その後の政府側の動きと映画人たちの反応(7月15日~24日) | MARYSOL のキューバ映画修行

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7月15日夜、ラモン・サマーダICAIC長官の辞任に伴い、スサーナ・モリーナ氏を新副長官に任命

*サマーダ長官の辞任理由は不明だが、ドキュメンタリー『フィト・パエスのハバナ』が発端となった映画人の抗議と無縁とは考えられない。


*モリーナ新副長官はこれまで国際映画テレビ学校(EICTV)の校長を務めていた。


ACC(映画人集会)の主張
・トップの交代で問題が解決されることはない。問題はもっと構造的で根深い。
・キューバ映画は、文化省はじめどこの機関にも属していない。
 文化機関はアーティストに奉仕すべきであって、その反対ではない。
 文化機関で生まれるいかなる変化もクリエーター達に共有され、合意を得ねばならない。


②スサーナ・モリーナ校長の後任として、ワルド・ラミレス・デ・リベラ氏(旧ラジオ・テレビ庁副長官でテレスールのキューバ代表)をEICTV校長に任命

*しかし16日、EICTVの教育審議会は「突然の閉鎖的かつ独断的な政府の決定」に不満を表明し、デ・リベラ氏の就任を拒否。政府の決定を「(学校の母体である)新ラテンアメリカ映画財団および同校の制定法に反している」と見なし、イアナ・コッソイ・パロ氏は自身のFBで抗議した。この声明文は、同校の教育審議会メンバー13名の署名を集めた。

ACCも抗議声明に賛同し、近年の文化省によるEICTV介入を非難。
 EICTVの存在意義を強調すると同時に、芸術・文化活動を官僚的なやり方で介入することに異を唱えた。

②17日、政府は映画人の要求に対処するための臨時グループ創設を発表。
同グループについて、イネス・マリア・チャップマン副首相は「様々な省庁と連携し、映画法や困難な経済状況の中での報酬の支払い方法などの問題について解決する」と説明した。



*一方、映画人たちが抱える問題解決に向けて、政府がイニシアティブを取ることに、映画人たちの間では危機感が広がっている
また、キューバ映画=ICAIC(映画産業庁)という政府の認識を問題視している。

これまでのACCの動き
6月15日発足。映画人集会を開き、『ハバナのフィトパエス』無断放映について抗議文を発表、600名以上の署名を集める。(19日の時点で684名が署名。フェルナンド・ペレス監督、ホルヘ・ペルゴリア、ルイス・アルベルト・ガルシア、イバン・ジルー前ハバナ映画祭委員長らのほか、シルビオ・ロドリゲス、ホセ・マリア・ビティエルらも署名)

6月23日、ACCはイネス・マリア・チャップマン副首相、アルピディオ・アロンソ文化大臣、フェルナンド・ロハス文化副大臣、ラモン・サマーダ・スアレスICAIC長官、ロヘリオ・ポランコ・フエンテス共産党理論家と会い、検閲等の問題の指摘と継続的対話を要請。


現時点で、まだ回答はないが、ACCは4つのテーマに分けて(検閲および排除、制作、文化政策、映画法の制定要請)委員会を作り、対話の準備を進めている。

 

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