ディエゴ・ルナ来日! | MARYSOL のキューバ映画修行

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【キューバ映画】というジグソーパズルを完成させるための1ピースになれれば…そんな思いで綴ります。
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ついさっき「ラテンビート・フィルムフェスティバル」初日を見て帰宅しました。

きょうは18:30から『夜のバッファロー』(ディエゴ・ルナが主演し、ギジェルモ・アリアガが脚本を担当)21:00から『チャベス』ディエゴ・ルナが初監督したドキュメンタリー映画)の上映。

しかも“各回の上映前にディエゴ・ルナの舞台挨拶がある”ということだったのですが、実際には18:30の方は映画の上映後にディエゴが登場

しかも今フェスティバルにゲストとして登場する、他の監督たちも舞台に上り、

一言ずつご挨拶

何事も滞りなく“予定通りに進む日本式”とは違い、きわめてラテン的、

“即興的”に進行しました。

でもおかげでディエゴから期待以上の発言を聞けました!(以下、ネタバレ注意!)

例えば『夜のバッファロー』について、「ラストシーンの後、二人はどうなるの?」という質問に、ディエゴは「通常は観客の想像に任せるんだけど、ここだけの話、二人は二度と会わないと思う。愛とは暗い執念のようなもの。マヌエルはきっと長い間、刑務所暮らしをするはめになると思うよ。なにしろメキシコでは偉い人の息子を殴り倒すほうが、先住民を殺すより罪が重くなるような国だから…」

それを聞いて初めて「なるほど。そういう事情も含んでいる映画だったのかぁ…」と納得。

それにしても、こうして作り手たちの言葉を直接聞けるのが映画祭の魅力ですね。


ディエゴはとってもフレンドリーなうえ、「コミュニケーションしたい!」という意欲に溢れていて、魅力的でした。

ホント言うと、今までディエゴを甘く見ていたのですが、すっかり見直しました。

きょうから私もディエゴ・ファンです。


最初の回で予定時間をオーバーしたせいか、次の『チャベス』の上映は少し遅れて始まりました。

ディエゴが初監督した、彼にとって“息子のような映画”。

前の回に比べて空席も増えた会場でしたが、ディエゴとプロデューサーも私たちと同じ客席について鑑賞

上映語のQ&A(予定外!)を楽しみにしているというディエゴの言葉に促され、がぜん観る側にも熱がこもります。

実はワタシ、ボクシングに興味がないので、『チャベス』というメキシコが誇るボクサーのドキュメンタリーなんて退屈してしまうのではないかと心配だったのですが、編集や音楽など巧みな工夫が施されていて、最後まで緊張しながらも楽しく鑑賞。

それは他の観客の皆さんも同じだったようで、上映後のQ&Aもすごく盛り上がりました。

色々な質問が出て、ディエゴはそれぞれに丁寧に誠実に答えてくれたのですが、彼がこのドキュメンタリーを通じて一番伝えたかったこと3点を紹介して終わります(明日も早起きして、一回目の上映から見る予定なので)

1)  ボクサーのフリオ・セサル・チャベスはメキシコが世界に誇るスポーツマンなのに、今はもう忘れられた存在。その彼の偉業をもう一度メキシコの人々に思い出してもらいたい(忘却や無知は現代人の大きな欠陥だ)。

2)  チャベスは政治に利用され、捨てられた。名声と成功の周りには常に悪が群れる。

3) 根本的な原因は、教育や情報の不足にある。

  チャベスも教育や情報によってもっと自分を守ることができたはず。

  希望は彼の息子だ。なぜなら、息子は父の失敗を教訓として生かせるだろうから。


ということで、ディエゴ・ルナの前向きでポジティブな姿勢がとても爽やかな印象を残した、素晴らしい映画祭の初日でした。


最後に、ディエゴも友人のプロデューサー(Pablo Cruz?)も上映会場(新宿バルト9)の素晴らしさを讃えていました。確かに(同感)。