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教室内ヒエラルキー上位の「リア充」(=現実の生活が充実している)
女子グループに属する小林アン。
中学二年生の四月、突然友人たちから無視されるが、
同級生の「昆虫系」(=イケてないキャラモン男子)、
徳川勝利の言葉をきっかけに仲直りする。
しかし、家や教室に絶望感を抱くアンは、自分と共通する美意識を感じる徳川に
「私を殺して」と衝動的に依頼する。
ふたりが作る事件の結末とは――!
どうしても「事件」が必要なの――。
私を、殺してくれない?
「リア充」女子と「昆虫系」男子、
中学二年生ふたりが互いの闇を重ね、共鳴する、「悲劇」の計画。
――――― 帯より
個人的評価 : ★★★★☆
今回もまたやっぱりチクチクする辻村さん。
ちょっとしたことでひっくり返ってしまうような
不安定なアンと友人との関係だったり、
反発やら安心やらがごちゃ混ぜになったアンと母親との関係だったり、
「自分は人とは違う」という思い(というか思い込み)だったり。
程度の差こそあれ、どれもこれも分からない感情でもない。
自分が中学生だった頃を思い出すと、
自分自身がそうだったと思う部分もあるし、
「あぁ、いたな」と思い出す同級生たちもいる。
だからこそのチクチクが。
事件の結末はそういうことになったのか。
ああいう終わり方でよかったかな。
と思う反面、
計画が完遂された後の周りの反応が見てみたかったとも
いくらか思ってしまう。
気分次第で無視したり頼ったりと好き勝手に扱っていた友人が、
「イケてない」と軽んじていた、
意識の端に追いやって(外に追い出して、か)いた同級生が、
どれほど意識していたかはさて置いて、ひたすら自分の思う形にしようとしていた娘が、
そんなことを計画し(計画するだけならともかく)
実際に一線を越えてしまったとしたら、
彼女ら(彼ら)が何を思ってどうするのか、
反省・後悔するのか、忘れる(なかったことにする)のか。
それを辻村さんがどう描くのかを読んでみたかったような気が。