- 未完成 (講談社ノベルス)/古処 誠二
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世界の常識がひっくりかえっても
表沙汰にすることができない大事件――
二重三重に閉ざされた孤島の射撃場で、
何人もの隊員が見守るなか、小銃が消え失せた!
事態を完璧な秘密状態のまま解決するという難題に挑むのは
防衛庁調査班の朝香二尉と相棒の野上三曹。
謎解きと小説の面白さが奇跡のように調和した傑作!
――――― 裏表紙より
個人的評価 : ★★★★☆
初めましての古処さん。
なんだけど、読む順番を間違えたらしい。
どうやらこれの前に同じ朝香・野上コンビの別作品があるようで。
それを読んでいなくてもさほど大きな問題もなかったと思うけど。
これは感想を書こうと思うと難しい。
少々ネタバレ気味というか、ヒントになりかねないかもしれない。
そうならないようにと思ったんだけど、無理だった。
小銃が消えた理由というのが……。
あの人が怪我した理由もそうだし、
あの隊員が夜な夜なしていたこともそうだし。
どれもこれもが重くて、
共感・理解も(100パーセントではないにせよ)できる部分もあって。
だからと言って、小銃を奪うなんてことを筆頭に
採ったあの手段が正しかったかと考えるとそれもな……。
もっと他に、正面からの
(世間から責められることのない)手段はなかったんだろうか。
なんて思うけど、なかったのかな……。
佐渡二佐は自衛官としても人間としても優秀で立派な人のようだし
色々と手を尽くしてはいたんだろうから。
冒頭に出てくる男とその家族がどんな思いで生きてきて、
どんな思いで死んでいったのかと思うと苦しい。
最後に朝香が野上に言った「人質、敵」の話もとても興味深かった。