『ガヨとカルマンテスの日々』感想 | MARYSOL のキューバ映画修行

MARYSOL のキューバ映画修行

【キューバ映画】というジグソーパズルを完成させるための1ピースになれれば…そんな思いで綴ります。
★「アキラの恋人」上映希望の方、メッセージください。

今日(30日)『ガヨとカルマンテスの日々』を見てきました。
なかなか面白かったです。

 

  @アクアシティお台場にて


本作の特長のひとつ、最新技術を駆使した映像にも目を見張ったし、キューバというロケーションや俳優陣にも強力な吸引力がありました。

 

☆メーキング映像

 

で、ストーリーですが、芥川龍之介の短編小説「報恩記」が原作ということで(予習がてら読んでおいたのですが)、この16世紀末の日本が舞台の“奇妙な”話がどのように翻案されるのか、興味津々でした…

映画が始まって最初の1/3くらいまでは、コミカルな弾丸トークと複数のエピソードが脈絡なく展開するので、「キューバっぽい!」と面白がりながらも、このハイテンポに付いていけるか?と不安に―。

が、幸いそれは杞憂で、その後ややテンポを落とし、伏線はちゃんと回収されていきます。
しかも、確かに「報恩記」に乗っ取っていて、冒頭のバラバラのピースが(原作をなぞる様に)ハマっていく展開には、なかなかワクワクしました。
もっとも、原作を知らないと、ストーリー展開に納得がいかないかもしれません。

また、登場人物たちのセリフが(架空の社会を描いているものの)キューバらしさを反映している点も面白くて、「これは絶対にキューバ人が脚本に加わっている」と思ったのですが、エンド・クレジットを見ると、脚本も高城監督。
「ハバナの映画館でキューバの人たちのリアクションを見たい!」と思うシーンが何度もありました。

ただ、最後のマルラのセリフは、やや教条的だったり、楽観的で説得力に欠ける気はしました。が、それでも〈必然性〉はあったと思うし、そのポジティブ性も論議を呼んで良いと思います。
 

ところで本作は、今年のハバナ映画祭で上映されるのでしょうか?

あるいは、キューバでの一般公開はあるのでしょうか?

個人的には〈難しい〉気がします。

デモのシーンやマルラの主張など、現政権には歓迎されない気がします。
ICAIC的にはどうなのでしょう?

尚、マルラの主張は、日本の若い人たち(特に選挙に行かない人たち)にも向けられている、と思いました。

今回は12月2日までの限定公開ですが、一般公開、世界公開されることを期待しています。

ストーリー
米国国家財政破綻後の世界。為政者の喧伝装置となったマスコミによってテロ容疑を着せられたマルラは、余儀なく逃亡生活を送り、精神安定剤を片時も離せない日々を送っていた。
一方、ルイスは移住資金捻出のため、闘鶏に人生を賭け、一発逆転を夢みる。
マルラは前世療法と出会い、徐々に本当の自分を取り戻すが、「分断した世界」のなかで大麻合法化を阻み、世界初の精神安定剤の市販化を目論む極右勢力によって治療家は惨殺。
日々、社会が混沌するなか、マルラとルイスは「ある決意」をする。
 ※ 下線の部分はほとんど印象に残りませんでした。(Marysol)

脚本・監督・撮影 高城剛
原作 芥川龍之介
制作 国立キューバ映画芸術産業研究所
出演:
アリシア・エチェバリア/デニス・ラモス/ジョルジュ・ルイス・ペドロソ(ボンボン)/ルル・ピニェラ/カルロス・マッソラ

参考情報

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