- 開かせていただき光栄です―DILATED TO MEET YOU― (ハヤカワ・ミステリワールド)/皆川 博子
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作家生活40年のキャリアを誇る著者の集大成にして新境地
開かれたのは、躰、本、謎。
18世紀ロンドン。
増える屍体、暗号、密室、監禁、稀覯本、盲目の判事……
解剖医ダニエルとその弟子たちが辿りついた真実とは?
――――― 帯より
個人的評価 : ★★★★☆
Studio Lifeの公演に際して読んだ『死の泉』以来、2度目の皆川さん。
世の評判と帯の言葉に釣られて。
やっぱり最初からしばらくは少々手こずった。
もともと苦手意識満載で読み始めたせいもあって、
舞台や時代の設定にどうしてもとっつきにくさを感じてしまって。
なんだけど、何やかんやで最後まで読めてしまった。
増えた屍体や胸にかけられたインクの意味、
密室から消えた犯人、などなど
「面白かった」も確かにある。
あるんだけど、一番の印象は「美しかった」な気がする。
結構きついものも書かれてはいる。
四肢を切断された上に胸にインクをぶちまけられた少年の遺体だとか
顔を潰された死後数日の遺体だとか。
解剖医のところの描写(特にバケツと犬の件)だとか。
それでも漂う、まとう空気が。
そんな空気に加えて、登場人物も惹かれる(気になる)人たちばかりで
だからきっと苦手だと思いながらも読んじゃったんだろうな。
解剖以外のことにはどうにも無頓着なダニエルも、
それぞれ個性の違うその弟子たちも、
盲目の判事も、その姪である助手も。