【前回のお話は下記リンクからどうぞ】









【前回のあらすじ】


夫はだいたい週に1度のペースで、自宅に帰ってきていた。

自宅で寝る日もあれば、生活費を渡して「子供たちの顔見たから行くわ。」と言って、行き先を告げずに家を出ていく日もあった。


帰らない日に必ず来るLINEがあり、内容は「明日帰る!」という短文だった。

明日帰ると言って、帰ってこない時は9割。


私は、夫の嘘に慣れ始めていた。









夫が「離婚する」と言い、家を出て行ってから約3週間近く経っていた。


この頃の私は、夫の嘘に対し何の疑問を持つことなく、対応できるようになっていた。







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今日は帰らない!明日帰る!



そんな気がしてたから大丈夫🙆🏻‍♀️
いつもお仕事お疲れ様💦

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私から仕事の進捗や、夫の近況を聞くことはしない。それは前から変わらず。


むしろ、私は気持ちに整理をつけ始め、夫への対応が淡白になってきていた。







変化したのは、私だけではない。


子供たちも少しずつ変わってきていた。




ほとんど毎日のように「きょうはパパかえってくる?」と聞いていたのが、

その質問自体してこなくなった。





“パパ”に対する愛情が薄れたのか、


その存在自体を忘れたか、



パパがいない生活が当たり前のようになってきていた。





もうすぐ、1番上の子の運動会の季節。



「いっしょうけんめい、れんしゅうしてるよ!

でも、なにするかはないしょだよ」


と笑いながら、内緒のポーズをする我が子が愛おしくてたまらなかった。








子供たちが幼稚園などで家にいない間、私は探偵社の調査員さんに夫の近況報告を行うため、電話を掛けた。




「早速本題に入りますが、ご主人の状態はどうですか?」



「夫は調査していただいた時と変わらず、家には週一くらいのペースで帰ってきています。


それ以外はどこで寝泊まりしているか、詳しくは話されていませんし、私からも聞いていません。


夫から再構築の話もなければ、離婚の話を進めようとする素振りも見られません。」




そう答えた。

それを聞いた調査員さんは、少し話題を変えた。




不倫相手女性の自宅マンションに契約している人の中に、不倫相手女性の名前はなかったそうだ。



不倫相手の両親が離婚していて、苗字が異なる可能性は伝えていたが、

下の名前でも一致する契約者はいなかったらしい。


むしろ、その不倫相手が契約している部屋番号は別人(名前で見ると男性。しかし夫とは違う名前)で登録されているらしく、それ以上のことは調査員さんも分からないとのことだった。





「1回分の証拠でも充分効果的ではありますが、1回限りの関係で、関係を継続しているという証拠にはなりにくいです。


1回限りよりも、関係を継続している方が罪が重くなるので、期間を空けてもう1度調査を行う…つまり追加調査されると良いと思うのですが、どうされますか?」





追加調査…。


もしも夫と裁判となった時、もう1回分証拠を抑えておくとかなり有利になる。


それは分かってはいたが、追加調査にはさらに調査料がかかる。

ただし追加調査だからと言って値引きされるわけではなく、単純に1回分がかかる。



追加調査料は13万円…。







「……少し、考えさせてください。」



「もちろん、大丈夫ですよ。

ただ、早めに動かないと、ご主人が相手女性との関係を改め、家に帰ってくる可能性もあるので実行するのであればお早めに。」



「わかりました。ありがとうございます。」





調査員さんから「では、ご連絡お待ちしてます。」と言われ、この日の電話は終わった。






夫が改心して家に帰ってきてしまえば、継続的だという証拠が取れずに終わる。


だけど、1回分の証拠はある。






調査するかしないか、早めに決断する必要があった。




だけど私には、冷静に、じっくり考える時間が必要だった。