<スーパー銭湯度☆☆☆☆>

かつての日本の高度経済成長期を支えた全国の工業地帯。関西圏の
工業地帯として形成されたのが「阪神工業地帯」でした。大阪~神戸
の湾外沿いにサマザマな工業、企業が設立され、日本の御家芸とも
称された加工貿易を中心に隆盛を極め、戦後の日本経済の屋台骨と
なったことは、オマエタチ皆々様も学校の授業で御習いになったこと
でしょう。その阪神工業地帯を形成する都市の一つである「尼崎市」に
所在する温浴施設「蓬川温泉 みずきの湯」を御紹介いたします。
尼崎市は実はワタクシの地元でもあります。日本の高度経済成長期の
真っ只中、タクサンある沿岸の工場の煙突からは煙がモウモウと吐き
出され排水は川に流される時代、現在の日本のような環境保護など
ナンのソノ、作れ!造れ!出荷しろ!の叫び声が聞こえてそうなほど
各工場はフル稼働の日々でした。当然、空気は汚れ、川は濁っていき
昭和40年代から尼崎市は「公害の街」としても全国的に知られていた
のであります。カクいうワタクシも、世を忍ぶ仮の姿の幼少時代は「小児
ぜんそく認定患者」でありました。小学生時代は「光化学スモッグ警報」
が発令され、その日の体育の授業は中止、あとの授業も中止になって
早期の下校なんてこともショッチュウでした。しかし子供心としては学校
の授業が早く終わる、この「光化学スモッグ」は悪いと分かっていながら
歓迎しておりました。それに加え、毎年の夏には小児ぜんそく認定患者
の子供達が集まり、避暑地にある尼崎市市営の保養施設に行くという
イベントもありました。空気の良い場所に行って、少しでも小児ぜんそく
の症状を和らげるというのが名目だったようです。
そんな工業地域の街=「工都」とも言われた尼崎市、現在は兵庫県下
となっていますが、明治時代には前身の「尼崎藩」から「尼崎県」となり
大阪、神戸に並ぶ、独立独歩の街でもあったのです。
戦前・戦後と日本の産業の中心となったのは繊維産業でした。そして
製紙産業と、イズレモ「糸」偏の産業でありました。海に面した地形で
あり、大阪~神戸間の輸送の便の良さもあって高度経済成長期には
働き口を求めて、市外から沢山の人が移り住みました。
産業の隆盛、人口の増加。この2つの要素は相反するものであります。
人の住む地域である場所にも関わらず、高度経済成長期の日本では
都心部に近い工業用地が多く求められたのです。そうして職を求めて
流入する人々の住居…これら相反する要素を解決したのが「準工場
地域」でした。ウィキペディアには「都市計画法による用途地域の一つ
で、主に環境悪化の恐れのない工場の利便を図る地域である。住宅や
商店など多様な用途の建物が建てられる用途地域であり、土地利用の
選択肢が多い反面、しばしば住宅と工場・遊戯施設などが混在し、騒音
などのトラブルが起こりがちでもある。」とあります。
(出典・引用 ウィキペディア 準工業地域)
この準工業地域という区画によって、人口オオヨソ50万人の居住する
一大産業都市への道を歩むのでした。衣食住の確保と良く言われます
が、この衣食住を確保するには仕事がなければなりません。そうして
勤務先が自宅から近距離にある、この好条件により尼崎市は未曾有
の人口増を見るのです。それは企業にとっても好都合でした。生産の
拠点・営業所の拠点を作っても人を雇えなければハリコの虎も同然、
バブル期には企業がコゾッテ尼崎市に進出したのです。
そして、その増え続ける人口の住居の受け皿となったのは行政主導の
市営住宅でした。ワタクシのブログ稚拙「スーパー銭湯へ行こう!!」の
三田温泉 熊野の郷の中で記述しておりますが、高度経済成長期へと
邁進した当時の日本では深刻な住宅不足が問題となっていたのです。
http://ameblo.jp/ringmutaro/entry-11716040408.html
その住宅不足対策として日本政府がヨウヤクその重い腰を上げたのが
昭和30年設立の「特殊法人 日本住宅公団」でした。翌年の昭和31年
に大阪府堺市に「金岡団地」が出来上がるのです。しかしながら人口
増の対応策は急を要するものであり、尼崎市は先だって「市営住宅」
をツクッテいくのです。尼崎市は以前の行政区画であった中央・小田・
大庄・立花・武庫・園田の地区に市営住宅を建設していくのです。
そして兵庫県による県営住宅など行政による公営住宅が次々と建設
されても追いつかない時代もあったと思われます。
やがて未曾有の好景気「バブル期」をへて失われた10年へと突入する
日本。時代の流れは住居を必要とする「家族」の形を様々なスタイルへ
変化させていくのです。「核家族」「独身貴族」「シングルマザー」etc…
バブル崩壊後に生まれた、これらのキーワードは「家族」の形だけでは
なく、アラユル分野へと影響を及ぼしていくのです。それは消費動向や
価値観の変化をトモナイながら、バブル崩壊後の日本という国の在り方
を多様な方向へと導いたのでした。

「衣食住」の確保が死活問題だった高度経済期の日本人は、多方面に
渡って、バブル期から「豊かさ」を追い求めていくのです。
最低限の暮らしから豊かな暮らしへ。かつて深刻な問題であった住宅
問題にも、その変化は訪れます。今回の舞台である尼崎市に話を戻す
と、少子高齢化や家族形態の変化にともなって行政主導の公営住宅
は入居者が減少の方向にあっただろうは容易に想像できる訳です。
それは「琴浦住宅跡地活用提案競技参加事業者募集要項」(尼崎市)
「都市再生整備計画(第1回変更)蓬川地区」(尼崎市)そして、更には
「明倫中学校跡地開発による地域の人口動態と経済効果による検証」
(尼崎市)などの尼崎市が公表している資料からも読み取れると思うの
であります。前述の尼崎市営住宅のいくつかは老朽化が進み、阪神
淡路大震災以降は耐震性の問題も浮上、立替などの計画がナサレタ
ようであります。中でも今回御紹介する「蓬川温泉 みずきの湯」以前に
同敷地にあった「尼崎市営 琴浦住宅」は入居者の減少傾向、さらには
昭和28年利用開始という築50年以上経過した建物ということもあった
のか、建て壊すという案が浮上したようなのです。本来なら立て直す、
という選択肢もあったのではなかろうかとワタクシは思う訳であります。
しかしながらバブル期~バブル崩壊後~失われた10年に日本国民の
意識に「豊かさ」という変化が芽生えたように、尼崎市政も大きな変化
を迎えるのです。平成19年、変革を掲げて当選を果たした当時の女性
市長によって中核市への移行表明が発表され、その市長を本部長とし
第1回中核市推進本部会議が開催され、平成21年政令の公布とともに
中核市へとなった尼崎市はそれまでの工業の都市つまり「工都」から
尼崎市公式ホームページにある文言で言えば「にぎわいと活気あふれ
る新都心」へと変革の時期を迎えたのです。(引用・出典 尼崎市公式
ホームページ>あまがさき緑遊新都心より)
この「あまがさき緑遊新都心」はJR尼崎周辺の土地区画整理事業の
中心となり、JR尼崎周辺にあった大手ビールメーカーの生産工場移転
と共に再開発が行われショッピングモールに加えてマンションや大学が
あるミッドタウンとして大きな変化を遂げるのです。それまで準工業地域
だった場所の1部は用途地域変更となり、住居専用の地域となったので
あります。その変革は他の尼崎エリアでも見られました。琴浦住宅跡地
はこれらの変革による後押しを受けて工場以外の施設や住宅以外の
施設を提案する公募案件として「琴浦住宅跡地活用提案競技」として
コンペティションが行われたのでした。
こうして審査合格者が決定され琴浦住宅跡地は地域の活性をウナガス
商業施設へと生まれ変わるのです。その合格者とは?
堺市に所在する「祥福の湯」「堺浜寺温泉祥福」を展開する大手企業で
ありました。これらの温浴施設のノウハウを存分に活かした手腕により
2013年4月に「蓬川温泉 みずきの湯」はその産声を上げたのです。

それでは「蓬川温泉 みずきの湯」のインプレッションでございます。
尼崎市を東西に走る国道2号線を西宮方面へと向かい、尼崎西警察署
のある交差点を左折、尼崎センタープール方面に車を走らせて約3分
ほどで尼崎センタープールの目の前に広大なパーキングが見えます。
それが蓬川温泉 みずきの湯です。近年のスーパー銭湯系の温浴施設
は他業者との複合店舗での出店が多いのですが、第1・第2の駐車場を
備えたみずきの湯はモチロン単独出店です。外観は絶妙なライティング
効果で煌びやかかつ奥行きのある造りであります。エントランスにある
バリリゾート風のオブジェにより異国情緒も漂いそうですが、ガラス越し
に見える風景は近代リゾートホテルの様相です。
それではフロントへと進みます。フロントは入館受付と出口が分かれて
いて、チケット購入の券売機はありません。受付にて精算専用のリスト
バンドをもらいます。御帰りの際に入浴および館内利用の料金を一括
して支払うシステムのようです。リストバンドを受け取って、イザ館内へ。
フロントから左手には岩盤浴エリア、右手が御食事処になっています。
ところで蓬川温泉 みずきの湯は天然温泉ではありません。イワユル、
沸かし湯なのであります。天然温泉という看板はありませんが週末とは
言え、訪問時は日曜日でありサザエさん症候群とも言われる翌月曜日
を迎えることにイササカ不安な心持ちになる時間帯であるのですが…
そんなことには御構い無く沢山の人・人・人なのであります。
同じ尼崎エリアにある他の温浴施設が「天然温泉」の看板を掲げ営業
していますが蓬川温泉 みずきの湯がオープンしたことによって大多数
の利用者がみずきの湯へと流れて行ったことは明らかでした。
JR尼崎駅スグの「金の泉 天然温泉 あま湯」や「尼崎やまとの湯」が
それぞれ諸事情があったとは言え閉店となったことは消費者のニーズ
がモハヤ「天然温泉」以外の何かにシフトしていったことが原因である
と思う訳です。そんな事を考えながら館内を進みます。右手の飲食店
エリアは奥行きがありフワッとしたソファーが並べられています。従来の
温浴施設に有り勝ちな御食事処というより食事だけでも…と思わせる
レストランであります。そのレストランの横にはもう一つお食事処があり
レストランはビュッフェスタイルですが、お食事処は和食をメインに据え
キッチリと棲み分けが出来ているようです。そうして左手には岩盤浴の
エリアがあります。1階の営業面積のほぼ半分は占めるのでしょうか?
かなり大きいスペースが割かれています。残念ながらワタクシはまだ
みずきの湯の岩盤浴「八汗房」を体験していません!って堂々と言うな
とお思いになるかも知れませんが、常にどこのエリアも人が多いので。
もう4~5回訪問してるんですけどね…ですが岩盤浴エリアの入口には
透き通るようなガラスに囲われた部屋があって真ん中には雪を盛った
オブジェがあります。それをずっと見ているだけでも何故だか癒される
感じがするのです。いつも其処が気になって仕方がないのですが。
そして1階の奥には自販機やトイレ、売店があります。2階の大浴場へ
と続く階段の横にはカラフルな配色のキッズコーナーがあります。
こうした小さな子供を連れたファミリーへのフレンドリー感覚も絶大なる
支持を受けている要因なのでしょうね。そうして階段を昇り大浴場へと
向かいます。脱衣場を経て「御風呂」であります。
浴室部分入口から左手にはスタジアムサウナがあります。みずきの湯
の施設全体に感じるのですが、どのエリアも天井が高く開放感があって
ユッタリとした心持てで居られるのです。サウナも天井が高くて尚且つ
ひな壇部分がユルヤカな角度で縦幅があるのでユッタリと過ごせるの
です。右手には洗い場があります。
更に進んで行くと左手には水風呂、そして強烈なジェット噴流が特徴の
回遊風呂があります。右手には電気風呂も1部に備えた寝湯スタイル
のジャグジー風呂あります。空間を見事に活かしているな、と感じるの
はそれら内風呂を囲うのは巨大なガラス窓であり、視線を遮るモノが
極力無いように内風呂室内がデザインされているところでしょうか。
新規オープンだけあって、利用者が温浴施設に求めるモノは何か?を
知り尽くし、計算され尽くした空間がそこにはあるのです。
そうして露天風呂へ向うと内風呂から若干低位置にあるフロア造りで
あります。露天風呂には建屋の軒をそのまま伸ばした屋根があるので
ありますが、低めに設置された床のおかげで外の空間が目に飛び込ん
で来るように思える、そんな開放感があります。
露天風呂も開放感やユッタリ感を演出するデザインで設計されていて
街中の「スーパー銭湯」であることを微塵にも感じさせません。
露天風呂の一番左側には人工泉を使用した大湯船があり、その横に
壷湯、露天真ん中の位置にはソファー風の肘掛を模した座浴部分を
持つ、長方形の湯船がありユッタリ感はハンパありません。露天風呂の
一番外側にある目隠しも兼ねた植樹がありますが巨大なテレビモニタ
があります。この長方形の湯船は、そのテレビが目の前にある位置に
設置されているのです。ソファー風肘掛のある座浴に腰を降ろします。
そうして目の前にある巨大なテレビモニタで番組を見る。すると自宅の
リビングで寛いでいる、そんな錯覚さえおこしそうな癒しが溢れる時間
を過ごせるのです。当然そこには人が集まります。友人同士、家族で
その肘掛に持たれながらテレビを見て、語り合い、ホームパーティの
ようにも見えます。日常の喧騒を離れて御風呂がモタラシテくれる癒し
そしてコミュニケーション。そんな光景がそこにはあるのです。
そうして、その仲間や家族が集う我が家のリビング的な湯船と対称的
に、ヒッソリを離れたエリアが同じ露天風呂にあります。それがワタクシ
お気に入りのスチームバスであります。チムジルバンスパ風のスチーム
バスはヒッソリとした佇まいで、隠れ家的な雰囲気があります。そこで
ジックリと汗をかくのです。そんな独りの時間。1人になり明日のことを
考える、今日一日のことを振り返る、それも癒しじゃないでしょうか。

<御気軽度☆☆☆>
入館料(ご入浴)は大人(中学生以上)は750円となっています、今の
ところは。会員に入会すると700円になるようです。結構リーズナブル
じゃないでしょうか。消費増税やらサマザマな諸事情により変更となる
場合もあるので、必ず「蓬川温泉 みずきの湯」公式サイトで御確認を
お願いいたします。営業時間も朝9時から深夜2時(最終受付 深夜1時)
となっているので混雑がピークの時間帯を避けるのもイイかも。
これらの情報は必ず「蓬川温泉 みずきの湯」公式サイトで御確認の上
ご利用下さいっ!必ず、ですよ~!
<レジャー施設度☆☆☆☆>
ビュッフェ形式のレストランを含め2つのレストランがあります。加えて
岩盤浴、お土産コーナーやリラクゼーションなども有ってレジャーとして
は結構楽しめそうです。ですがそれぞれ営業時間が異なるようです。
必ず蓬川温泉 みずきの湯公式サイトで御確認の上、ご利用なさって
下さいませ。
<蓬川温泉 みずきの湯>
http://www.mizukinoyu.com/
<参考および出典・引用>
尼崎市公式ホームページより
「市営琴浦住宅跡地の公募による貸し付けについて」
http://www.city.amagasaki.hyogo.jp/si_zaisan/10367/010_kotourajutakuatoti.html
「蓬川地区まちづくり交付金にかかる都市再生整備計画について」
http://www.city.amagasaki.hyogo.jp/tosi_seibi/kaihatuproject/zigyou/010yomo_saisei.html
「明倫中学校跡地開発による地域の人口動態と経済効果に関する検証」
http://www.city.amagasaki.hyogo.jp/dbps_data/_material_/localhost/sosiki/010/210508_meirin.pdf#search='%E6%98%8E%E5%80%AB%E4%B8%AD%E5%AD%A6%E6%A0%A1%E8%B7%A1%E5%9C%B0%E9%96%8B%E7%99%BA%E3%81%AB%E3%82%88%E3%82%8B%E5%9C%B0%E5%9F%9F%E3%81%AE%E4%BA%BA%E5%8F%A3%E5%8B%95%E6%85%8B%E3%81%A8%E7%B5%8C%E6%B8%88%E5%8A%B9%E6%9E%9C%E3%81%AB%E3%82%88%E3%82%8B%E6%A4%9C%E8%A8%BC%E3%80%8D'
「あまがさき緑遊新都心」
http://www.city.amagasaki.hyogo.jp/tosi_seibi/kaihatuproject/ryokuyu/






