っていた。
子供達のことに関しては、夫のプライドは守られていたのだろう。
夫が不倫した理由は、きっとこれではない。
そんなことを考えながら、1人でゆっくりお風呂に入った。
夜19時には子供達が寝静まり、私も21時頃に寝床に着いた。
今日一日で、どっと疲れたこともあったが、
久しぶりに夫という存在を気にすることなく、不安なんて感じずに、ぐっすり眠ることができた。
夫と同じ家にいる時は、
夫の逆鱗に触れてしまわないか、かなり気を遣いながら、不安の中就寝していた。
ぐっすり眠れるなんて、数ヶ月振りだった。
私にとって夫との生活や夫が起こした出来事は、
私の心にこれほどまで大きな負担になっていたのだと、改めて痛感した。
翌日、結婚式場がある大阪に行くため、私は1泊2日のプチ旅行。
子供達のことは母と父に任せ、私は新幹線に乗り込んだ。
久し振りの新幹線。
1人になった瞬間、すごくホッとした。
きつく縛られていたものが、少しずつ解けていくように感じた。
子供達と離れてソワソワする一方、それを勝る安堵感で心は満たされていた。
そんな落ち着いた時間もつかの間、スマートフォンがバイブレーションで揺れた。
通知元はLINEだった。
LINEを開くと、夫からメッセージが。
「そろそろ新幹線に乗ったかな!?気を付けて行ってこいよ〜」
何気ないLINE。
私が友人と出掛ける時にも、毎回こんなLINEを送ってきていた。
それでも私からしたら、
「お前のことを監視しているぞ」
と言っているような、威圧を感じた。
例え遠くに行っても、逃げても、
夫と離婚しない限り、夫の支配から解放されない。